正常妊娠
多くの人が妊娠に気づくのが妊娠2ヶ月(妊娠4週0日から妊娠7週6日まで)です。妊娠したかもと気づくと、今までしてきた生活や体の症状、これから何をしたらよいかなど気になることも多いとおもいます。また、妊娠前にしておくことが勧められることもあります。そのような疑問に回答します。
最終更新: 2017.10.04

妊娠初期のお母さんと赤ちゃんの変化、症状は?

最終月経開始日を0週0日目として妊娠15週6日までを妊娠初期といいます。ここでは、妊娠初期におこるお母さんと赤ちゃんの変化について解説します。

1. 妊娠1ヶ月(着床から妊娠3週6日まで):妊娠超初期

赤ちゃんの変化

妊娠週数は月経周期が28日の人を基準として、最終月経の初日を妊娠0日目となるのが基本です。そのため、妊娠2週0日に排卵し卵子と精子が受精すると考えるので、妊娠2週までは厳密には妊娠は開始していません。

卵子と精子が受精しできた受精卵は細胞分裂(卵割といいます)を繰り返しながら細胞数を増やし発達していきます。こうして発達した受精卵は、胚盤胞(はいばんほう)または胞胚(ほうはい)と呼ばれる状態になります。

胚盤胞となると細胞の役割が分かれ、将来胎盤(たいばん)になる細胞(外細胞塊)と胎児に変化する細胞(内細胞塊)の2つに分かれていきます。胚盤胞は、受精してから約6-7日後に子宮内膜に着床(ちゃくしょう)します。通常、着床をもって妊娠の成立と扱います。

着床した胚盤胞は妊娠3-4週に子宮内膜の中に潜り込むようになります。

外細胞塊は胎盤を形成し始め、子宮と胎盤の間で血液循環が始まっていきます。赤ちゃんの元となる内細胞塊もさらに分かれていきます。

他にも後に羊水が満たされる羊膜腔(ようまくくう)や胎児の消化管の元となる卵黄嚢(らんおうのう)が形成されていきます。

お母さんの変化

この期間は、妊婦さん自身が妊娠したと自覚することは難しく、また検査で正確に妊娠を判定するのも難しい時期です。そのため、妊娠しているかいないかで行動を変えることもできません。言い換えれば「妊娠超初期のための生活の制限」というものはありません。

しかしもともと妊娠を希望しているなら、いつも「妊娠している可能性がある」と考えて行動することは合理的です。妊娠したいと思った時点でお酒やタバコを控えるのはよいことです。

妊娠は2ヶ月からはじまる?

妊娠のどの時期にあたるかは週を基準に言い表すことが多いですが、月で言うこともあります。妊娠3週6日までを妊娠1か月、以後4週ごとに2か月、3か月…と呼びます。つまり28日で「1か月」と計算しているので、妊娠が進むにつれてカレンダー上の「1か月」とはずれていきます。

妊娠を自覚したり、検査で判定したりすることができるのは通常妊娠5週ごろからです。妊娠4週0日から妊娠7週6日までは「妊娠2か月」に当たるので、妊娠がわかった時点で多くの人は「妊娠2か月」またはそれ以降ということになります。

2. 妊娠2ヶ月(妊娠4週0日から妊娠7週6日)

妊娠2ヶ月は赤ちゃんにとっては、さまざまな体の構造が形成されはじめる時期です。器官形成期(きかんけいせいき)とも言います。お母さんも妊娠に気づく時期で、病院に通い始めたり体調にも変化が出はじめます。

赤ちゃんの変化

この頃の赤ちゃんは胎芽(たいが)といわれます。妊娠12週までは、胎児の器官形成期と言われ主要な臓器が形成されていく大切な時期です。

妊娠5週から妊娠6週ごろには、心臓が形成され心拍が開始されます。心臓の構造はまだ未熟ですが、心臓から送り出された血液は胎芽の全身をめぐるようになります。

妊娠6週ごろには胎芽の形は大きく変化し、徐々に頭やお尻のような部分ができ、頭と胴体が分かれます。超音波検査で胎芽を見つけられる場合がありますが、とても小さいので頭と胴体などの形を見分けることはまだ難しいです。

