正常妊娠
多くの人が妊娠に気づくのが妊娠2ヶ月(妊娠4週0日から妊娠7週6日まで)です。妊娠したかもと気づくと、今までしてきた生活や体の症状、これから何をしたらよいかなど気になることも多いとおもいます。また、妊娠前にしておくことが勧められることもあります。そのような疑問に回答します。
最終更新: 2017.10.04

妊娠中の不安になりやすい症状は?

妊娠をすると、妊娠前にはなかった体の変化や症状に不安になる方も多いと思います。ここでは、異常や病気ではないですが、妊娠中に起こりやすい症状を解説します。

1. マイナートラブルってなに?

妊娠の経過や胎児に影響はありませんが、妊娠中に起こりやすい不快な症状をマイナートラブルといいます。マイナートラブルの程度は個人差が大きく、症状への治療は必ずしも必要ではありません。

ここでは妊娠中に起こりやすいマイナートラブルを症状、原因、対策に分けてまとめていきます。

また、マイナートラブルは基本的に受診は必要ありませんが、他の症状も組み合わさると医師の診察が必要な場合もあります。そのため、受診のタイミングも合わせて解説します。

2. 妊娠中のつわりにはどう対処する?

つわりの症状は?つわりはいつからいつまで?

妊娠5-6週頃から妊娠15週頃にかけて起こる吐き気や嘔吐の症状をつわり(悪阻;おそ)といいます。吐き気は医学用語で悪心(おしん)や嘔気(おうき)とも言います。

妊娠が発覚する妊娠5-6週ごろから症状が起こり、胎盤が完成する妊娠15週ごろまでには軽快することがほとんどです。

つわりの代表的な症状は以下のようなものがあります。

  • なんとなくだるいなと感じる
  • 空腹時や起床時に気持ちが悪い
  • ツバがたくさん出る
  • 食欲がない
  • 食べ物や周囲の匂いに敏感になる
  • 嘔吐が1日に数回ある

症状の程度には個人差がかなりあります。食欲がなくなる、嘔吐があることによって体重が数キロ減少してしまう場合もあります。

妊娠初期というとつわりのイメージが強いため、つわりがないことを逆に心配してしまう方もいますが、つわりの症状がないからといって妊娠経過に問題があるわけではありません。

つわりの原因

つわりの原因ははっきりとしていませんが、妊娠したことによって変化するエストロゲンや hCGといったホルモンの変化や妊娠に伴う精神的なストレスが原因と考えられています。

つわりの対策

つわりは不快と感じやすいマイナートラブルの1つですが、残念ながらはっきり有効とわかっている対策はありません。食事の取り方や過ごし方で症状が軽減される場合もありますので、紹介します。

■食べたいものを食べたいときに食べる

妊娠すると赤ちゃんへの栄養を考えてバランス良く食べなければいけないと思いがちですが、無理に食事をとると嘔吐しやすくなってしまうこともあります。そのため、妊娠初期につわりの症状がある際には食事のバランスはあまり考えず、食べやすいものを食べたいタイミングで食べましょう。

また、空腹感から気持ちが悪くなるという方も多いです。食事回数も3回とは限らず、1回量が少ない場合には間食などを挟んで4、5回に分けて食べるなどすると楽になる方もいます。職場や外出先で軽く口にできるものを持ち歩くのもよいでしょう。

■水分は小まめにできるだけ摂る

食べることが困難な場合、水分はできるだけ摂取するようにしましょう。脱水になってしまうと、倦怠感や吐き気が強くなってしまう場合もあります。飲み物が摂取しづらい場合も、氷を口に含むなどすると良いという方もいます。

■嗅覚への刺激を避ける

つわりを自覚している人の中には、匂いに過敏になってしまうことがあり、食事を摂取しなくても匂いを嗅いだだけで悪心や嘔吐が強くなってしまうことがあります。自宅の換気をしっかりとして、外出時にはマスクを着用するなどして匂いへの対策も行うことをお勧めします。

■リラックスできる環境をつくる

精神的なストレスが悪心や嘔吐を誘発させてしまうことも考えられるため、できるだけ自分自身がリラックスしやすい環境を整えるようにすることを勧めます。匂いが気にならない場合には、カモミールやラベンダーなどリラックス効果のあるアロマオイルなどを利用して入浴をしたり、リフレッシュ効果のある柑橘系の匂いを利用してマッサージするなども良いでしょう。

このつわりは異常?病院の受診のタイミング

つわりが重症になってしまうと重症妊娠悪阻(じゅうしょうにんしんおそ)といって、あまりにも食事や水分が摂取できないことで体に脱水や栄養障害が生じ、治療が必要になることがあります。そのため、以下のような症状がある場合には、病院を受診しましょう。

  • 1日に何回も嘔吐している
  • 全く食べられない、飲めない
  • 妊娠前の体重の5%以上減ってしまった(妊娠前50kgの人で2.5kg)
  • 尿の回数が減った

重症妊娠悪阻と診断された場合には、病院での点滴治療や入院加療が必要になる場合もあります。症状が強い場合には、病院を受診しましょう。詳しくは「重症妊娠悪阻」のページを参照してください。

3. 妊娠するとおりもの(帯下)はどう変わる?

