ぼうこうえん

膀胱炎

尿をためる膀胱の炎症。若い女性では毎年数%の人に起こる。原因は大腸菌が80%程度。軽症なら自然治癒する。市販薬に細菌を除く効果はない

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14人の医師がチェック 170回の改訂 最終更新: 2016.10.24

膀胱炎の基礎知識

膀胱炎について

  • 尿をためる臓器である膀胱(ぼうこう)に炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るが起きている状態
  • 女性に多い
    • 若い女性のうち毎年数%の人に発生する
  • ほとんどの場合、細菌感染症を起こす微生物の1つ。ウイルスと比較して10-100倍の体の大きさをもつが尿道から逆流して膀胱に感染することで起こる
    • 原因は大腸菌健康なヒトの大腸内で生息し、また環境中にも広く分布している微生物のことが多い(80%程度)
    • ほかプロテウス属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、ブドウ球菌ブドウ球菌属に属する細菌の総称。黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌が有名など
    • 細菌の量が多かったり、免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患力が落ちていたりすると、膀胱炎になりやすい
    • 女性は男性よりも尿道の出口から膀胱までの距離が短く、細菌が膀胱にたどり着きやすいため、膀胱炎を起こしやすい
    • 特に女性では、同じ人が繰り返し何度も膀胱炎にかかることがある
  • 尿道カテーテルは感染の原因になりやすい
  • 尿が正常に流れていないときは感染しやすい
    • 高齢男性では前立腺男性の尿道の奥の部分を取り囲むようにある臓器。前立腺液と呼ばれる液体を分泌したり、尿の排泄をコントロールしたりしている肥大により尿の流れが悪くなると感染しやすくなる
    • 包茎だと感染しやすい
    • がん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがあるで尿の通り道が塞がれると感染しやすくなる
    • 尿路結石があると感染しやすい
    • 神経因性膀胱で尿を出せない状態では感染しやすい
    • 尿路の先天異常により、膀胱から腎臓に向かって尿が逆流する状態(膀胱尿管腎臓と膀胱を繋ぐ細い管。腎臓で作られた尿は、尿管を通って膀胱に流れ込む逆流)があると感染しやすい
  • 性行為で感染するクラミジアや淋菌細菌の一種で、眼、のど、性器などに感染症を引き起こすも原因になる
  • その他の原因の例
    • 真菌病気の原因となる微生物のうち、かびの仲間のこと。細菌に対する薬である抗菌薬は効果がなく、真菌感染症には抗真菌薬が用いられる感染
      カンジダ真菌(かび)の一種であり、しばしば様々な部位で感染を起こす原因となるなどの真菌(カビ病気の原因となる微生物のうち、かびの仲間のこと。細菌に対する薬である抗菌薬は効果がなく、真菌感染症には抗真菌薬が用いられる)が原因になることがある
      ・真菌による膀胱炎は糖尿病などの人で多い
    • ウイルス様々な病気の原因となる病原体の一つ。細菌とは別物であり、抗菌薬は無効である感染(アデノウイルス一般的なウイルスの一つで、風邪、結膜炎、胃腸炎、膀胱炎などの原因となる
    • 薬剤性薬が原因となって病気が引き起こされたり症状が現れたりすること
      抗がん剤悪性腫瘍(がん)に効果を発揮する薬剤。ただし、がん以外の良性疾患に用いられることもあるの副作用など
      ・市販薬ではアレルギー免疫反応によって、体が過剰な防御反応を起こして悪影響が生じてしまう状態を抑える薬のペミロラスト(商品名アレギサール、ペミラストン)など
    • 放射線性(放射線治療主にがんに対して用いられる、放射線を用いた治療法の副作用)
  • 殺精子剤は女性の尿道の周りの細菌叢(フローラ)を変えてしまい、感染症何らかの病原体が引き起こす病気。細菌、ウイルス、真菌などが原因となることが多い。人から人へ直接うつらないものも含めた総称を起こす
  • 尿路感染症が起こりやすい体質が遺伝する場合がある
  • 膀胱炎の中でも出血を伴うもの(出血性膀胱炎)や慢性化するもの(慢性膀胱炎)などがある
  • 間質性膀胱炎は原因不明で、抗生物質微生物が産生する細胞の増殖や機能を阻害する物質。抗菌薬・抗ウィルス薬・抗がん薬を含むは効かない