お母さんの変化

お母さんがはじめて妊娠と気づくのは、生理が1週間以上遅れていると感じる妊娠5週ごろです。自覚することがある変化として以下があります。

  • 月経の停止
  • 悪阻(つわり)

妊娠成立を確認するためには以下を病院で検査することが必要になります。

  • hCG
  • 胎嚢

それぞれ説明します。

■月経の停止

妊娠すると、プロゲステロンというホルモンの分泌が増えることで排卵が抑制され、月経は停止します。月経周期が規則的な方の場合は、月経予定日よりも1週間月経が遅れる場合には妊娠検査薬の使用を検討しましょう。

■つわり(悪阻)が始まる

妊娠5週を越えるころにつわりが始まります。つわりは医学用語で悪阻(おそ)とも言います。なんとなく体にだるさがみられたり食欲が落ち、吐き気を自覚します。食事のバランスなどは気にしなくて大丈夫ですので、食べやすいものを食べられるタイミングで摂取しましょう。つわりは個人差が大きく、つわりの自覚が全くない人もいます。

■尿中もしくは血中のhCG量

hCG(エイチシージー)とは胚盤胞(受精卵が細胞分裂を繰り返したもの)から分泌されるホルモンです。hCGは成人の体では通常作られないため、尿や血液からhCGの量を検出することで妊娠の判定をすることができます。

市販されている妊娠検査薬もhCGの量を検出することで妊娠を判定しています。通常生理周期が規則的な方で、1週間ほど生理が遅れた時点で検査を行うと判定することができます。

■経膣超音波検査で子宮内に胎嚢(GS)が見られる

胎嚢(たいのう)とは赤ちゃんを包んでいる袋状の空間のことです。英語のgestational sacの略からGSとも言います。妊娠5週から6週ごろまでには経膣超音波検査で胎嚢を確認することができるようになります。経膣超音波検査は、機械を膣に入れて画像を写し出す検査です。

胎嚢が子宮内に確認できることで妊娠の成立を目で見て判定することが可能になります。妊娠6週ごろまでには胎児の心拍を確認することができるようになります。

3. 妊娠3ヶ月(妊娠8週から妊娠11週6日)

妊娠3か月の間に赤ちゃんはより人らしい体つきになり器官形成期が終了します。お母さんは妊娠初期の体調の変化(マイナートラブル)が起こりやすい時期です。

赤ちゃんの変化

妊娠8週以降の赤ちゃんは胎児(たいじ)と言われます。手や足には将来指となるような線が見られ始め耳や鼻などの形成も始まります。妊娠10週には手足が長くなり人らしい姿に変化していきます。消化管が発達し胎児の嚥下(羊水を飲み込む動き)が開始され、胎児尿を排出するようになります。

妊娠8週から9週ごろからは赤ちゃんの全身の運動が見られ始めるようになります。妊娠10週ごろからしゃっくりのような呼吸をするような運動を始め、頭部や手足の運動が始まります。しかし妊娠初期の赤ちゃんの運動はまだ力が弱く、赤ちゃんの大きさも小さいため、お母さん自身が気づくことはありません。超音波検査で動きを観察できることがあります。

心臓の機能も徐々に発達を遂げ、妊娠5週ごろには60拍/分だった心拍数が妊娠10週半ばにかけては平均175拍/分まで増加していきます。

赤ちゃんの大きさは妊娠11週頃で身長は約9cm、体重は約20gになります。

お母さんの変化

妊娠3か月で子宮の大きさは約11cmから12cm程度、握り拳と同じような大きさになります。つわりが一般的にピークを迎えるのがこの時期です。また、大きくなった子宮が膀胱(ぼうこう)を圧迫し尿の回数が増えたり、妊娠に伴ってプロゲステロンというホルモンが分泌されるので腸の運動が抑制され、便秘になったりします。