妊娠中はエストロゲンというホルモンの増加にともなって、おりもの(無色透明〜やや白っぽい、匂いが無い)の分泌量が増えます。

おりものが増えることは生理的な現象であり問題ありません。

ただし、他の原因があって、おりものの色や性状が変わる場合があります。おりものの変化を起こす病気では治療が必要なこともあります。

原因

おりものが増えることで、膣内は強い酸性に保たれます。このことは病原菌の子宮内への侵入を防ぐ役割を果たしています。

おりものを増やしているのはエストロゲンという女性ホルモンです。エストロゲンは妊娠10週までは卵巣から、その後は胎盤からの分泌が多くなり、妊娠後期になるにつれて増加していきます。エストロゲンの機能により、膣の中の粘膜上皮細胞が増え剥脱し、おりものが増えます。

対策

おりものの増加は生理的な現象ではありますが、外陰部が湿った状態が続くと菌の増殖がし易い環境を作ってしまい、炎症や感染を起こしやすくなります。

そのため、おりものが多いと感じる場合には以下のような対策を取りましょう。

  • 1日に1回はシャワーを浴びて外陰部の清潔を保つ
  • 通気性のよい下着を身につける
  • おりものの分泌が多く下着が汚れてしまいやすい時には、おりものシートを利用したり下着をこまめに交換する

受診のタイミング

通常おりものは、無色透明からやや白っぽい色をしていて無臭です。量が多くなること自体は問題ありませんが、以下のようにおりものの色や匂いが変化する場合には注意が必要です。

  • 酒かすや粉チーズのような白くホロホロしたおりもので、外陰部のかゆみがある
  • 黄色や緑色のような泡立っているおりもので、匂いがきつく、外陰部のかゆみがある

このような症状がある場合には、比較的酸性に強い菌に感染している可能性があります。膣カンジダ症、膣トリコモナス症などが考えられます。どちらも一刻を争うものではないので、気になった時にはかかりつけの病院で妊婦健診時に医師に相談すればいいでしょう。

また、おりものは粘り気があるのが通常です。以下のような場合には、おりものではなく破水の可能性もあるので病院を受診してください。

  • 粘り気がなくサラサラとしている無色透明の液体
  • 独特の匂いがする
  • 動くとチョロチョロと流れるような感じがある
  • ナプキンが液体でいっぱいになってしまうことが多く、定期的に交換が必要

破水だった場合には、前期破水という状態です。前期破水は入院して管理が必要になります。破水かもしれないと感じた時点で、すぐにかかりつけの病院を受診してください。

4. 妊娠中の足のむくみ(浮腫)は異常?

症状、原因

妊娠中は生理的な体の変化にともなって、足にむくみが生じやすくなります。いつも履いていた靴が履きにくい、なんとなく足がだるい、足が張っている感じがあるなどが足のむくみの症状になります。

むくみの原因としては、妊娠中は血液中の水分である血漿の量が増加し血液の量が多い状態になります。また、大きくなった子宮が下大静脈という血管を圧迫して足の血流を妨げることがあります。さらにエストロゲンやアルドステロンなどのホルモンバランスの影響によって足に水分が溜まりやすい状態になります。そのため足のむくみが出やすくなります。

対策

足のむくみは妊娠中にでやすい生理的な変化ですので、むくみがある事自体が異常ではありません。しかし、足がむくむことで不快な感じがある場合には、血流を改善できるような対策を行うとよいでしょう。

  • バスタオルやクッションで足を高くして寝る(仰向けの姿勢が苦しい場合には行わない)
  • 足首から膝にかけてマッサージをする
  • 着圧効果のあるストッキングやソックスを利用する
  • 体を温める
  • 下着や衣服による下肢の締め付けを避ける

塩分のとりすぎがむくみを促す場合もありますが、むくみは生理的な現象の1つでもあります。塩分の過剰な摂取は控えた方が望ましいですが、高血圧などの症状がなければ、塩分制限にこだわる必要はありません。

厚生労働省による「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、成人女性に必要な1日の食塩の摂取量は7.0g/日 が目標とされています。対して平成27年の厚生労働省の調査では、成人女性の平均塩分摂取量は9.2g/日であり、この目標を上回ります。日本人は平均して食塩を摂りすぎている傾向があるので、むくみは別としても無理のない範囲で塩分を控えめにすることは意識していいでしょう。

なお、水分を摂取することがむくみの原因だと考える方も多いですが、水分摂取にかかわらず妊娠中はむくみが出やすい状態にあります。そのため、むくみがあるからといって水分摂取の制限をする必要はありません。

受診のタイミング

むくみが足にのみに現れ、他に症状がなければ異常ではないことがほとんどです。ただし、以下のような症状がある場合には注意しましょう。

  • 足だけではなく、手や顔など全身にむくみが出る
  • 尿の量が減る
  • (自宅で血圧が測れる場合には)血圧が135/85mmHg以上であることが続く
  • 頭が痛い、目がチカチカするなどの症状がある

むくみにともなって上記の症状がある場合には、妊娠高血圧症候群の可能性があります。かかりつけの病院を受診することが望ましいといえます。

  • 左右対称ではない下肢のむくみ
  • 下肢の腫れ
  • 足に熱感や痛みが強い、圧迫すると痛みがある

上記のような症状があった場合、その頻度は稀ですが深部静脈血栓症の可能性があります。

妊娠中は血液が固まりやすく、下肢の血流が停滞しやすいため深部静脈血栓症が起こりやすい状態になります。症状がある場合には、かかりつけの病院を受診することが望ましいでしょう。

5. 妊娠中に腰痛になったらどうする?

