まんせいへいそくせいはいしっかん
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
気管支や肺胞が炎症で変化し、正常な呼吸ができなくなっている状態。喫煙が原因で起こることがほとんどである
21人の医師がチェック 143回の改訂 最終更新: 2018.08.01

肺気腫・COPDの症状は?息切れや咳、痰など

COPDは主に喫煙の影響を受けて、知らぬ間に進んでいく病気です。よくある症状としては息切れ・咳・痰などがあります。COPDが急に悪化する「急性増悪」もあわせて解説していきます。 

COPDは、長年の喫煙などが原因で、呼吸がうまくできなくなる病気です。肺気腫という言葉もおおむね同じ状態を指しています。症状として息切れ・咳・痰などがあります。以下で詳しく説明します。

しつこい咳と痰は、息切れと並んでCOPDの代表的な症状です。しつこい咳と痰という症状は何か肺の病気があればしばしば出るものなので、それだけでCOPDと診断することはできません。しかし、タバコを吸っている人あるいは吸っていた人にしつこい咳と痰がある場合には、COPDの可能性を十分に考える必要があります。

COPDによる咳は最初のうちはときどき出るだけですが、次第に毎日出るようになり、進行すると1日中持続するようになります。また、痰を伴うことが多いですが、乾いた咳になることもあります。

参照:Am Rev Respir Dis 1990; 142: 1009-14.

息切れはCOPDのある人に出やすい症状です。安静にしている時よりも動いた時のほうが息切れしやすいです。
息切れがあればすぐにCOPDだろうとは言えません。肺や心臓の機能が落ちてくれば、どんな病気でも息切れを感じるようになります。しかし、タバコを吸っている人あるいは吸っていた人が次第に坂道を歩くのが辛くなってきた、階段を登ると息切れが酷い、などという場合にはCOPDが原因となっている可能性が高いです。
COPDが進んでくると軽い動作でも息苦しさを感じるようになります。着替えや洗面ほどの日常動作で息切れするようなると生活の質(QOL)は著しく低下してしまいます。

息切れなどを感じて初めて病院に行く時や、COPDと診断されて治療を続けている時、症状の重さや変化をなるべく詳しく正確に医師に説明できることは大切です。しかし、症状は主観的な要素もあるので、言葉にしようとするとなかなか難しいものです。
COPDの主な症状は息切れ、咳、痰などです。医師から見ると同じくらいの症状でも、訴えが多い人もいればとても我慢強い人もいます。「今日はとてもつらいんです」といった説明だと医師の判断がずれてしまうかもしれません。そこで症状を客観的に評価する手段が必要になります。

息切れの程度を客観的に評価するためによく使われる質問票として修正MRC(mMRC)というものがあります。mMRCとはmodified Medical Research Councilの略です。
グレード0からグレード4まであり、4が最も重症となります。

  • グレード0
    • 激しい運動をしたときだけ息切れがある。
  • グレード1
    • 平坦な道を早足で歩くあるいは緩やかな上り坂を歩く時に息切れする。
  • グレード2
    • 息切れがあるので、同年代の人よりも平坦な道を歩くのが遅い、あるいは平坦な道を自分のペースで歩いている時、息切れのために立ち止まることがある。
  • グレード3
    • 平坦な道を約100m、あるいは数分歩くと息切れで立ち止まる。
  • グレード4
    • 息切れがひどく家から出られない、あるいは衣服の着替えをする時にも息切れがある。

MRCでは日常生活の中での息切れの程度をできるだけ客観的に判断するものです。他にも咳や痰の様子、精神衛生状態まで含めて評価するCAT(COPD assessment test)、あるいはSGRQ(St. George Respiratory Questionnaire)、CCQ(Clinical COPD Questionnaire)、IPAG(International Primary Care Airways Group)質問票などが用いられています。医療機関や医師によって使われる指標が異なるのが現状です。

COPDの患者さんでは息切れ、咳、痰といったCOPDそのものによる症状以外にも、同時に起こっている病気や状態による症状が出てくることがあります。その症状は非常に多岐に及びますが、体重が減る、胸が痛い、骨折しやすくなる、気分が晴れない、怠い、やたらと喉が渇く、夜に寝られない、ふらつく、みぞおちが痛い、などが例として挙げられます。

COPDは長期喫煙歴がある中高年の方に多く発症するので、喫煙や加齢そのものによって全身が弱っている患者さんが多くいます。また、COPD自体が肺以外にも全身に影響を与えてさまざまな病気を誘発すると考えられています。現在ではCOPDを単なる肺の病気とは考えず全身の病気として考えるべきであると言われています。COPDの全身的影響としては以下のような状態、病気が起きてくると言われています。


参照:
Thorax 2004; 59: 574-80.  
Eur Respir J 2009; 33: 1165-85.

COPDでは肺機能が低下することで息切れや咳・痰が起こりますが、肺機能が低いなりに状態が安定していることが多いです。一方で、安定しているように見えても肺には余力がないので、肺や気管支に感染などが起こると状況が急速に悪化します。このように状態が急速に悪化することを急性増悪と言います。

COPDは息切れ、しつこい咳と痰を主な症状として、基本的には年単位で進行していく病気ですが、数日あるいは週単位で急激に状態が悪くなり、追加での治療が必要になることがあります。これを急性増悪(きゅうせいぞうあく)といいます。急性増悪をきっかけとして一気に状態が悪化してCOPDが進んでしまい、入院が必要になることもあります。最悪の場合は亡くなってしまう方もいます。急性増悪には十分に注意が必要です。
急性増悪の原因は肺炎などの感染症の場合が最も多いとされます。しかし、肺炎までいかずともただの風邪で急性増悪することもあれば、大気汚染が原因で急性増悪することもあります。また、急性増悪のうち約30%では原因が特定できないと言われています。

参照:Thorax 2006; 61: 250-8.

COPDの急性増悪とは、息切れや咳・痰などが増加して追加での治療が必要になる状態を指します。肺炎などの感染症を原因とした急性増悪が多いので、急性増悪で熱が出ることも多いといえます。しかし、大気汚染やその他のハッキリしない原因で急性増悪することもあるので、急性増悪で必ずしも熱が出るわけではありません。

COPD患者さんが数日から数週間単位で息切れ、咳、痰などの悪化を感じた場合には、熱が無いからといって安心せず、急性増悪を疑って医療機関を早めに受診した方がよいでしょう。

その他、急性増悪時にみられる最も危険な症状としては意識障害(受け答えがおかしい、会話のつじつまが合わない、呼びかけに反応が鈍いなど)があります。どんな人でも体調が悪くなれば多少受け答えが鈍くなることがありますが、COPD患者さんの急性増悪時にはCO2ナルコーシスといって、体内から二酸化炭素を吐き出せなくなることによって意識障害を来していることがあります。CO2ナルコーシスが進行すると呼吸が止まることがあるため、命に関わるほど危険です。COPD患者やその家族、周りの人はCO2ナルコーシスに十分注意して、もし意識障害があると感じたら速やかに医療機関を受診してください。