クラミジアに感染するとHIVにも感染しやすくなるのか?

クラミジア性感染症やトリコモナス腟炎など、性感染症がある人にはHIV感染も多いと言われています。性感染症の原因になりやすい行動や環境がHIV感染のリスクにもなるという面に加えて、性感染症を発症することによってHIVに感染しやすくなると考えられています。アメリカの研究班がサルを使った動物実験を行い、クラミジアまたはトリコモナスに感染した後はウイルスに感染しやすくなっていたことを確かめました。
◆サルに予防接種とウイルス接触
研究班は、16頭のブタオザルというサルのメスを対象とした動物実験を行いました。サルのうち9頭には
◆性感染症のあるサルはすべてSHIVに感染した
次の結果が得られました。
SHIV感受性は性
感染症 に罹患したサルで強くなった(log-rank検定でP=0.04、リスク比2.5、95%信頼区間1.1-5.6)。ワクチンを接種しなかったうち3頭(43%)は性感染症に罹患しなかったが、性感染症に罹患したサルはすべてSHIVに感染した。さらに、性感染症に罹患しなかったサルに比べて、性感染症に罹患したサルでは月経周期の中でより早くSHIVに感染した(Wilcoxon検定でP=0.01)。
性感染症を
研究班は、この結果から「クラミジア・トリコマチスとトリコモナス原虫の感染はSHIV感受性を増し、その原因は遷延する生殖路の
クラミジアやトリコモナスと一緒にHIVにも感染するということは想像できますが、性感染症があることによってサルの体に何かの変化が起こって、HIVに感染しやすい状態になっていた、という可能性を示唆する結果です。人間でも性感染症の予防接種がHIVの感染しやすさに影響するのでしょうか?
執筆者
Increased susceptibility to vaginal simian/human immunodeficiency virus transmission in pig-tailed macaques coinfected with Chlamydia trachomatis and Trichomonas vaginalis.
J Infect Dis. 2014 Oct 15
[PMID: 24755433]
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