症状・原因

妊娠中は子宮の増大に伴い妊娠前に比べて体の重心が前の方に移動し、お腹を突き出して反り返ったような姿勢になりやすくなります。仙骨関節や恥骨結合といった骨盤の関節も緩みやすくなるため、骨盤が不安定になりやすく、それを支える腰部の筋肉に痛みが生じることもあります。子宮の増大にともなって症状が強く出ることが多いですので、妊娠後期になるにしたがって痛みが増すことが多いです。元々、椎間板ヘルニアや腰部痛があった場合には、妊娠中に増悪しやすい可能性がありますので、注意をしましょう。

対策

腰への負担をできるだけ減らすようにするために以下のような対策が挙げられます。

■体重の管理

体重が過度に増えてしまうと腰部にかかる負担は大きくなり、腰痛が悪化する可能性があります。体重増加は正常範囲内に抑えられるようにしましょう。

■腰に負担のかかりにくい動作を心がける

日常生活の中で腰部に負担のかかりにくい動作を心がけることも重要です。例えば、重い物を持ち上げたり長時間立ちっぱなしの動作は避ける、背もたれのまっすぐな椅子に座るように心がける、腰が沈まないように出来るだけ硬いマットレスを使用するなど、日常生活の動作を気をつけることで腰部への負担を軽減することができます。

■骨盤ベルトの使用

骨盤ベルトを使用することで、恥骨結合や仙腸関節の緩みを支え骨盤を安定させることで重心の位置をできるだけ正しく保つことができるようになります。それによって、腰部痛が軽減されやすく、動作もしやすくなる可能性があります。

受診のタイミング

腰部痛に伴い下記のような症状があった場合には、切迫早産切迫流産常位胎盤早期剥離などを疑う必要があるかもしれません。かかりつけの病院を受診しましょう。

  • お腹が定期的に硬くなる自覚がある(子宮収縮)や下腹部の痛みを伴うもの
  • 性器出血がある
  • 姿勢などに影響されない持続的な痛み

また腰部痛に加え、腰部以外に以下のような症状がある場合には尿路結石や腎盂腎炎が疑われることがあります。かかりつけの病院に相談しましょう。

  • 血尿がある
  • 残尿感や排尿時に痛みがある
  • 発熱がある

6. 妊娠中に頭痛は起きやすい?

原因

妊娠中にはホルモンの変化や緊張、貧血やストレスなどに伴って片頭痛緊張型頭痛が起こりやすいといわれています。妊娠全期間を通して現れやすい症状ですが、特に妊娠がまだ安定していない妊娠初期には、ストレスがかかりやすく、つわりの症状に伴って頭痛が出る人もいます。

対策

ストレスや緊張が原因の場合には、リラックスできる環境を整えることが症状の軽減につながります。静かな環境でしっかりと休息をとり、規則正しい生活を心がけましょう。軽い運動やお風呂につかることも血液の循環を良くすることにつながります。

受診のタイミング

妊娠高血圧症候群の1つの兆候として頭痛が挙げられます。そのため、妊婦健診で血圧が高めであると指摘されている方で以下のような症状を伴う場合には受診しましょう。

  • 目がチカチカする
  • 安静にしていても血圧が高い(140/90mmHg以上)ことが続く
  • 尿の量が減った

また、頭痛とともに以下のような症状があった場合、脳神経系や耳鼻科系の病気も考えられます。かかりつけの病院をすぐに受診し、相談しましょう。

  • 持続的な頭痛
  • 急激な吐き気や嘔吐
  • めまい

妊娠中から頭痛がある場合、薬剤の使用も検討されますが妊娠中に使用できるものには制限があります。市販薬の自己判断での使用は避け、かかりつけの医師に相談をしましょう。

7. 妊娠中に起こる腹痛は異常?

原因

妊娠中に起こる腹痛は不安に思う人が多いと思います。腹痛の中には緊急性の高い異常なものもありますが、生理的に起こりやすい腹痛もあります。

妊娠中の体の変化で生理的に痛みが出やすい場所や時期には以下のようなものがあります。

■妊娠初期(妊娠14週6日まで)に下腹部にチクチクするような軽い痛みがある

妊娠初期には鶏の卵程度で小さかった子宮が、妊娠15週ごろにはグレープフルーツより大きいほどに変化します。子宮の大きさの変化にともなって、軽い痛みを自覚する場合があります。

痛みの程度には個人差があります。生理痛のような痛み、お腹を引っ張られるような痛みと表現する人もいます。痛みが妊娠中期まで続く場合もあります。

基本的には痛みがあっても様子をみて大丈夫です。

強く締め付けられるような痛みや出血などの症状があればかかりつけの病院で相談してください。

■脇腹や肋骨が痛い

個人差はありますが妊娠20週ごろになると、赤ちゃんの動きである胎動が分かるようになります。妊娠30週ごろには子宮自体が大きくなり支えている靭帯や筋肉が伸ばされ痛みとなったり、赤ちゃんの動きも活発になることから赤ちゃんが動くことで脇腹や肋骨に一時的に痛みを感じることがあります。痛みが一時的で安静にすると収まるものであれば、様子をみて大丈夫です。

