正常妊娠
多くの人が妊娠に気づくのが妊娠2ヶ月(妊娠4週0日から妊娠7週6日まで)です。妊娠したかもと気づくと、今までしてきた生活や体の症状、これから何をしたらよいかなど気になることも多いとおもいます。また、妊娠前にしておくことが勧められることもあります。そのような疑問に回答します。
最終更新: 2017.10.04

妊娠したら、普段の生活で気をつけることは?

妊娠前に普通にしていた生活も、妊娠したとなると気になることが多いと思います。ここでは、妊娠中に生活を行う上での注意事項について解説します。

1. 妊娠中の体重管理はどうしたらいい?

妊娠中の体重増加は、赤ちゃんの成長や羊水の増加、胎盤の増大、赤ちゃんの成長を支えるために必要となるお母さんの皮下脂肪や血液量の増加など、妊娠の維持に必要な変化の結果です。体重が増えること自体が問題ではないため神経質になって妊娠中に厳しいダイエットをする必要はありませんが、目安となる適正な体重増加を知っておくことは重要です。

私の体型は普通?肥満?それとも痩せ型?

妊娠中の適切な体重増加の目安は、妊娠する前の体格によって異なります。

一般的にBMI(Body Mass Index)といって、WHOという国際機関の定めた肥満判定基準の数値によって妊娠中に増える適切な体重増加量は異なります。そのため、自分自身の妊娠前のBMIを把握することが大切です。

BMI=体重[kg]÷身長[m]÷身長[m]

例えば、妊娠前の体重が50kgで身長が158cmの妊婦の場合には、妊娠前のBMIの数値は58kg÷1.58m÷1.58m=20.0となります。 

BMIの数値によって、妊娠前の体型が痩せ型、普通体型、肥満体型に分けることができます。まずは自分自身の体型がなにに当てはまるかを計算してみましょう。

妊娠前のBMI 体型
18.5未満 痩せ型(低体重)
18.5以上25.0未満 普通体型
25.0以上 肥満体型

肥満体型の場合には、妊娠高血圧症候群妊娠糖尿病、帝王切開、死産、巨大児、児の神経管閉鎖障害の可能性など妊娠に伴うリスクが高くなると言われています。妊娠前から体重を適正に保つことも重要です。

どのくらい増えるのが正常?

厚生労働省はBMIの数値を基にした体型別に、妊娠中の適切な体重増加量の目安を定めています。

体型(BMI数値) 適正な体重増加量
痩せ型(BMI18.5未満) 9-12kg
普通体型(BMI18.5以上25.0未満) 7-12kg
肥満体型(BMI25.0以上) 個別対応

体重増加の内訳としては個人差はありますが、胎児が3kg、胎盤や羊水などが1kg、乳腺の発達や子宮の増大が1.5g、血液量の増加が2kg、それ以外の体重増加は母体の皮下脂肪です。

痩せ型や普通体型の妊婦は、つわりが治まる頃である妊娠中期以降(妊娠16週0日以降)の1週間あたりの体重増加の目安としては、0.3kg〜0.5kgとされます。そのため、1週間あたりで0.5kg以上の体重増加がある場合には少し増えすぎたと思ってもいいかもしれません。

肥満体型の妊婦は、肥満の程度は人によって異なるため個別対応とされています。たとえばBMI25.0を少し超える程度の肥満の場合には5kgから9kgの体重増加を目安とすることがあります。肥満体型だからといって、妊娠中にダイエットをするという必要はなく、適切なカロリーを摂ることは赤ちゃんのためにも必要です。また、上記以外にも体重増加について複数の機関が推奨値を示していますが、どれも根拠はあまりありません。個人差も大きいものにはなるので、過度に気にする必要はないと考えられます。

そのため、かかりつけの施設とも相談し、体重増加の目標設定をした上で体重管理を行うことが大切です。妊婦健診でも体重測定は毎回行い母子手帳にも記載されますので、体重増加は適切か考える機会にもしてみてください。

増え過ぎたらどうする?

