2017.04.24 | ニュース

赤ちゃんの採尿を早く済ませる方法、5分以内が12%から31%に

354人の乳児で検証
from BMJ (Clinical research ed.)
赤ちゃんの採尿を早く済ませる方法、5分以内が12%から31%にの写真
(C) Africa Studio - Fotolia.com

乳児に尿検査をしたいとき、ただ尿が出るのを待っていては時間がかかってしまいます。尿を早く出させる工夫によって、5分以内に尿が出る割合が12%から31%に向上したことが報告されました。

オーストラリアの研究班が、生後1か月から12か月の乳児を対象に、「クイック・ウィー法」と呼ぶ方法で早く尿を出させることができるかを試し、医学誌『BMJ』に報告しました。

 

この研究では、乳児から採尿しようとするとき、外尿道口(尿の出口)を清潔にしたあとで、冷たい食塩水に浸したガーゼで下腹部に円を描くようにこするという方法を試しています。研究班はこの方法を「早く尿が出る」という意味の「クイック・ウィー法」と呼んでいます。

採尿を必要とする生後1か月から12か月の乳児354人が対象となりました。採尿が必要になった主な理由は、原因のわからない発熱、落ちつかない様子、哺乳がよくない、尿路感染症の疑い、嘔吐などでした。

対象の乳児はランダムに2グループに分けられ、クイック・ウィー法で採尿するグループ、清潔にするだけで自然に排尿されるのを待つグループ(標準的清潔採尿)とされました。5分以内に排尿があったかどうかで効果が判定されました。

 

次の結果が得られました。

クイック・ウィー法によって、標準的清潔採尿よりも有意に高い率で5分以内の排尿があり(31% vs 12%、P<0.001)、割合の差でクイック・ウィー法が19%勝っていた(95%信頼区間11%-28%)。

自然排尿を待ったグループでは5分以内に排尿した乳児は12%でしたが、クイック・ウィー法では31%の乳児が5分以内に排尿しました。不測の出来事などはありませんでした。

 

クイック・ウィー法という簡単な方法の研究を紹介しました。乳児の採尿には採尿パックなどの道具が使われますが、清潔に採尿しにくいなどの問題点もあります。近くの皮膚にいる細菌などが尿に混ざってしまうと、尿路感染症を正確に診断できなくなってしまいます。

クイック・ウィー法で手早く採尿できれば、よりスムーズに診断を進める役に立つかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Faster clean catch urine collection (Quick-Wee method) from infants: randomised controlled trial.

BMJ. 2017 Apr 7.

[PMID: 28389435]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。