■恥骨が痛い

妊娠37週0日以降の出産を正期産と呼びます。37週以降はいつ出産が起こってもおかしくない時期です。出産の時期が近づくと、赤ちゃんは出産に備えて骨盤内に下がってきます。ホルモンの影響もあり、骨盤の関節や靭帯が緩み、恥骨も徐々に緩むことで体は出産に向けて徐々に変化していきます。

個人差はありますが、出産に向けた体の変化の際に恥骨(下腹部)に痛みを感じる人がいます。歩行の際などに痛みが強くでる場合がありますが、恥骨のみの痛みでお腹の張りなどを伴っていなければ、様子をみて大丈夫です。

■前駆陣痛(妊娠後期に時々感じるお腹の張りや痛み)

妊娠後期に入ると子宮は出産のための準備を始めます。妊娠30週を超えると子宮は不規則に収縮することで、赤ちゃんの出口である子宮の頸管を柔らかくしたり、赤ちゃんが骨盤内に下降しやすいように助けたりする役割をします。自覚としては、1時間に何回か不規則的にお腹が張ったり、時々お腹の張りに伴って痛みを感じることもあるかもしれませんが、これは赤ちゃんが生まれてくる準備をしていると思って大丈夫です。妊娠37週0日以降であれば、お腹の張りが規則的(10分に1回もしくは1時間に6回以上)になるかもしれません。しかし、痛みがなければ陣痛ではありませんので、お家で様子をみて大丈夫です。

対策

上記にもしたような妊娠の経過の中で生理的に感じる腹痛であれば、基本的には様子をみて大丈夫です。痛みを感じて辛い場合には以下のようなことをしてみましょう。

■痛みを感じたら楽な姿勢で横になる

立っている姿勢や座っている姿勢は重力が下にかかるため、お腹の痛みを強くしてしまうことが多いです。痛みを感じるような場合には、自身の楽な姿勢でしばらく横になって安静にしましょう。

生理的な変化の痛みであれば、横になると良くなります。逆に、安静にしていてもお腹の痛みが続く、強くなってくるようであれば、なんらかの疾患が隠れている可能性があり、かかりつけの病院を受診したほうがいいでしょう。

■妊娠後期に恥骨が痛い場合には、骨盤ベルトを使用する

恥骨の痛みは、出産の準備として恥骨が緩くなることによって生じる痛みです。痛み自体が問題である訳ではありませんが、日常生活に支障が出る場合には、骨盤ベルトを使用し骨盤の動きを固定することで痛みが軽減されることがあります。腰痛がある場合にも、骨盤ベルトは効果的です。ただし、骨盤ベルトは正しい位置に装着しないと意味がありませんので、使用する場合には使用手順を読む、もしくはかかりつけの病院で着用の仕方を教えてもらいましょう。

受診のタイミング

腹痛には生理的な痛みもありますが、痛みの程度や頻度によっては病院の受診が必要な兆候の可能性もあります。

妊娠初期(妊娠5〜6週以降)に痛みがあり、以下に当てはまる場合には、異所性妊娠の可能性があります。病院に連絡し、受診をしましょう。

  • 妊娠反応検査では陽性だが子宮内に胎嚢が確認されていない(自分で妊娠検査はしたが、まだ病院は受診していない場合も含む)
  • 下腹部に強い痛みがある
  • 出血がある

妊娠37週0日未満の方や帝王切開を予定している方で以下のような症状がある場合には、切迫早産切迫流産の可能性があります。病院に相談し、必要があれば受診しましょう。

  • 安静にしていても規則的にお腹が張る
  • お腹の張りに伴って痛みがある
  • 出血がある

また以下のような症状がある場合には、かなり稀ですが常位胎盤早期剥離の可能性があります。病院に連絡し、受診しましょう。

  • 持続的で強いお腹の痛みがある
  • お腹を触ると持続的にずっと固い
  • サラサラしている出血がある
  • いつもに比べて胎動が少ない

また、腹部の痛み以外に発熱や嘔吐などの症状がある場合には他の疾患が疑われる場合もあります。腹痛が続き自然に治まらない場合には、かかりつけの病院に連絡をし受診しましょう。

8. 妊娠中は便秘になりやすい?

原因

妊娠中は胎盤から分泌されるプロゲステロンというホルモンの影響によって腸管の運動は抑制されます。また、妊娠後期に入ると大きくなった子宮や胎児が、腸管を圧迫するため便が排出されにくくなり、便秘の症状が現れやすくなります。

便秘には以下のような症状があります。

  • 妊娠前に比べて排便の回数が減る(一般的に1週間に3回未満)
  • ガスがたまっているような感じがある
  • 排便後にも残便感がある
  • 便が硬く出づらい

妊娠中は全期間を通して便秘になりやすく、また妊娠後期になるにつれて症状は悪化しやすくなります。

対策

便秘は食生活の見直しと水分の摂取によって改善されやすく、以下のような対策があります。

  • 水分は1日2リットル程度を目安に摂取する
  • 繊維質の多い食べ物を摂取する
  • 朝食を食べてから30分程度の際に排便の習慣をつける
  • 朝、起床後すぐにコップ1杯の冷たい水を飲む