妊娠中に体重がある程度増えることは必要なことでもありますので、体重が増えること自体には問題はありません。

しかし、妊娠中に体重増加が著しい場合には、巨大児(赤ちゃんの出生時の体重が4,000g以上)のリスクが高くなり、妊娠後期に体重増加が急激に上昇する場合には、妊娠高血圧症候群のリスクが高くなります。その結果的に帝王切開分娩、出産の際の出血量が多くなるリスクも高くなるとされています。特につわりが治まる時期である妊娠中期以降(妊娠16週0日以降)は、体重が増えやすいため体重測定をする習慣を付け体重を把握しておくようにしましょう。

妊娠中の体重増加に過敏になる必要はありませんが、極端な体重増加は防ぐことをお勧めします。目安としては、体型が痩せ型または普通体型の人では、1週間あたりの体重増加が0.5kg以上であった場合には増えすぎている可能性があります。

妊娠中の体重管理で行えることは、バランスの良い食事と運動です。妊娠中に過度な食事制限は必要ありませんが、増えすぎてしまった場合には3食の栄養バランスや間食の回数、量などを見直してみたり、妊娠経過に問題がなければ軽いウォーキングを取り入れるなどしても良いでしょう。

体調などによって体重の増減はありますので、1日1日の体重に過敏になる必要はありません。妊娠期間中の体重増加の適切な範囲を知っておくことで、どれくらい増えると増えすぎなのかがわかって安心できるのではないでしょうか。

体重が増えないことも問題?

妊娠初期(妊娠15週0日まで)には悪阻(つわり)があり、その程度には個人差が大きいため妊娠初期に体重が増えない、減ってしまうということに過敏になる必要はありません。妊娠初期は体重が減っていたとしても、妊娠経過に問題ないことがほとんどです。

妊娠中期以降で体重が増えないことは、妊娠前の体重などによっても異なるため、必ずしも問題とは限りません。元々肥満体型の方は、体重増加がないように指導される場合もあります。また、人によっては妊娠初期のつわりの様な症状が中期以降もなんとなく続いてしまい、食事量が増えず体重が思ったように増えないということもあります。

そのため、体重が増えないこと自体が問題というわけではありません。

関連して心配されるのは胎児の発育(成長度合い)です。体重は胎児の成長によっても増えていくものですので、体重増加が乏しいことは、子宮内胎児発育遅延(何らかの原因で胎児の成長が遅れたり停止したりする状態)を疑う1つの兆候とはいえます。妊婦健診では、定期的にお腹の上から超音波検査をして、胎児の成長度合いを把握します。体重増加があまりにも乏しい場合には、検査の回数を増やすなどして経過をみていくこともあります。

妊娠中期以降で体重が増えないことが心配な場合には、かかりつけの医師に相談をしてみるのもよいでしょう。

2. 妊娠中の食事は何に気をつける?

妊娠中の食事はどのようにしたらよいのか、どの程度食べたらいいのか悩まれる方も多いと思います。ここでは、一般的に妊娠中に摂取することが望ましいとされているものや摂取に注意が必要なものを紹介します。

ただし、妊娠糖尿病妊娠高血圧症候群など妊娠中に食事に特別な管理が必要な場合には、記載と異なることがありますので、注意をしてください。

妊娠中に必要なカロリーはそれほど多くない?

1日に必要な食事量を考える目安として摂取カロリーがあります。妊娠中に必要な摂取カロリーは妊娠時期によって非妊娠時よりも多くなります。厚生労働省による「妊産婦のための食生活指針」では、1日の摂取カロリーについて以下の基準を示しています。

【必要エネルギー摂取基準(推定エネルギー必要量:1日当たり)】

  身体活動レベル※
非妊娠時(18-29歳) 1,750kcal 2,050kcal 2,350kcal
非妊娠時(30-49歳) 1,700kcal 2,000kcal 2,300kcal
妊娠初期(妊娠16週0日未満) 妊娠前+50kcal
妊娠中期(妊娠16週0日-妊娠28週0日未満) 妊娠前+250kcal
妊娠後期(妊娠28週0日以降) 妊娠前+500kcal

※身体活動レベルとは?

