にょうろかんせんしょう
尿路感染症(総論)
腎盂腎炎、膀胱炎、尿道炎といった、尿の通り道に炎症が生じる感染症の総称
10人の医師がチェック 92回の改訂 最終更新: 2018.02.09

尿路感染症(総論)の基礎知識

POINT 尿路感染症(総論)とは

腎臓でできた尿は尿管・膀胱・尿道を通って、尿として体外に排出されます。この尿の通り道を尿路といい、尿路で起こった感染症を尿路感染症といいます。原因の多くは細菌で、大腸菌やクレブシエラ桿菌などの腸内にいるような菌かクラミジアや淋菌のような性病の原因になる菌などです。主な症状は、発熱・排尿時の痛みや違和感・血尿などです。検査は尿の中に白血球がいるかどうかを見る検査と細菌を培養する検査を行います。また、子どもが尿路感染症を繰り返す場合は、尿路の形に異常がある場合がありますので尿路造影検査を行うことがあります。 治療は抗菌薬を用いますが、程度の軽い膀胱炎では抗菌薬を使わない場合もあります。尿路感染症を疑ったり困ったりする場合は、内科・小児科・感染症内科・泌尿器科を受診して下さい。

尿路感染症(総論)について

  • 尿の通り道(尿路)に炎症が生じる感染症の総称
  • 感染原因の多くは細菌である
    • まれな例では真菌ウイルス、寄生虫が原因となることがある
  • 小児の腎盂腎炎は、おむつのために外陰部(尿道口の周り)が不潔になりがちな乳児期に発症しやすい。
    • 先天的な尿路の形態異常が原因となっている可能性があるため、小児科に相談が必要
    • 手術の必要があれば小児泌尿器科や小児外科で治療を行う
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尿路感染症(総論)の症状

  • 上部尿路感染症腎盂腎炎)で現れやすい症状
    • 発熱
    • 背部痛
    • 嘔吐
  • 下部尿路感染症膀胱炎尿道炎前立腺炎)で現れやすい症状
    • 頻尿
    • 排尿時の痛み
    • 残尿感
    • 血尿
  • 乳児の場合は上手に症状を言葉にすることが出来ないため、原因不明の発熱、不機嫌、食欲低下などを契機に発見されることが多い
症状の詳細

尿路感染症(総論)の検査・診断

  • 問診で自覚症状の有無を確認する
    • 排尿時の痛みや違和感の有無
    • 尿の色調
    • 尿のにおい
    • (特に若い男性や尿路感染症を繰り返す人は)性生活について
  • 尿検査
    • 尿の中に白血球赤血球がいるかどうかを簡易的に調べる検査
  • 細菌学的検査
    • 尿の中にどんな形の細菌がいるかどうかを、顕微鏡で観察する検査
      ・染色(グラム染色、チールニールセン染色など)をすることでよりわかりやすくなる
    • 尿の中にどんな種類の細菌がいるかどうかを、培養して調べる検査
    • 上部尿路感染症腎盂腎炎)を疑う場合には血液培養検査も行う
  • 血液検査
    • 全身状態を、また血液の培養で菌血症の有無を調べる
  • 腹部超音波
    • 腎臓の形や大きさ
    • 膀胱に尿が溜まってないかなどを調べる
  • CT検査
    • 主に腎臓の周りへの炎症の広がりなどを調べる
    • 尿路感染症以外の原因がないかを調べる
      ・胆のう炎や虫垂炎、大腸憩室炎など
検査・診断の詳細

尿路感染症(総論)の治療法

  • 抗生物質抗菌薬)の点滴や飲み薬を用いて治療する
  • 尿路感染症に加えて尿路結石や尿路の変形がある場合は、悪化しやすく治療が長引きやすい
  • 高齢者の腎盂腎炎は、悪化すると菌血症や敗血症となって命に関わることがある
  • 小児の腎盂腎炎において、不十分な治療は再燃や後遺症につながるので、原則入院して抗菌薬の点滴で治療開始する場合が多い
    • 尿培養の結果や再発歴などから必要に応じて画像検査が行われ、先天的な尿路の形態異常があった場合は抗菌薬の予防内服や手術が考慮される
治療法の詳細