膀胱炎の症状

  • 膀胱が刺激されて排尿に関する様々な症状が出る
  • 典型的な症状
    • 濁った尿
    • 血尿尿に血液成分が混じった状態。尿の通り道に病気があると起こる。血尿といっても真っ赤とは限らず、見た目は普通で、検査をしないと血尿であることが分からない場合も多い
    • 臭いが強い尿
    • 頻尿排尿のため、トイレに何度も行かなければならない状態。原因は様々であるが、膀胱や尿道、神経に何らかの異常があることで起こる(頻繁に排尿したくなる)
    • 残尿(排尿後に、立ち上がると少し追加の尿が漏れるように出たり、尿の切れが悪くなること)
    • 尿が我慢しづらい(尿意を感じてから、トイレに駆け込むまで、我慢ができないことがある)
    • 排尿時の痛み(排尿をするときに、しみるような痛みが出る)
    • 下腹部の痛み
    • 痛みがなくいきなり血尿が出るなど、一部の症状だけが出ることもある
  • 血尿が出ても重症とは限らない
    • 出血が多い場合、血の塊が尿に混じることがある
    • 尿の色で原因や重症度はわからない
  • 上のような症状に加えて高熱がある場合は、腎臓まで感染が進んでいる(腎盂腎炎)可能性がある
  • 腎盂腎炎に進んだときの主な症状
    • 発熱
    • 寒気、ふるえ
    • 背中の痛み、腰痛
    • 筋肉痛
    • だるさ
    • 吐き気、嘔吐
    • 下痢
  • 妊娠中の膀胱炎や腎盂腎炎早産正期産以前、つまり妊娠37週0日よりも前に赤ちゃんが生まれること。ただし妊娠22週未満の出産は含まないなどにつながる場合がある

膀胱炎の検査・診断

  • 尿検査、細菌検査病気を引き起こしている細菌の、種類を特定するための検査:尿の中の白血球血液の中にある血球の一種。免疫を担当しており、病原体が体内に入って来た時に、それと戦う役割を担う数や細菌感染症を起こす微生物の1つ。ウイルスと比較して10-100倍の体の大きさをもつがいないかなど調べる
    • 膀胱炎を疑う症状に加えて、検査で尿の中に細菌(100,000個/ml以上)や白血球が多く存在すれば膀胱炎を強く疑う
    • 尿の中に細菌がいても症状を起こさない場合も多い
    • 膀胱炎でも細菌が見つからないこともある
  • 膀胱炎を繰り返す場合に行う検査
    • 膀胱尿道造影検査造影剤を用いて、膀胱と尿道の状態を調べる検査:尿道や膀胱などの尿路に異常がないかなどを詳しく調べることもある