日々の仕事やプライベートでの過ごし方によって1日に必要なカロリーは異なるため、活動のレベルを3段階に分けて表現しています。自分が必要なカロリーについてまずは把握してみましょう。

Ⅰ:生活の大半は座って過ごし、あまり動かない人

Ⅱ:座って過ごすのが中心だが、職場で接客など立ち仕事や移動がある。通勤や買い物、軽い運動などをする人

Ⅲ:移動や立ち仕事の多い仕事についている。運動習慣がある人。

妊娠初期には非妊娠時に比べ+50kcalの摂取量とされていますが、これはチョコレート2つ分程度であり、ほとんど妊娠前と変わらない摂取量でよいことがわかります。また妊娠初期には悪阻(つわり)が出やすい人もいますので、カロリーはあまり気にせず食べやすいものを摂取することを基本としてよいです。

悪阻がおわって食欲が増しやすい妊娠中期では+250kcal程度であり、例えるとおにぎり1個分のカロリーの追加、いよいよお腹も大きくなり出産が近くなる妊娠後期では+500kcalで、これはおにぎり2個分程度の追加でよいことが分かります。妊娠したからといってさほど多くのカロリーが追加で必要とはならないことが分かると思います。

また、妊娠糖尿病妊娠高血圧症候群と診断されている場合、食事療法といって食事に制限を設けることが治療の1つになります。その場合、この必要摂取カロリーが変化する場合がありますので、出産施設で指導された必要なカロリーを摂るようにしましょう。

食事のバランスはどうしたらよい?

食事に気をつける上で必要なことは摂取カロリーだけではありません。食事のバランスにも気をつけ、必要な栄養素を摂取することが大切です。一汁3菜で主食をしっかりと摂取するようなバランスのとれた食事内容を心がけましょう。

タンパク質は妊娠中60gを目安に摂取することが勧められています。

そのほか野菜、乳製品、果物などを妊娠中期から後期にかけて多めに摂取するといいでしょう。

妊娠中に特に注意するべき栄養素が葉酸と鉄です。

■葉酸

葉酸はビタミンB群に属する水溶性のビタミンで造血の作用があり、不足すると貧血が生じることがあります。妊娠前には1日あたり240μg、妊娠中は時期にかぎらず非妊時よりも+200μgの摂取が勧められており、妊娠中の必要量は2倍近くになることが分かります。μgはマイクログラムと読みます。1,000μg=1mgです。

葉酸は胎児の神経管閉鎖障害のリスクを低減することが知られており、妊娠1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月までの間に1日あたり0.4mgの摂取が推奨されています。神経管の閉鎖は妊娠6週末で完成するため、妊娠が発覚する前から葉酸の摂取を開始することが勧められます。つまり妊娠したい・するかもしれないと思った時から葉酸は飲み始めるのがお勧めです。神経管閉鎖障害の予防のためには、妊娠12週までの摂取をお勧めしますが、妊娠12週以降に内服しても特に問題はありません。しかし、葉酸の過剰摂取はビタミンB12欠乏(悪性貧血など)の発見が遅れてしまうことがあるといわれています。そのため、1mgを超える摂取は控えるべきだとされています。

葉酸は、緑黄色野菜、納豆、あずき、果物などに多く含まれていますが、熱に弱く水溶性のビタミンであるため調理によって失われやすい栄養素でもあります。そのため、食事に加えて、サプリメントでの摂取も勧められています。

■鉄分

妊娠中期以降は鉄欠乏性貧血が起こりやすいため、食事の中で鉄分の摂取を多くすることが勧められます。1日あたり21mgから21.5mgの摂取がすすめられ1日の上限は40mgです。