妊娠初期のつわりの時期には、食事摂取が困難であり一時的に便秘がちになることもあるかもしれません。つわりが解消されれば、便秘も消失することがほとんどですので、つわりがある場合は、さほど気にしなくてもよいでしょう。

受診のタイミング

上記のような対策を行っても便秘が解消されない場合は、妊婦健診の際に医師に相談してください。

緩下剤(かんげざい)の処方で治療できる場合もあります。

また、妊娠中は直腸から肛門周囲の血流がさまたげられやすくなるため、痔核(じかく、いわゆるいぼ痔)が発生しやすい状態にあります。また、便秘で排便時に過度にいきみをかけると裂肛(れっこう、いわゆる切れ痔)ができ、肛門から出血をしやすい状態になります。排便とともに出血が診られたり、痔核が形成している場合には、妊婦健診時に医師へ相談してください。

9. 妊娠中に起こりやすい皮膚トラブルは?

妊娠中は、ホルモンバランスの変化やストレス、体型の変化による皮膚の伸展などによって皮膚トラブルが起こりやすい状態といえます。また妊娠中は、基礎代謝が増加、エクリン腺が機能亢進することで発汗が増加しやすく、皮膚にかゆみが出やすい状態になります。また、妊娠前からアトピーなどの症状がある方は、妊娠中に悪化する可能性もあります。皮膚トラブル自体が妊娠経過に影響をおよぼすことはほとんどありませんが、その種類や症状は様々です。代表的なものには、以下のようなものがあります。

妊娠線

棒状の傷跡のようなものです。妊娠にともなって皮膚が急に引き延ばされることによってできます。腹部や太もも、臀部、乳房周囲など、体型の変化がでやすい場所によく出現します。妊娠線が赤黒く色素沈着をすることもあります。

妊娠20週以降にあらわれやすく、出産後は、薄くはなりやすいですが、後に残る場合もあります。

妊娠中の体型変化は自然に起こるものですのである程度の妊娠線の発生は仕方がありません。過度に体重が増加し、体型の変化が大きいとより妊娠線が発生しやすいといえますので、体重の適切な増加を保つのがいいでしょう。

また、予防として妊娠線予防クリームやマッサージなどがよく聞かれます。しかしこの予防方法は、有用とは言い切れません。クリームを塗ったりマッサージをすることで、皮膚の表面が保湿され皮膚の柔軟性が保たれるとは言えますが、妊娠線は皮膚深くの組織の断裂によって起こるので、確実に予防できるものではありません。

妊娠線の対策として最適であるとはいえませんが、害としてかぶれや出血などを引き起こすことはまれと思われるので、やってみたい方は試してみてもいいでしょう。

色素沈着

妊娠中のエストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンバランスの変化により、色素沈着の元となる肌内部のメラノサイトが活性しやすくなることによって起こります。乳頭や乳輪、腋窩(脇の下)、外陰部、肛門周囲、臍(へそ)などが色素沈着の起こりやすい場所で、妊娠中の多くの人に症状として現れます。

色素沈着は妊娠初期から出現し始め、分娩後薄くなりますが、完全に戻らない場合もあります。

肝斑

肝斑(かんぱん)とは、目の周囲や頬、口周り、額(ひたい)などの顔に現れるシミのような跡のことをいいます。

肝斑が発生するしくみは色素沈着と同様です。分娩後薄くなりますが、完全に戻らないこともあります。

紫外線により悪化しやすいため、普段から皮膚の紫外線対策に気をつけることには意味があります。完全に予防することはできませんが、悪化は防ぐことができます。

多毛、脱毛

妊娠中や出産後のホルモンバランスの変化によって、多毛や脱毛が起こることがあります。妊娠中はエストロゲンというホルモンが増え、毛が抜けにくい状態が維持されるため、多毛は妊娠初期から起こりやすく、口唇、顎、頬などの顔、四肢、背部に起こります。一方、出産後はエストロゲンが急激に低下することが原因で毛が維持しにくくなり、脱毛が出産後1ヶ月〜半年頃に起こりやすく、髪の毛に症状が現れやすいです。どちらも自然に軽快していきます。

妊娠性皮膚掻痒症(にんしんせいひふそうようしょう)

この症状が出る人は多くありません。出産とともに軽快します。

妊娠早期から大きさ2-5mmの小さな隆起のある皮疹丘疹)が、足や手、肩、首、臀部などに散在し、激しいかゆみ(掻痒感)を伴うことが特徴です。夜間にかゆみが強くなる人もいます。

原因は不明ですが、精神的ストレスや妊娠中に増加する黄体ホルモンの影響や子宮による圧迫の影響で胆汁がうっ滞しやすくなることで、かゆみが生じやすくなるといわれています。妊娠初期から中期にかけて発生し、分娩後1-2ヶ月で消失していくことがほとんどです。

妊娠性痒疹(にんしんせいようしん)

この症状が出る人は多くありません。出産とともに軽快します。

妊娠8週ごろから大きさ3-5mmの柔らかく赤い隆起している皮疹(丘疹)が体幹や四肢を中心に全身性に生じ、激しいかゆみを伴うのが特徴です。

原因は不明です。妊娠初期の時点から発症します。2度目以降の妊娠で起こることが多いと言われていますが、初めての妊娠で起こる人もいます。

かゆみが強いため引っ掻いてしまうと、赤茶色く固くなってしまいます。治りにくいこともありますが、出産後には軽快していきます。

多形妊娠疹(たけいにんしんしん、PUPPP、PEP)

