くらみじあせいかんせんしょう
クラミジア性感染症
クラミジアが生殖器や尿道、口などに感染した状態。性感染症の代表例である
15人の医師がチェック 116回の改訂 最終更新: 2023.08.18

クラミジア性感染症の基礎知識

POINT クラミジア性感染症とは

クラミジア・トラコマチスによる性感染症のことを指し、子宮・尿道・口腔などの粘膜に感染が起こりやすいです。主な症状は、排尿時痛・尿道からの膿・性行為の際の痛み・不正出血などです。女性が感染を放置しておくと骨盤内炎症性疾患という重症な状態になり、腹痛や吐き気が出ることがあります。この状態になると不妊や子宮外妊娠のリスクとなる、できるだけ早く治療する必要があります。 診断は尿や膣分泌液などを採取してクラミジア・トラコマチスのDNA検査を行います。また、淋菌と同時に感染していることも多いため、淋菌の検査も併せて行う必要があります。治療は抗菌薬(マクロライド系抗菌薬、ニューキノロン系抗菌薬、テトラサイクリン系抗菌薬)を用いますが、近年抗菌薬の効かない場面が増えており耐性菌の存在には注意が必要です。クラミジア性感染症が心配な人や治療したい人は、性病科・感染症内科・泌尿器科・婦人科を受診して下さい。

クラミジア性感染症について

  • クラミジア・トラコマチスという細菌が子宮や尿道、口などの粘膜で感染を起こし増殖する性感染症
    • 感染した人との性行為で感染することがほとんど
  • 症状があまり出ないこともあり、その場合はなかなか感染していることに気付けない
  • 性感染症の中では一番多い病気
    • 感染を長らく放置しておくと不妊の原因にもなる
  • 淋菌感染症とあわせて両方に感染することが多いため、どちらかの病気しかかかっていなくても通常両方の治療を行う
  • 妊婦がクラミジア・トラコマチスに感染していると、新生児がクラミジア肺炎クラミジア結膜炎を起こすことがある
  • 性行為の際にきちんとコンドームを使用することが感染予防に繋がる

クラミジア性感染症の症状

  • 主な症状
    • 症状は男女の性器や口に現れる
  • 病気の説明
    • 男性、女性ともに半数以上が全く症状を感じないと言われているので、気付けないことから長期感染しやすい
    • 感染してから1~3週間で症状が起きることが多い
    • 発熱やのどに感染した場合、のどの痛みなどを起こす
    • 男性に起こりやすい症状
      • が尿道から出てくる
      • 排尿痛
      • 尿道の痛みや不快感
      • 精巣の痛み、腫れ
    • 女性に起こりやすい症状
      • おりものの増加
      • 不正出血 
      • 下腹部の痛み
      • 性行為の際の痛み

クラミジア性感染症の検査・診断

  • 細菌検査:血液や尿、おりものから菌を調べる
    • クラミジア特有のDNA(遺伝物質)を検出する検査を行い診断する
    • この検査により、併発しやすい淋菌感染症も検査しておくことが望ましい
    • 状況によってはHIVの検査も行うことがある

クラミジア性感染症の治療法

  • 基本的な治療方針
    • 基本的にクラミジア感染症に効果のある抗菌薬を1週間(期間は抗菌薬の種類による)飲むことが多い
    • 放置すると不妊症子宮外妊娠の原因になり得るため、きちんと治療することが必要
  • 主な治療
    • 抗菌薬
      • マクロライド系抗菌薬
      • ニューキノロン系抗菌薬
      • テトラサイクリン系抗菌薬
  • 予防、再発予防方法
    • 併発しやすい淋菌感染症を治療するために、セフトリアキソンなどのセフェム系抗菌薬を追加注射することもある
  • 長期的な経過
    • 感染が進行して骨盤腹膜炎肝周囲炎等になった場合には、通常よりも強化した治療が必要
      • 抗菌薬を点滴する
      • 通常よりも長期間抗菌薬を使用する
    • パートナーと感染を共有してしまうことが問題となる
      • 感染が分かった場合はパートナーも一緒に検査をすることが大切
      • パートナーと一緒に治療する必要がある
      • パートナーとうつしあうことを防ぐため、自分と相手の治療が終了するまで性行為は控える

クラミジア性感染症に関連する治療薬

マクロライド系抗菌薬

  • 細菌のタンパク質合成を阻害し細菌の増殖を抑えることで抗菌作用をあらわす薬
    • 細菌の生命維持や増殖にはタンパク質合成が必要となる
    • タンパク質合成はリボソームという器官で行われる
    • 本剤は細菌のリボソームでのタンパク質合成を阻害し細菌の増殖を抑える
  • マイコプラズマやクラミジアなどの菌に対しても高い抗菌作用をあらわす
  • 服用する際、比較的苦味を強く感じる場合がある
マクロライド系抗菌薬についてもっと詳しく

テトラサイクリン系抗菌薬

  • 細菌のタンパク質合成を阻害し細菌の増殖を抑えることで抗菌作用をあらわす薬
    • 細菌の生命維持や増殖にはタンパク質合成が必要となる
    • タンパク質合成はリボソームという器官で行われる
    • 本剤は細菌のリボソームでのタンパク質合成を阻害し細菌の増殖を抑える
  • 内服薬は薬剤の作用持続時間により(短い順に)短時間作用型、中等度作用型、長時間作用型に分けられる
  • 他の種類の抗菌薬と比較した時の特徴
    • ブルセラ症、ライム病などでは優先的に使用される薬剤
    • ヘリコバクター・ピロリ感染での除菌治療で使用される場合もある(他の抗菌薬に耐性がある場合など)
    • 熱帯熱マラリア予防などに使用する場合もある
テトラサイクリン系抗菌薬についてもっと詳しく

クラミジア性感染症の経過と病院探しのポイント

クラミジア性感染症が心配な方

クラミジア性感染症では男性の場合尿道から膿が出たり、排尿時に痛みを感じたりします。女性の場合、おりものの増加や不正性器出血、下腹部の痛み、性交痛が起きます。男女ともに、全く症状が現れない場合も多いです。また不妊の原因にもなります。

クラミジアを含む様々な性感染症でないかとご自身で心配になった時、最初に受診するのは産婦人科や泌尿器科、感染症内科のクリニックが適しています。クラミジアは性感染症の中でも一般的なものですので、特別な大病院や専門病院ではなくクリニックで十分診断や治療が出来ます。

クラミジア性感染症の診断は問診と診察、尿検査で行います。淋菌感染症を併発しやすいため、その検査も同時に行います。他の性感染症の検査を同時に行うことも多いです。

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クラミジア性感染症でお困りの方

クラミジア性感染症の治療は抗生剤です。マクロライド系、テトラサイクリン系、キノロン系の抗生剤が使われます。淋菌感染症を併発している場合には、別の種類の薬を併用することもあります。放置するとパートナーに移ったり、不妊の原因になったりするので、しっかりと治療することが大切です。

熱が出たり、お腹が痛くなった時には、症状が進行して骨盤腹膜炎肝周囲炎になっている可能性があります。そのような場合は入院の上で治療を行いますので、産婦人科のある病院を受診することをお勧めします。

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