妊娠8週ごろからは個人差はありますが胸が張り始めるようになり、乳輪周囲の色が濃くなるような乳房の変化もみられます。

■妊娠週数の修正

妊娠週数は妊娠発覚の時点では最終月経などから決定していますが、生理周期が不順の方の場合には週数に誤差が生じてしまう場合があります。妊娠8週-11週頃の胎児の頭からお尻までの大きさは個体差が少なく、妊娠週数を推定するのに適しています。頭からお尻までの長さを頭臀長(とうでんちょう)と言います。英語のcrown-rump lengthの略からCRLとも言います。

妊娠3か月ごろに頭殿長を経膣超音波検査で計測し、必要があれば妊娠週数を修正します。

4. 妊娠4ヶ月(妊娠12週0日から妊娠15週6日)

妊娠4か月には胎盤が完成することで胎児と胎盤の血液循環機能が安定します。お母さんはつわりが軽快し、徐々に不快な症状が少なくなっていきます。

赤ちゃんの変化

妊娠12週頃には心臓の基本構造が完成し、妊娠15週ごろには胎盤の機能が完成することで胎児胎盤循環(たいじたいばんじゅんかん)がほぼ完成します。循環とは血液が全身をめぐることです。胎盤ではお母さんの血液から赤ちゃんの血液へ、酸素や栄養素などが渡されます。赤ちゃんの血液は胎盤を通って循環することで必要な物質を取り込んでいます。

エストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンの分泌も胎盤から行われるように変化します。

赤ちゃんは、外性器が女性型や男性型に別れるようになりますが、まだ超音波検査ではっきりと性別が分かるほどではありません。

胎児の大きさは妊娠15週ごろで身長約16cm、体重は約100gほどになり、背骨が見えるようになります。妊娠12週ごろには手足の爪が形成され始め、指先を動かす運動がみられるようにもなります。妊娠14週ごろになると、下顎を動かし、口を開けるようなあくび様の運動をおこなう様子が不規則的に観察されるようになります。

この時期も胎児の動きはまだ定期的なものではなく、時折みられる程度のためお母さん自身が胎動を感じることはありません。超音波検査でも胎児の動きを観察できないことはあります。動きが見えないからといって心配する必要はありません。

お母さんの変化

女性の骨盤臓器の正中矢状断。子宮が大きくなると隣にある膀胱を圧迫するが、子宮が骨盤から脱すると圧迫されなくなる。

お母さんの子宮の大きさはグレープフルーツの大きさ程度になり、恥骨の上から触って分かる程度に大きくなってきます。子宮が骨盤内を脱して広がります。

骨盤(こつばん)というのは腰のあたりにある骨が作るリング状の構造のことです。子宮はもともと骨に囲まれた場所にありますが、大きくなるとお腹のほうに上がっていきます。子宮が骨盤の中にあるうちは、子宮の隣にある膀胱(ぼうこう)が骨盤に押し付けられる位置にあたります。膀胱は尿をためる臓器ですが、圧迫されることで尿の回数が多くなります。子宮が骨盤を超えて広がることで膀胱が圧迫されなくなり、尿の回数も少し落ち着きます。

■つわりが軽快する

個人差はありますが、妊娠12週ごろからつわりが徐々に楽になっていき妊娠15週ごろにはつわりが収まる人が多いです。つわりが収まったら、食事バランスも徐々に注意するようにしましょう。

■帯下(おりもの)の増加

妊娠中のエストロゲンというホルモンの変化によって、妊娠初期には帯下の量が増えることがあります。外陰部のかゆみを伴わず、色も無色透明からやや白っぽいおりものであれば、様子をみて問題はありません。