膀胱炎の治療法

  • 軽症なら自然治癒病気が、それ以上の治療を必要としない状態になること。完治とほぼ同じ意味する
  • 水分を多くとって、普段よりもたくさん尿を出すことで、尿ごと病原体を洗い流す
  • 便秘がちな人は、便通の改善も膀胱炎の予防になる
    • 便秘が強い人は膀胱炎になりやすい
  • 膀胱炎を効能効果とする市販薬の例
    • 長倉泌尿煎(ヒニョウセン)
    • 腎仙散(ジンセンサン)
    • ネオ腎仙湯(ジンセントウ)
    • ウチダの八味丸料(ハチミガンリョウ)
    • ウチダの五苓散(ゴレイサン)
    • ボーコレン(五淋散)や猪苓湯(チョレイトウ)には「膀胱炎」の効能効果はない
    • 市販薬には細菌感染症を起こす微生物の1つ。ウイルスと比較して10-100倍の体の大きさをもつを除く効果はない
  • 細菌感染が原因であれば抗菌薬細菌感染症に対して用いられ、細菌の増殖を防ぐ、もしくは殺菌する薬。ウイルスや真菌(かび)には効果がない抗生物質微生物が産生する細胞の増殖や機能を阻害する物質。抗菌薬・抗ウィルス薬・抗がん薬を含む)を使用
    • 大人では、多くの場合は飲み薬の抗生物質で治療可能
    • 重症の場合や、特殊な病原体が原因の場合には、点滴の抗生物質を使用することがある
    • 抗生物質は原因になった細菌に合う種類のものを選ばなければ効かない
  • 膀胱炎に使われる抗生物質の例
    • ニューキノロン系抗菌薬
      ・レボフロキサシン(商品名:クラビットなど)、シプロフロキサシン(商品名:シプロキサンなど)
      ・ニューキノロン系抗菌薬は妊娠中・授乳中は使えない
      ・子供は限られた場合を除いて使えない
      ・レボフロキサシン、シプロフロキサシンともにジェネリック医薬品がある
    • ST合剤(商品名:バクタなど)
      ・ST合剤は妊娠中・授乳中は使えない
      ・子供も使える
      ・ジェネリック医薬品がある
    • 第三世代セフェム系抗菌薬
      ・セフカペンピボキシル(商品名:フロモックスなど)、セフジトレンピボキシル(商品名:メイアクトなど)、セフポドキシムプロキセチル(商品名:バナンなど)、セフジニル(商品名:セフゾンなど)
      ・第三世代セフェム系抗菌薬は、若い女性で膀胱炎を起こしやすいStaphylococcus saprophyticus(腐性ブドウ球菌ブドウ球菌属に属する細菌の総称。黄色ブドウ球菌と表皮ブドウ球菌が有名)などのグラム陽性球菌には効きにくい
      ・第三世代セフェム系抗菌薬の飲み薬は腸から吸収されにくい
    • 妊娠中にはアモキシシリン・クラブラン酸合剤(ペニシリン系抗菌薬、商品名オーグメンチンなど)、セファクロル(第一世代セフェム系抗菌薬、商品名ケフラールなど)などの抗生物質が使える
      ・ケフラールは授乳中には使えない
      ・オーグメンチンには添付文書上に授乳中の注意はない
    • 特定の抗生物質が効かない耐性菌特定の種類の抗生物質が効かなくなった菌のこと。菌は常に突然変異を繰り返しており、薬に抵抗性を持ってしまうことがあるが増えつつある
    • 抗生物質の治療期間が終了しても症状が続く場合は耐性菌を疑う
    • ホスホマイシン(商品名:ホスミシンなど)はある種の耐性菌に対して優先的に使われる
      ・子供も使える
    • 耐性菌に対して使われる抗生物質にファロペネム(商品名:ファロムなど)などがある
      ・子供を想定した製品(ファロムドライシロップ小児用)もある
    • 抗生物質は生理(月経)の周期や妊娠しやすさには影響しない
    • 抗生物質を飲んで血尿尿に血液成分が混じった状態。尿の通り道に病気があると起こる。血尿といっても真っ赤とは限らず、見た目は普通で、検査をしないと血尿であることが分からない場合も多いが出た場合、もともとの膀胱炎の症状が遅れて出ている可能性がある
  • 膀胱炎に対しては最優先になりにくい抗生物質の例
    • マクロライド系抗菌薬
      ・クラリスロマイシン(商品名:クラリス、クラリシッドなど)
      ・アジスロマイシン(商品名:ジスロマックなど)
  • 抗生物質による治療期間は多くの場合3日から7日
  • 細菌以外が原因の場合は、原因を避けて自然に治るのを待つことが多い
    • 薬剤性薬が原因となって病気が引き起こされたり症状が現れたりすることであれば原因と疑われる薬剤の中止を検討
    • カテーテルが原因と疑われれば取り除く
    • ウイルス様々な病気の原因となる病原体の一つ。細菌とは別物であり、抗菌薬は無効である性であれば経過観察病気の状態や健康の状態を見守ること。その時点で治療する必要がないと医師が判断した場合や、診断のためにその後の経過を見なければならない場合に行われる
  • 血尿は感染が収まれば自然に治るので、血尿を薬で止めようとする必要はない

膀胱炎に関連する治療薬

アミノグリコシド系抗菌薬

  • 細菌のタンパク質合成を阻害し殺菌的に抗菌作用をあらわす薬
    • 細菌の生命維持や増殖にはタンパク質合成が必要となる
    • タンパク質合成はリボソームという器官で行われる
    • 本剤は細菌のリボソームにおけるタンパク質合成を阻害して抗菌作用をあらわす
  • 薬剤によって抗菌作用の範囲に違いがあり、淋菌(淋菌感染症の原因菌)やMRSA(MRSA感染症の原因菌)などに抗菌作用をもつ薬剤もある
アミノグリコシド系抗菌薬についてもっと詳しく