動物性の食品に含まれる鉄のほうが、植物性の食品に含まれる鉄よりも体の吸収率が良いため、赤身の肉や魚などを多く摂取すると効率的です。また鉄分を摂取する場合には、ビタミンCと一緒に摂取すると吸収率が高まります。

鉄分を多く含む食材には、大豆、小松菜、ほうれん草、ひじき、昆布、赤身の肉、赤身の魚、貝類、レバーなどがあります。ビタミンCは、青菜やブロッコリーやピーマン、いちごやレモンなどの果物から摂取することができます。

妊娠中に食べないほうがいいものはある?

妊娠中に食べてはいけないものは少ないですが、過剰摂取などに注意したほうがよい食べ物もあります。

■水銀を多く含む魚介類の過剰摂取

魚介類は、良質なタンパク質の摂取とDHAやEPAの摂取に役立ちますが、魚介類の種類によっては水銀を体内に蓄積するため、妊娠中の過剰摂取には注意が必要になります。

EPAやDHAなどは、体が合成できない脂肪酸(必須脂肪酸)であり、中でもn-3系脂肪酸という種類に分類されます。n-3系脂肪酸はω-3(オメガ3)系脂肪酸とも呼ばれます。

n-3系脂肪酸は胎児の器官形成に役立つとして1日あたり1.8gの摂取を勧める意見があります。また魚由来のn-3系脂肪酸の摂取が多いと早産低出生体重児のリスクが減るとする報告があります。

しかしながら、魚介類に含まれる水銀の過剰摂取も懸念されているため、n-3系脂肪酸を勧める意見の中では、食事だけではなくサプリメントの併用も勧められます。

参照:Am J Clin Nutr. 2013 Apr;97(4):808-15.

魚に含まれる水銀の量は微量なので、魚を食べてはいけないというわけではありません。参考として、厚生労働省の勧告から以下を抜粋します。

1週間当たりの目安量(参考:80g=1人前) 水銀量に注意が必要な魚の種類
160gまで キダイ、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロ(インドマグロ)、ヨシキリザメ、イシイルカ、クロムツ
80gまで キンメダイ、ツチクジラ、メカジキ、クロマグロ(本マグロ)、メバチ(メバチマグロ)、エッチュウバイガイ、マッコウクジラ
40gまで コビレゴンドウ
10gまで バンドウイルカ

参照:これからママになるあなたへ

1週間の目安量を超えて食べた時には、次の週の摂取量を控えて体内の蓄積量が過剰にならないようにすることでバランスを取れます。

表にないサケ、アジ、サバ、イワシ、サンマ、タイ、ブリ、カツオなどは特に注意が必要ないと言われています。また、マグロの中でもキハダ、ビンナガ、メジマグロ(クロマグロの幼魚)、ツナ缶は問題ないと言われています。

■ビタミンAの過剰摂取

ビタミンAは1日当たり、妊娠初期から妊娠中期までの間では18歳-29歳で650μgRAE、30歳-49歳で700μgRAE、妊娠後期では18歳-29歳で730μgRAE、30歳-49歳で780μgRAEの摂取が推奨されます。1日に2,700μgRAEを超える摂取は控えるべきとされています。

ビタミンA は胎児の発育に必要な栄養素ですが、過剰摂取すると体内に蓄積されます。ビタミンAを大量に摂取すると胎児の先天異常が増加すると報告されており、妊娠計画時から胎児の器官形成期である妊娠3ヶ月までは、ビタミンAの過剰摂取には注意が必要です。

ビタミンAを多く含む食材としてはあゆ、うなぎ、レバーなどが挙げられます。

■生肉の摂取

非加熱肉にはトキソプラズマという寄生虫が含まれている可能性があります。妊娠中に非加熱肉を食べた場合には、トキソプラズマ症のリスクを高めてしまいます。トキソプラズマに妊娠中に初めて感染することで、胎盤を通じて胎児へ感染し胎児に先天異常を及ぼす可能性があります。