■下腹部痛、足の付け根の痛み

子宮が大きくなると子宮の壁は引き伸ばされます。子宮が引き伸ばされる感覚を、下腹部や足の付け根の痛みとして感じる人がいます。子宮が大きくなることで感じる痛みは正常なものですので問題はありません。しかし胎児心拍が確認される前の痛みや出血を伴う痛み、我慢できないような強い下腹部痛は、切迫流産などの兆候の可能性もありますので注意が必要です。

■初乳の分泌

妊娠するとエストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンの影響によって乳腺は発達します。妊娠12週ごろからは、初乳が分泌されることもあります。初乳といっても多くは、乳頭に白いカス(乳垢)のようなものが付着する程度です。乳垢はそのままにしておくと乳管の開通の妨げになってしまうこともあります。そのため、乳頭を傷つけたり過剰な刺激を加えてしまうことがないように、お風呂に入ったときやオリーブオイルでふやかすなどして柔らかくしてから優しく取り除くようにしましょう。

5. 妊娠初期の仕事や運動はしてもよい?

妊娠初期は、妊娠に気づかない時期も含みます。妊娠に気づかないうちにしてしまったことが心配になることもあるかもしれません。妊娠初期の生活の注意事項をここでは解説します。

妊娠初期は基本的には行動の制限はありません。元々運動の制限があったり、切迫流産など妊娠中に注意されていることが特になければ、仕事や運動が原因で妊娠経過に異常が起こるということはほとんどありません。

ただし、妊娠に気づいてからは腹部に圧迫が強くかかるような運動や自転車を使用するような運動は避けましょう。

また、仕事に関しても特に制限はありません。しかし、妊娠初期はつわりや下腹部痛、頭痛などマイナートラブルが発生しやすく、人によってはかなり激しい症状が出るため仕事が行えないこともあるかもしれません。そのため職場の上司には、病院を受診して妊娠を確認したらその旨を早めに伝えて、自身の体調に合わせて仕事を行えるように調整してもらいましょう。

6. 妊娠初期のお酒やタバコの影響は?

妊娠中の飲酒が原因で起こる胎児の障害を総称して、胎児性アルコール・スペクトラム症候群(FASDs)といいます。FASDsの症状としては、小頭症や顎が小さい、目の幅が短いなどの特徴的顔貌や心臓、腎臓、骨、聴覚などの障害、精神発達や行動障害などが症状としてあげられます。妊娠初期は胎児の器官形成期(妊娠4週から12週ごろ)であり、顔貌や胎児の器官形態に影響を及ぼし、妊娠中期以降には、胎児の発育や知的障害、行動障害に影響を及ぼすとされています。

妊娠が発覚するのは妊娠5-6週頃が一般的であり、妊娠が分かってから禁酒をするのでは遅い可能性があります。飲酒をすると必ずFASDsになるという訳ではありませんが、どのくらいのアルコール量なら安全ということも分かっていないため、妊娠を計画している段階から禁酒をすることが勧められます。

また妊娠中の喫煙に関しては、胎児や妊娠経過に様々な影響があるため妊娠全期間を通して禁煙することをお勧めします。

特に妊娠初期の喫煙は、流産子宮外妊娠、胎児の先天異常の可能性を高めます。妊娠前から禁煙することが望ましいですが、妊娠発覚時点で禁煙をすることで早産低出生体重児の確率が低下するといわれているため、喫煙をしている人は妊娠発覚時点から禁煙しましょう。

飲酒・喫煙の影響については「妊娠に影響するリスクって?」でも説明しています。

7. 妊娠初期に薬を飲んでも大丈夫?

妊娠が発覚してから、飲んでいる薬が妊娠に影響はないか心配になる人も多いでしょう。妊娠初期は胎児の器官が形成される時期であり、妊娠4週〜7週までは絶対過敏期、妊娠8週から妊娠12週までは相対過敏期といわれ、他の時期に比べると薬の影響が胎児に出やすい時期といえます。

しかし実際に胎児の形態異常を及ぼすことが報告されている薬はそれほど多くなく、また内服したとしても胎児に影響が現れる人の数はごく少ないものがほとんどです。薬を飲んでいることが必ず胎児に影響を及ぼすわけではありません。自己判断で飲んでいる薬を止めてしまうことや新しい薬を飲むことが危険な場合もありますので、薬の中断や変更はかかりつけの医師に相談をして行いましょう。

詳しい薬の種類などは「胎児に影響のある薬はどんなものがある?」をご覧ください。

8. 葉酸は妊娠前から摂取した方がよい?

