「いつもより茶色い尿」、何が起きてるのか??

いつもより、尿の色が濃いと感じること、ありませんか?病院で体調不良の方と日々接していると、尿の色に様々なバリエーションがあることに、驚かされます。黄色、オレンジ、茶色、赤、緑、ピンク、紫、クリーム色と、人体の神秘を感じずにはいられません。さて、尿の色の変化は、何を意味しているのでしょうか。
◆茶色い尿
一番多いのは脱水によるパターンです。スポーツや発熱で汗をかいたり、起床直後で何時間も水分摂取してないタイミングであったりすると、尿が濃く、茶色くなります。
また腎臓や尿路の病気で出現する
◆黄色い尿
そもそも尿は黄色いものですが、
肝臓や血液の病気で
◆赤い尿
いわゆる血尿は、案外身近な
膀胱炎は特に女性に多い病気であり、全女性の半数以上が一生に一度はかかると言われています。膀胱炎によって血尿が出ることがあるのですが、これは治療によってすぐ改善する一時的なものです。
血尿はまた、体育会系運動部などで「血尿が出るまでしごかれた」と比喩的に言及されることもありますが、これは医学的にはそもそも血尿ではありません。激しい運動を続けると、筋肉の細かい部分が破壊され、筋肉に含まれるミオグロビンと呼ばれる物質が尿として排泄されます。これが赤く見えるのであって、血液による赤みではありません。
なお、牛やマグロの肉が赤いのも、このミオグロビンの色です。つまり、激しい運動をしすぎて尿が赤くなるのは、筋肉の色を見ているということになります。
◆乳白色(クリーム色)の尿
膀胱炎が極端に悪化すると、
◆緑色の尿
これも同じく、細菌が原因のことがあります。「
◆ピンク、紫色の尿
ここからは、基本的に病院内の話です。病院では尿道カテーテルといって、尿道に柔らかい管を入れて尿を回収する方法を用いることがあります。尿の中に特定の菌種の細菌が混じっていると、これらの細菌が産み出す物質によって、尿を溜めた袋がピンクになったり紫色になったりします。
ピンクになるのはセラチア菌で、お風呂や流しのピンク色をしたヌメリと同じものです。
紫になるのには様々な原因がありますが、purple urine bag syndromeで検索すると、何とも不思議な原色の世界を垣間見ることができます…。
今回ご紹介できたのは、尿の色が変化するケースのうちのごく一部です。
ここに書いたより何倍も多くの理由によって尿の色は変化し、また、今なお原因が解明されていないものも多々あります。急な尿の色の変化で心配がある場合には、まずはお近くのクリニックで相談されてみてください。
執筆者
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。