この症状が出る人は多くありません。出産とともに軽快します。

蕁麻疹じんましん)のように赤みがありもりあがった発疹で、妊娠線のそばや体幹、四肢など全身性に生じ、激しいかゆみを伴うのが特徴です。小さな発疹が融合し、広範囲におよぶこともあります。

妊娠後期が生じやすい時期です。初めての妊娠や双胎(ふたご)の場合に起こりやすいといわれています。出産後には自然に軽快していきます。

かゆみがある場合にできる対策

かゆみが生じるような皮膚トラブルがある場合は以下のような対策があります。

  • 下着など肌に触れるものはできるだけ低刺激のものを選ぶ(綿や絹素材)
  • せっけんや化粧水は低刺激のものを選び、体を洗う際にはしっかりと泡立てる
  • 掻き傷を作らないように、爪は短くする
  • かゆみがひどい場合には、かゆみのある部位をアイスノンなどで冷やす(腹部は冷やさない方がよい)
  • 汗をかくとかゆみが増しやすいため、汗をかいた場合には着替える、シャワーを浴びるなどして皮膚を清潔に保つ。
  • 乾燥もかゆみを悪化させる原因となるため、乾燥がある場合には刺激の少ない保湿剤を使用する

皮膚のトラブルに使う薬剤

発疹がひどい場合にはかかりつけの医師に相談してください。妊娠中に使用できる薬剤もあります。保湿剤の処方や発疹のひどい部位にはステロイド外用薬(塗り薬)、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬などの内服薬が処方されることがあります。悪化すると出産後に跡に残ってしまうものもあり、妊娠中に使用が可能な薬はありますので、かかりつけの医師に相談をしてみましょう。また妊娠前に使用している薬がある場合には、かかりつけの医師に確認した上で使用を続けましょう。

受診のタイミング

皮膚のみの症状であれば問題ないことがほとんどですが、まれに妊娠中に麻疹はしか)、風疹水痘みずぼうそう)、伝染性紅斑りんご病)、手足口病などの感染症にかかることで皮膚症状が出る可能性があります。皮膚症状に加えて熱があったり、周囲に感染症にかかった人がいる場合には病院を受診しましょう。

10. 妊娠中の胸やけにはどう対応する?

原因

妊娠初期はつわりが原因で嘔吐を繰り返すことで胸やけが生じたり、妊娠中期以降はおおきくなった子宮によって胃が圧迫されやすく胃の中の酸などが逆流しやすいため胸やけが起こることがあります。

妊娠中期に入り、妊娠20週から24週ごろになると大きくなった子宮が胃を圧迫したり、妊娠中に黄体ホルモンが増加することで胃腸の運動が抑制され胃酸の分泌が増えたりすることで胸やけの症状が現れやすくなります。

対策

つわりが終わるもしくは妊娠後期に入り赤ちゃんが骨盤内に下がってくると胃の圧迫が抑えられて自然に胸やけが軽快することがほとんどです。

胸やけの症状は食事後に起こりやすいですので、以下のような対策が効果的です。

■脂肪分の多い食事を避ける

脂肪の多い食事をすると胸やけは感じやすくなります。特に揚げ物やロース肉、ひき肉などは脂肪分が多いため、もも肉やヒレ肉などを使用することをお勧めします。

■食事はゆっくりと食べる

食事はできるだけ30分以上かけてゆっくりと摂取し、消化を助けましょう。

■食後はすぐに横にならない(仰向けで寝ない)

食後すぐに横になってしまうと食べたものが逆流してきやすくなります。そのため、食事後横になる場合には、少しだけ頭を高くした状態で寝るようにしましょう。

■締め付けのある衣服の着用は避ける

締め付けにより食後に胸やけが悪化する可能性があります。着心地の楽なものを着用しましょう。

受診のタイミング

ほとんどの場合は妊娠中の生理的な変化であり、自然に軽快するため様子をみて大丈夫です。胸やけが続きつわりの時期をすぎても食事が困難であるなどの場合にはかかりつけの医師に相談をしましょう。

11. 妊娠してから動悸、息切れがしたら?

原因

動悸(どうき)とは心臓の拍動を苦しく感じることです。

妊娠初期の頃から血液量は増加し、妊娠32週から妊娠34週ごろに最大量となります。妊娠する前に比べて最大40%から50%の血液量が増えます。血液の量が増えることによって全身に血液を送り出す心臓に負担がかかり心拍数は自然に増え、妊娠中は動悸を自覚しやすくなります。

また妊娠によって呼吸の回数が生理的に増え、息切れを感じやすくなります。妊娠後期になると大きくなった子宮によって横隔膜が圧迫され肺が広がりにくい状況になり深い呼吸がしづらくなるため、息切れを感じることがあります。

対策

妊娠中の動悸や息切れは生理的な変化なので、多くの場合は治療の必要がありません。

外出先などで歩く機会や立ちっぱなしの状況が続く場合には、こまめに休憩をとるようにしましょう。他に症状がなく、安静にして動悸や息切れが治まるようであれば特に問題はありません。

受診のタイミング

動悸や息切れは妊娠の経過によって生理的に起こりやすいですが、注意が必要な場合もあります。

妊娠前から心臓の病気を指摘されていて、動悸や息切れの症状がある場合には、元々の疾患が妊娠によって血液量が増えることで悪化している可能性もありますので注意してください。また動悸や息切れ以外に以下のような症状がある場合には、なにか他の原因があるかもしれません。かかりつけの医師に相談しましょう。

  • 安静にしても治まらないような動悸や息切れ
  • 不整脈の自覚がある
  • 全身がむくんでいるような自覚がある
  • 全身がだるい感じ(倦怠感)や息苦しさがある
  • 胸に痛みを感じる

12. 妊娠中の歯周病、虫歯(う歯)は赤ちゃんに影響する?

