2015.07.12 | コラム

高齢者の不眠を解消するには!?

睡眠薬と高齢者不眠へのジレンマ
高齢者の不眠を解消するには!?の写真
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現代を象徴する病気の一つといえる"不眠症(睡眠障害)"。特に近年、超高齢化が進む日本では高齢者の不眠も問題となってきています。不眠を解消するといえば睡眠薬がありますが、高齢者へ使うにはちょっとした問題もあるようで…。

◆ 高齢者に多い不眠のタイプとは?

一言で不眠といってもそのタイプは様々です。不眠を大きく分けると以下のようになります。

  • 入眠困難:布団に入ってもなかなか寝付けないタイプ
  • 中途覚醒:夜中に何度も目が覚めてしまい、再び寝付くのが難しいタイプ
  • 早朝覚醒:朝早く目が覚めてしまい、その後も眠れないタイプ
  • 熟眠障害:眠りが浅く睡眠時間のわりに熟睡感が得られないタイプ

この中で高齢者に多い不眠が「中途覚醒」や「早朝覚醒」とされています。

不眠へ対する治療の内、薬物療法に関してはそれぞれの不眠のタイプに合わせた睡眠薬を選択するのが一般的です。睡眠薬はその作用の持続する時間によって短い順に、

  • 超短時間作用型
  • 短時間作用型
  • 中間作用型
  • 長時間作用型

と分かれます。

例えば「入眠困難」では作用時間が短めな超短時間型や短時間型の睡眠薬が適するとされ、「中途覚醒」や「早朝覚醒」では比較的効果が持続する中間型などの睡眠薬が適するとされます(もちろん薬の効果は個人差が出る場合などもあり、それらも考慮して薬の選択がされることもあります)。

先ほど話したように、高齢者に多い「中途覚醒」や「早朝覚醒」には中間作用型などの睡眠薬が適するとされるのですが、これには"ちょっとした問題"があります。中間作用型や長時間作用型の睡眠薬には"筋弛緩作用(筋肉に力が入りにくくなる作用)"を持つ薬が多いということです。筋肉に力が入らなく転びやすくなる場合もあり骨折などの危険性が高まります。

また、睡眠薬の効果がある程度続くということは、翌日まで眠気やふらつきが残る"持ち越し効果"が考えられ、さらに危険が伴います。短時間作用型の睡眠薬は比較的"筋弛緩作用"や"持ち越し効果"が少ないのですが、薬の作用持続時間が短いので「中途覚醒」や「早朝覚醒」には効果が不十分の場合があります。「中途覚醒」や「早朝覚醒」には効果が持続する睡眠薬を使いたいのに高齢者に対しては使いづらい…これが高齢者の不眠治療のジレンマなのです。

 

◆ 漢方薬や新しい薬を使って…

ただやみくもに睡眠薬を増やすわけにもいかない中で最近注目を集めているのが、漢方薬や新しいタイプの睡眠薬です。

漢方薬では抑肝散(ヨクカンサン)や酸棗仁湯(サンソウニントウ)などを単独使用あるいは短時間型の睡眠薬などと一緒に使用することで、睡眠の質を高め熟睡度を上げる効果が期待できる場合があります。

また、新しいタイプの睡眠薬であるスボレキサント(商品名:ベルソムラ)は今までの睡眠薬とは異なる仕組みで効果をあらわし、依存性が少ないとされています。更に薬の作用が比較的持続するのに"筋弛緩作用"や"持ち越し効果"はあらわれにくいとされているため、高齢者の不眠に対してもその効果が期待されています。

もちろん不眠の治療は薬物治療だけでなく生活環境や生活のリズムなどの改善によってもその効果が期待できます。最近では睡眠に関しての専門的な診療科も増えてきていますので、不眠に関しての悩みや質問などがある場合は専門医に相談してみてもよいのではないでしょうか。

執筆者

中澤 巧

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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