そのため、生ハムなどの生肉の摂取は避けること、生肉を取り扱う際には手袋等をすること、豚肉などの調理時には十分に加熱してから摂取することが重要です。

■妊娠中のお酒やカフェインの摂取

妊娠中の飲酒は妊娠全期間を通して胎児の身体的問題、行動・学習障害などの影響を及ぼす可能性があるとされています。どのくらいのお酒の量で胎児に影響がでるのかということは現在までの研究では明らかになっていません。そのため、妊娠を計画される段階から禁酒をすることが勧められます。詳しくは「お酒とタバコは控えるべき?」で説明しています。

一方カフェインについては、流産子宮内胎児死亡のリスクを高めるとされていますが、最大で1日あたり200mgから300mg/日までの少量を摂取しても心配ありません。詳しくは「妊娠中にカフェイン含有飲料を飲んでも大丈夫?」で説明しています。

3. 妊娠中に運動はするべき?

妊娠中には、妊娠経過に問題がなければ心地よいと感じる程度の運動をすることが勧められます。

運動をすることは、妊娠中の体重管理や血流を改善しむくみや体の冷え、腰痛などのマイナートラブルを予防したり、精神的なストレスの発散やリラックス効果があるなどメリットも多くあります。

運動の程度は妊娠前の運動習慣にもよりますが、ややきついと感じる以下の強度で腹部に圧迫のかかりにくいウォーキングやマタニティヨガなどの有酸素運動や全身運動が良いでしょう。時間に決まりはありませんが、週2-3回、1時間程度の運動が理想的とされています。マタニティヨガやマタニティビクス、スイミングなどを行う場合は、施設によっては医師の診断書が必要になったり、対象の週数が制限されている場合があります。そのため施設に確認し、必要書類がある場合には、かかりつけの医師に相談をしましょう。

運動で流産・早産にならないか?

多くの場合、運動が流産や早産につながることはないと思われますが、運動の途中で出血や腹部の痛み、定期的なお腹の張りを感じる場合には運動を中止し、安静にして様子を見てください。無理をしないことは大切です。

妊娠中の有酸素運動の効果と害について調べた研究で、有酸素運動をするかしないかによって早産の割合にも、出産時の妊娠週数にも統計的に差が確認されなかったとする報告があります。

また、妊娠中の体重増加を抑えるための食事療法や運動療法の効果を調べた研究で、運動療法などをしても早産の割合に差はなかったとする報告があります。

こうした事実からも、少なくとも妊娠経過に問題がない人では運動が早産につながる心配はないと言えるでしょう。

ただし「産婦人科診療ガイドライン」は、以下のような運動は勧めないとしています。

  • スキューバダイビング
  • 長時間仰向けになったまま、あるいは立ってじっとしたままになること
  • 転んだりけがをしたりする恐れが大きい運動

また以下のような場合には運動をしないよう勧めています。

ただしここで言う「運動」をしないとは、日常生活を制限するほどの意味ではありません。

たとえ切迫流産と診断されていても、ベッド上安静が必要だという強い結論は出ていません。

参照:Cochrane Database Syst Rev. 2006(3):CD000180Cochrane Database Syst Rev. 2015(6):CD007145Cochrane Database Syst Rev. 2005(2):CD003576Int J Fertil Menopausal Stud. 1993 May-Jun;38(3):160-5産婦人科診療ガイドライン

4. 妊娠中の外出や旅行は大丈夫?