症状、原因

妊娠初期はつわりで口の清潔を保つことが困難になったり、唾液の分泌量が減ることで口の中が酸性に傾きやすく虫歯が起こりやすい状況になります。

また、妊娠初期にかぎらず、妊娠中のホルモンバランスの影響で歯周病の病原菌が増殖しやすく、歯肉炎歯周炎といった歯周病にかかりやすい状態にあります。

虫歯歯周病では以下のような症状があります。

  • 虫歯の症状
    • 歯の痛み(食べ物を食べる時や冷たいものを飲んだ時などに痛みがある)
    • 歯が黒ずんでいる、欠けている
  • 歯周病の症状
    • 歯茎の腫れ、赤み
    • 歯磨きの際などに出血しやすい
    • 歯がグラグラする
    • 歯と歯茎の間に隙間ができ、物が詰まりやすくなる

対策

■歯磨きを徹底する

虫歯歯周病の予防のためには、日々の歯磨き(ブラッシング)が大切です。必要があれば歯間ブラシやデンタルフロスなども使用して歯の清潔な状態を保ちましょう。

また妊娠初期で歯磨きが難しい場合には、食後には限らず1日の中で体調の良い時に歯磨きをするもしくはうがいを十分に行うようにしましょう。

■妊娠中期には歯科検診を受診する

つわりが落ち着いた妊娠中期以降には、症状がなくても歯科検診を受診しましょう。母子手帳には母の歯科検診の欄というものもありますので、定期的に受診して歯周病虫歯の症状や兆候がないかをチェックし必要があれば治療もしてもらいましょう。受診するときには、母子手帳と保険証を持参し、妊娠しているということを必ず伝えましょう。

受診のタイミング

医学研究からは、歯周病を持っていた妊婦で、歯周病がなかった妊婦に比べて早産かつ低出生体重児(妊娠36週6日までの出産で、出生時の体重が2,500g未満)の割合が高かったという報告があります。

また、妊娠中の歯周病治療を行った妊婦は、歯周病の治療を行わなかった妊婦に比較して早産・低出生体重児が少なくなったという報告もあります。

そのため、歯周病虫歯が疑われるような症状があった場合には、妊娠しているということを伝えて、歯科を受診しましょう。また、症状がない場合にも、歯科検診を受け歯のトラブルを予防することをオススメします。

参照:J Periodontol. 1996 Oct;67(10 Suppl):1103-13. J Periodontol. 2005 Nov;76(11 Suppl):2144-53

13. 妊娠中に起こりやすい尿のトラブルは?(頻尿、尿漏れ、尿閉)

症状

女性の骨盤の正中矢状断。膀胱は子宮と隣り合っている。

子宮と膀胱はとても近い場所に位置しています。妊娠にともなって子宮が大きくなることや骨盤底筋がゆるむことで尿漏れや頻尿尿閉(尿が出にくくなること)などの症状が出ることがあります。

妊娠12週から妊娠16週の子宮が大きくなり始める時期にかけては、人によって症状はそれぞれです。膀胱が子宮によって圧迫され尿の回数が多くなる(頻尿)と自覚したり、もしくは膀胱の出口が圧迫され尿が出づらい、出ないと自覚することがあります。特に子宮が後屈(背中側に子宮が傾いている状態)している人に起こりやすいです。

膀胱に尿がたまりすぎると子宮により出口が圧迫されやすくなってしまうため、尿を我慢しすぎないことによって予防できます。2〜3時間に1回ほど排尿をするようにしましょう。

妊娠期間が進み子宮がより大きくなることで尿閉は自然に解消されていくことが多いです。

妊娠中期から妊娠後期にかけて(妊娠16週0日以降)は、子宮が大きくなるのに伴って、膀胱は圧迫されて妊娠前に比べて膀胱に尿を貯めるのが難しくなります。そのため尿回数が増えます。また、尿が出ないように止めておくのは尿道括約筋という筋肉が関係していますが、妊娠するとこの筋肉が緩むためちょっとした動作で尿漏れが発生しやすくなります。そのため尿意を感じて立ち上がった時に尿漏れしてしまう、尿を我慢しようとしてもできず少し漏れてしまうなどの症状が起こりやすくなります。

尿漏れの対策

妊娠中の生理的な変化によって尿漏れは起こりやすくなるため、ある程度は仕方がありません。尿漏れを自覚するような場合には以下の対策をとりましょう。

  • 膀胱に尿が溜まりすぎると尿漏れは起きやすいため、尿を我慢しすぎない
  • 夜間の尿もれが気になる場合には、昼間の水分摂取を多くし寝る前の水分摂取を控える
    • ただし、水分量自体を少なくすることは脱水などの原因にもなるためしない
  • 尿漏れが繰り返す場合には、尿漏れ専用のパッドを使用しあてておく