市販のサプリメントなどによって葉酸を1日あたり0.4mg摂取することは、神経管閉鎖障害(NTDs)のリスクを低減することが期待できるといわれています。

神経管閉鎖障害とは、妊娠4週から5週ごろの脳や脊椎の元が発生するときに起こる形態異常のことで無脳症や脳瘤、二分脊椎等が含まれます。神経管の閉鎖は妊娠6週末で完成します。神経管が作られているタイミングにうまく合わせるためには、妊娠を計画しはじめた時から葉酸を飲み始めることが勧められます。

神経管閉鎖障害の予防のためには、妊娠12週まで葉酸を飲むのがよいとされますが、妊娠12週以降に内服しても特に問題はありません。しかし、葉酸の過剰摂取によってビタミンB12欠乏(悪性貧血など)の発見が遅れてしまうことがあるといわれています。そのため、1mgを超える摂取は控えるべきだとされています。

葉酸は、ほうれん草などの葉物の緑黄色野菜や果物、豆類、レバーなどに多く含まれていますが、熱に弱く水溶性のビタミンであり調理法が限られるため、普通の食事から0.4mgを摂るのは簡単ではありません。市販のサプリメント等で補充することが勧められます。

9. 妊娠初期の出血は異常?

妊娠初期は他の時期に比べて出血が発生しやすい時期です。妊娠中に出血があった場合には、かかりつけの病院に連絡し受診をするべきかどうか相談することが基本です。しかし、全ての出血が治療が必要な異常なものというわけではありません。出血が起こる可能性のある状態や疾患を以下に解説します。

着床時に起こる少量の出血

受精卵が着床する際の妊娠2週から3週ごろ(まだ妊娠に気づいていないころ)に数日間出血が起こることがまれにあります。これは胚盤胞(はいばんほう)が子宮内膜に侵入していく際に、子宮内膜の血管を傷つけてしまうためです。出血の量には個人差があり、ティッシュに付着する程度の少量の出血であることが多いですが、人によっては月経のような出血が起こることもあります。この着床時出血は妊娠に問題ないことがほとんどです。

この着床時の出血はちょうど月経予定日の近くで発生することが多いため、人によっては生理と勘違いしてしまうこともあるようです。普段から基礎体温表を付けておくことで、月経と着床時の出血を見分ける参考になります。妊娠時の出血の場合には高温期が続き、月経の場合には基礎体温が下がります。

また、着床時出血だと思うことがあっても、すぐに医療機関で妊娠の判定をすることはまだできません。他の人と同じように、月経開始予定日から1-2週間後に妊娠検査薬を使用し陽性を確認した後で受診をしましょう。

着床時出血があってもなくても気を付けることなどは特にないので、着床時出血があるかを気にする必要はありません。

絨毛膜下血腫(SCH)

胎嚢が子宮内に確認できてから妊娠初期に出血を伴う病気として、絨毛膜下血腫(じゅうもうまくかけっしゅ)があります。

受精卵が着床すると、妊娠15週にかけて胎盤を形成していきますが、その過程の中で胎盤の中に血の塊(血腫)ができてしまうことがあります。絨毛膜下というのは血の塊ができる場所を指しています。絨毛膜下血腫は超音波検査で発見することができます。血腫の大きさによって出血の量は様々です。中には、鮮血のような出血が生理2日目程度の量排出される場合もあります。出血の際に下腹部痛を伴う場合もあります。