ST合剤

  • 細菌などが行う葉酸合成と葉酸の活性化を阻害し増殖を抑えることで抗菌作用をあらわす薬
    • 細菌などの増殖には遺伝情報を含むDNAの複製が必要でDNAの複製には葉酸が必要となる
    • 細菌などは自ら葉酸を作り、活性化させることでDNAの複製に使用する
    • 本剤は葉酸合成阻害作用をもつ薬剤と葉酸の活性化を阻害する薬剤の配合剤
  • 真菌が原因でおこるニューモシスチス肺炎に使用する場合もある
ST合剤についてもっと詳しく

セフェム系抗菌薬

  • 細菌の細胞壁合成を阻害し細菌を殺すことで抗菌作用をあらわす薬
    • 細胞壁という防御壁をもつ細菌はこれがないと生きることができない
    • 細菌の細胞壁合成に深く関わるペニシリン結合タンパク質(PBP)というものがある
    • 本剤は細菌のPBPに作用し細胞壁合成を阻害することで細菌を殺す作用をあらわす
  • 妊婦にも比較的安全に投与できるとされる
  • 開発された世代によって第一世代〜第四世代に分けられる
    • 各世代で、各種細菌へ対して、それぞれ得手・不得手がある
    • 世代が同じであっても薬剤によって各種細菌に対して得手・不得手の違いが生じる場合がある
セフェム系抗菌薬についてもっと詳しく

膀胱炎の経過と病院探しのポイント

膀胱炎かなと感じている方

膀胱炎では、頻尿排尿のため、トイレに何度も行かなければならない状態。原因は様々であるが、膀胱や尿道、神経に何らかの異常があることで起こる、排尿時の痛み、腹痛など様々な症状が出ます。多くの場合は軽症であり、一般的な内科や小児科のクリニックで十分に対応が可能です。

38度以上など、高熱がある場合には膀胱炎が進行して腎盂腎炎になっている可能性がありますので注意が必要です。

膀胱炎の診断は問診医師が、ある症状や病気についての経過を聞き、質問を繰り返すこと、診察と尿検査で行います。尿検査は試験紙を用いた簡単なものですから、内科のクリニックでも対応可能なところは多いです。レントゲンX線(放射線)を使って、体の中の状態を簡易的に調べる画像検査CTX線(放射線)を用いて、体の内部を画像化して調べる検査、超音波といった画像検査では、膀胱炎を診断することはできません。

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膀胱炎でお困りの方

膀胱炎の治療は、抗生物質微生物が産生する細胞の増殖や機能を阻害する物質。抗菌薬・抗ウィルス薬・抗がん薬を含むの内服で行います。診断がついた後の治療は、すでにある程度決まったものがありますので、特殊な専門病院でなければならないなどということはなく、病院を探す上で気にするべき大きな差はありません。一般的な膀胱炎であれば、初回に薬をもらうだけで、その後の通院は不要です。

個人輸入などで抗生物質を手に入れて自己判断で飲むのはきわめて危険です。絶対にやめてください。そもそも抗生物質を使ってはいけない場合があります。また適切な種類の抗生物質を選ぶには専門的な判断が必要です。個人輸入で偽物や不純物を含んだ薬を飲んで死亡した事故も多発しています。個人輸入では耐性菌特定の種類の抗生物質が効かなくなった菌のこと。菌は常に突然変異を繰り返しており、薬に抵抗性を持ってしまうことがあるが感染していて効かなかった場合や、副作用が出た場合のケアもありません。膀胱炎は病院に行けば簡単に治る病気です。わざわざ危険を冒す理由がありません。

尿に症状が出るので「性病ではないか?」と思えて病院に行くのに抵抗を感じる方がいるかもしれません。しかし、膀胱炎はどんな人にも、特に女性なら非常に多く起こる病気です。必ずしも性病ではありません。相談をためらう必要はありません。

年に何回も膀胱炎を繰り返す場合や、抗生物質が効かない場合には泌尿器科専門医に相談の上で診療を受けることをお勧めします。

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