妊娠中に尿漏れの自覚のあった人は尿道括約筋がゆるみやすい傾向にあるため、出産後にも尿漏れが起こりやすくなります。出産後は、尿道括約筋の強化にもつながる骨盤底筋群の体操をして尿漏れの改善に心がけましょう。

受診のタイミング

■どうしても尿が出ない

尿意があるのにどうしても尿がでないといった症状がある場合は病院を受診しましょう。自力での排尿が困難な場合には、病院で導尿をしてもらう必要があります。尿が出ない症状が続く場合には、自己導尿といって自分で尿道の入り口から管を入れて導尿をする方法を病院で教えてもらうことがあります。尿が出ない状態が続くと膀胱炎腎盂腎炎などの原因にもなるため、症状がある場合には受診をしましょう。

■尿がでた後もトイレに行きたい(残尿感がある)、排尿の際に痛みがある、尿が白っぽい、熱が出る、背中が痛い

尿回数が多いことに加えて、上記のような症状がある場合には、膀胱炎腎盂腎炎の可能性があります。妊娠中はおりものが増加することなどの影響で細菌感染がおきやすい状態にあります。膀胱炎腎盂腎炎の場合には治療が必要な場合もありますので、症状がある場合は、かかりつけの病院に相談しましょう。

■破水か尿漏れか区別がつかない

尿漏れは破水と区別がつきにくい場合があります。破水には、ナプキンが1時間でびっしょりになってしまうような分かりやすいものもありますが、尿漏れのように動くと少量でる程度の場合もあります。そのため以下のような症状がある場合には必ず病院を受診しましょう。

  • 尿意はないのにナプキンが濡れている
  • トイレを済ませた後にも、動く度にチョロチョロと液体が流れる感じがある
  • 尿のような匂いはなく、透明のサラサラした液体がナプキンについている

また破水かもしれないと感じた後は細菌感染の予防のために、入浴やウォシュレットの使用は避けましょう。病院を受診し診察をすれば、すぐに破水かどうかはわかります。破水には量の多い少ないは関係なく、破水だった場合にはかならず入院して管理が必要になります。

破水かどうか迷った場合には、必ずかかりつけの病院を受診しましょう。

14. 妊娠中は足がつりやすい?(こむらがえり)

症状

寝ているときなど突然ふくらはぎに痛みが出てつったようになることをこむら返りといいます。妊娠中によく起こる症状の1つで体に負荷のかかりやすい妊娠中期〜妊娠末期にかけて特に30週前後におこりやすくなります。

原因

原因ははっきりしていない所もありますが、以下のようなものがあると考えられています。

  • 妊娠によってお腹が大きくなり足にかかる負担が大きくなるため、ふくらはぎの筋力が疲労しやすくなること
  • 子宮によって足の血流が停滞しやすくなること
  • 妊娠32週にかけて血液中のカルシウムの濃度が低くなること
  • 妊娠中の生理的な変化で血液中のナトリウムが減少すること

対策

こむら返りは妊娠中に起こりやすい症状であり数分で自然に治まるため、妊娠経過に影響をおよぼすことはありません。対処法はよくわかっていないのですが、効果がはっきり証明されていないものも含めて、考えられているものを紹介します。

■痛みの少ない体勢で様子をみる

そのため下肢の痙攣が起こった場合には、痛みの一番少ない体勢でしばらく様子をみましょう。足首を直角にするのがこわばりが少ないとも言われますので、痛みが強くなければ足首を直角にし様子をみてみるのもよいと思います。

■陽陵泉のツボ押しをする

陽陵泉(ようりょうせん)とは足の筋肉の引きつりを和らげるツボのことで、こむら返りにも効果的と言われています。ツボの部位は、膝の外側に触ることのできる突出した骨のやや下にあるくぼみのことです。

症状が起こった時の対処法以外に、普段から気をつけることのできる予防法も紹介します。

■ふくらはぎのマッサージやストレッチ

足の血行を良くすること、筋肉の緊張を防ぐことでこむら返りが予防できる可能性があります。適度な運動も下肢の血流改善に効果的です。

■適度なヒール(3cm程度)がある履物を選ぶ

ヒールのない靴やヒールが高すぎる靴はふくらはぎの筋肉が疲れやすくなってしまう可能性があります。転ばないためにも、3cm程度の安定したヒールのあるものを選ぶとよいでしょう。

■食事バランスに気をつける

食事についてははっきりしていませんが、マグネシムの摂取がこむらがえりに効果的という説もあります。

■漢方薬の使用

当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)は体力がやや虚弱で下半身に冷えを伴うような体質・状態に適するとされ、脚気などにも効果が期待できるとされています。そのため、こむら返りにも有用と考えられます。方剤名の由来にもなっている主薬である当帰は血の巡りをよくし、芍薬は痛みや筋肉の痙攣(けいれん)を抑えるように働きます。また一般的にこむら返りに有用とされる芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)にも含まれる生薬です。

受診のタイミング

こむら返りは妊娠中に起こりやすく、妊娠経過にも特に影響がないものですので、自然に収まっているようであれば特に問題はありません。たびたび繰り返して負担を感じていたり、痛みが取れないなど自然に治まらない場合には、医師に相談をしてください。