医師から自宅での安静を指示されている様な状況を除いて、妊娠経過に異常がなければ一般的に妊娠中の外出は問題ありません。しかしながら、妊娠中は子宮の増大によって疲労感が出やすいことや長時間の立ちっぱなしなどは腹部にも負担がかかりやすいため、こまめに座って休憩をとるようにしましょう。

旅行に関しては、かかりつけの医療機関で相談をしてから行くことが勧められます。旅行先では、何か異常があった場合にすぐにかかりつけの医療機関を受診することは難しいため、もしもの時を考えておくことが望ましいです。

許可があり旅行に出かける場合には、以下のことに注意をしましょう。

  • 旅行の行程にはゆとりをもって休みながら出かけられるようにする
  • 人混みは避け、マスクを着用し、手洗いうがいなどはしっかり行う
  • 母子手帳や保険証は必ず持参する。海外に行く場合は、英字で妊娠経過が分かるものを持参することが望ましい
  • 旅行先の近くで産科の診察が可能な医療機関を調べておく

特に海外旅行はリスクが高いと言えるでしょう。外国語で医学的な内容を医師と話し合うのは簡単ではありません。地域の医療体制が日本ほど使いやすいとは限りません。

費用の問題もあります。たとえば外務省による説明には、アメリカのニューヨークの医療事情について「病気や怪我など1回の入院で数百万円から1千万円になることを覚悟してください。」との記載があります。

また妊婦が医療機関を受診した場合の診察料が海外損害保険では保障されない場合があります。海外旅行の保険の選択にも十分に注意をしましょう。旅行先の地域や保険の内容にもよりますが、海外旅行中に思いがけなく早産となるなどして高額な医療費を請求される人の例がときどき報道されています。

外出や旅行の際の移動手段は?

旅行や外出の移動手段にも気を配り、できるだけ体に負担のかからない方法を選択しましょう。

■電車やバス、タクシーなどの交通機関

座ることができれば、休みながら移動ができるので妊娠中の移動には適しているといえます。ラッシュなどの混雑時はできるだけ避けて、指定席をとるなどして座って移動ができるように工夫しましょう。

■自転車

妊娠中期以降は、腹部が増大しバランスが崩れやすく転倒の危険性が高くなることが考えられます。転ばないように気を付けて乗ることをお勧めします。また自転車を漕ぐ運動は腹部への負担も考えられますので、お腹が張りやすいなどで自転車が苦痛になる人は、無理をしないで徒歩や公共交通機関を使うことも考えてみてください。

■自動車の運転

妊娠中の自動車の運転も特に禁止ではありません。お腹が大きくなって運転に支障をきたさなければしてもよいと考えられます。しかし、妊娠中はホルモンバランスの影響で集中力が低下しやすかったり、眠気が出やすい可能性があります。そのため、長時間の運転や慣れない土地での運転には気を付けてください。また、腹部が大きくなってからもシートベルトは必ず着用し、万が一の事故の際に被害が最小限に抑えられるようにしましょう。

■飛行機

航空会社や妊娠週数によっては、医師の診断書や医師の同行が必要になる場合があります。そのため計画性をもって準備をするようにしましょう。また、妊娠中は深部静脈血栓症や下肢の浮腫が発生しやすいため、長時間の飛行機の場合には下肢の運動や十分な水分摂取を心がけましょう。

5. 妊娠中に性交渉はしてもいい?

妊娠経過に特に問題がなければ、妊娠中の性交渉は安全です。しかしながら、以下の様な人は、性交渉は控えた方が望ましいといえます。

  • 切迫流産切迫早産と診断されている(出血やお腹が張りやすいなどの症状がある)
  • 過去の妊娠で切迫流産切迫早産と言われたことがある
  • 過去に子宮頸部の手術(子宮頸部円錐切除術など)をしており子宮頸管の長さが短い
  • 子宮頸管無力症と診断されている
  • 前置胎盤である
  • その他医師から安静にするように指示されている

また、性交渉中に痛みや出血などの症状がある場合にはすぐに中止をし安静を保ち、症状が続く場合にはかかりつけの医療機関を受診するようにしてください。また、性交渉中には、腹部の圧迫が強い体位も避け、感染予防の観点からコンドームの着用は必ず行いましょう。