尿路感染症(総論)に関連する治療薬

アミノグリコシド系抗菌薬

  • 細菌のタンパク質合成を阻害し殺菌的に抗菌作用をあらわす薬
    • 細菌の生命維持や増殖にはタンパク質合成が必要となる
    • タンパク質合成はリボソームという器官で行われる
    • 本剤は細菌のリボソームにおけるタンパク質合成を阻害して抗菌作用をあらわす
  • 薬剤によって抗菌作用の範囲に違いがあり、淋菌(淋菌感染症の原因菌)やMRSA(MRSA感染症の原因菌)などに抗菌作用をもつ薬剤もある
アミノグリコシド系抗菌薬についてもっと詳しく

ST合剤

  • 細菌などが行う葉酸合成と葉酸の活性化を阻害し増殖を抑えることで抗菌作用をあらわす薬
    • 細菌などの増殖には遺伝情報を含むDNAの複製が必要でDNAの複製には葉酸が必要となる
    • 細菌などは自ら葉酸を作り、活性化させることでDNAの複製に使用する
    • 本剤は葉酸合成阻害作用をもつ薬剤と葉酸の活性化を阻害する薬剤の配合剤
  • 真菌が原因でおこるニューモシスチス肺炎に使用する場合もある
ST合剤についてもっと詳しく

セフェム系抗菌薬

  • 細菌の細胞壁合成を阻害し細菌を殺すことで抗菌作用をあらわす薬
    • 細胞壁という防御壁をもつ細菌はこれがないと生きることができない
    • 細菌の細胞壁合成に深く関わるペニシリン結合タンパク質(PBP)というものがある
    • 本剤は細菌のPBPに作用し細胞壁合成を阻害することで細菌を殺す作用をあらわす
  • 妊婦にも比較的安全に投与できるとされる
  • 開発された世代によって第一世代〜第四世代に分けられる
    • 各世代で、各種細菌へ対して、それぞれ得手・不得手がある
    • 世代が同じであっても薬剤によって各種細菌に対して得手・不得手の違いが生じる場合がある
セフェム系抗菌薬についてもっと詳しく

尿路感染症(総論)の経過と病院探しのポイント

尿路感染症(総論)が心配な方

尿路感染症では、頻尿、排尿時の痛み、腹痛、腰痛、発熱など様々な症状が出ます。ただし、尿路感染症の大半(膀胱炎など)は軽症であり、一般的な内科や小児科のクリニックで十分に対応が可能です。一方で、腎盂腎炎のような重症化しやすいものについては、入院が必要になることが多いのでクリニックではなく病院での治療が適していると考えられるます。その場合には、感染症内科や腎臓内科、泌尿器科などが入院先の診療科として考えられます。

38度以上など、高熱がある場合には腎盂腎炎の可能性がありますので、病院の受診も選択肢の一つです。ただし、その場合も先にクリニックを受診した時点で、腎盂腎炎か否かの診断をつけてもらい、腎盂腎炎であれば病院を紹介受診するという手もあります。

尿路感染症の大半を占める膀胱炎については、問診、診察と尿検査で診断します。尿検査は試験紙を用いた簡単なものですから、内科のクリニックでも対応可能なところは多いです。尿路感染症の中でも腎盂腎炎の場合、上記検査に加えて血液検査、また超音波検査や腹部CT検査といった画像検査を行います。腎盂腎炎の原因として尿管結石が見つかることがあるため、その検査の意味で画像検査が行われます。

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尿路感染症(総論)でお困りの方

膀胱炎の治療は、抗生物質の内服で行います。診断がついた後の治療は、すでにある程度決まったものがありますので、特殊な専門病院でなければならないなどということはなく、病院を探す上で気にするべき大きな差はありません。一般的な膀胱炎であれば、初回に薬をもらうだけで、その後の通院は不要です。

腎盂腎炎の治療は、抗生物質の点滴で行います。尿管結石などが原因で尿の通り道が詰まってしまうと腎盂腎炎を起こしやすいのですが、そのような詰まりがある場合には、尿管ステントや腎ろうといった処置が必要になります。詳しくは腎盂腎炎や尿管結石のページもご参考になさってください。

年に何回も尿路感染症を繰り返す場合や、抗生物質が効かない場合には泌尿器科専門医に相談の上で診療を受けることをお勧めします。

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