出血があったとしても胎児の心拍がきちんと確認できていれば問題はないことも多いです。しかし血腫が大きいと絨毛膜羊膜炎の原因にもなり流産となることもあります。治療方法としては、切迫流産合併している場合には、自宅での安静や入院を判断する場合があります。しかし、絨毛膜下血腫には根本的な治療法はないため、自然に血腫が吸収されるのを待つことが必要になります。

流産

流産とは、妊娠22週未満に妊娠が終了してしまうことをいいます。妊娠に気付かないまま妊娠初期に流産となり、流産にも気付かないような場合もあります。すべての妊娠のうち15%ほどが自然に流産になっているとも言われます。

流産の兆候として出血や下腹部痛、腰痛などの症状があります。出血の程度は少量から多量まで様々です。

また、流産の兆候が出ていても、超音波検査で子宮内に胎嚢や心拍が確認される場合は切迫流産と診断されます。切迫流産の症状は流産と同様です。出血の量や程度は褐色の少量の出血から鮮血の出血まで様々です。切迫流産の場合には妊娠は継続しているため、妊娠初期には安静にするように指導がある場合があります。

出血量が多い(月経時と同等もしくはそれより多い)際や痛みが強い場合には、かかりつけの医療機関に問い合わせし受診をする必要があります。

また流産の場合には、胎児が自然排出されることがあります。下着やナプキンに血の塊のようなものがあった場合には、捨てずにビニール袋などにいれて病院へ持っていき、胎児組織かどうかを判断してもらうようにしましょう。

妊娠初期の流産のほとんどの原因が染色体異常です。染色体というのは精子や卵の中にある微小な構造物(細胞小器官)です。生殖能力に異常がない両親からも染色体異常を持つ精子や卵はある程度作られています。流産になったからといって親に問題があるわけではありませんし、一度妊娠したカップルは次に妊娠できる見込みもあると言えます。

ただし、まれに流産を繰り返すような病気を持っている人もいるので、そうした病気を見極めることは大切です。抗リン脂質抗体症候群などが繰り返す流産を引き起こしますが、治療して出産に至る場合もあります。

異所性妊娠

受精卵が子宮内以外の場所に着床することを異所性妊娠(いしょせいにんしん)といいます。子宮外妊娠とも言います。妊娠検査薬やhCGの検査によって妊娠の陽性反応が確認できているが、妊娠5週から6週の時点でまだ胎嚢が子宮内に確認出来ていない場合、異所性妊娠が疑われます。異所性妊娠の場合、妊娠発覚時は無症状ですが妊娠7週から8週ごろに出血や下腹部痛を伴うようになることが多いです。大きくなった胎芽によって母体の臓器が損傷され大量出血を起こすことがあります。異所性妊娠を診断された場合は、基本的には手術による治療が選択されます。

胞状奇胎

胞状奇胎は胎盤の元となる絨毛組織が異常に増えたものです。症状としてはつわり症状が強く、茶褐色のおりものや少量の出血があることがあります。自宅での妊娠検査は陽性になりますが、妊娠検査薬の判定に使用されるhCGは異常に分泌されるため、医療機関でhCGの量を調べると正常妊娠よりも高い値となります。また、超音波検査では通常よりも大きく軟化している子宮や絨毛組織内に多数ののう胞を確認することができます。胞状奇胎の場合、妊娠の継続は困難であるため子宮内容除去術が行われ、胞状奇胎は再発や絨毛癌へ移行する可能性があるため、その後の経過に問題がないか通院して検査が必要になります。

胞状奇胎による出血の程度は少量の事が多く、症状だけで気付くのは難しいですが、妊娠が分かった時点で早めに医療期間を受診することで診断が可能になります。

その他

子宮頸管にポリープがある場合や子宮膣部にびらん(ただれ)がある場合などにも出血が現れることがあります。妊娠中の出血は心配なものばかりではありませんが、自分自身で判断することは難しく、診断のためには診察が必要になります。そのため妊娠初期に出血がみられた場合には、かかりつけの病院に連絡し受診の必要性を判断してもらいましょう。