にんしんこうけつあつしょうこうぐん
妊娠高血圧症候群
妊娠時に高血圧の状態であること
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最終更新: 2020.07.20
妊娠高血圧症候群の基礎知識
POINT 妊娠高血圧症候群とは
妊娠高血圧症候群とは、妊娠している時に高血圧があることをいいます。 高血圧の他に「頭痛」や「目がチカチカする」、「むくみ」などの症状があります。高齢妊娠や肥満の場合などに起こりやすいといわれています。 血圧は、収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期が90mmHg以上で高血圧と診断されます。高血圧の影響で腎臓の機能が落ちてくると尿にタンパクが出るので尿検査を行います。病気が進むとさまざまな臓器障害が起こり、赤ちゃんに影響を及ぼすこともあるので、血液検査で臓器障害の程度を調べたり、超音波検査や胎児心拍数モニタリングを行い赤ちゃんの状態を確認します。治療は外来での食事のカロリー制限や塩分制限が中心となりますが、重症の場合は入院して血圧を下げる薬を使ったり子癇(けいれん)を抑える点滴を行います。病状が悪化して母体への影響が心配される場合には、赤ちゃんが十分に成長しているような週数であれば薬を使って分娩を誘発をすることもあります。一方で、妊娠週数が早い場合には赤ちゃんの成長をなるべく待ちますが、赤ちゃんや母体の状態によっては帝王切開が検討されます。妊娠前から血圧が高いといわれている場合には、お医者さんに相談してください。妊娠中は塩分の取り過ぎに注意し、妊婦健診を定期的に受診し血圧に注意することが大切です。
妊娠高血圧症候群について
- 妊娠時に高血圧の状態であること
収縮期血圧 が140mmHg以上または拡張期が90mmHg以上で診断- 収縮期血圧が160mmHg以上または拡張期が110mmHg以上で「重症」と診断
- 収縮期血圧が180mmHg以上または拡張期が120mmHg以上で「高血圧緊急症」と診断
- 高血圧にともなって
蛋白尿 が出ることもある
- 妊娠高血圧を起こしやすいと言われている妊婦の背景
- 妊婦の約20人に1人の確率で起こると言われている
- かつては妊娠中毒症と呼ばれていた
妊娠高血圧症候群の症状
妊娠高血圧症候群の検査・診断
- 血液検査、尿検査:血液や尿の中の、タンパク質の量などを調べる
腹部超音波検査 、NST (ノンストレステスト ):胎児の状態、元気さを調べる- 必要に応じて
合併症 に対する検査を追加する頭部MRI 検査:脳出血が無いかなどを調べる
妊娠高血圧症候群の治療法
症状 の重さと、起こる時期(週数)、胎児の状態などを総合的に判断して治療を行う- 根本的な治療法はないため、血圧が上がり過ぎないように気をつけ、異常が起きた場合に早期に対応できるようにする
- 妊娠週数が進むほど悪化するため、母体の状態と、胎児の発育のバランスを見ながら、妊娠満期を待たずに分娩に至る形を取ることが良いとされる
- 治療
- 食事の塩分制限
- 1日7-8g程度に塩分制限を行う
- 制限しすぎるとかえって病状を悪化させることもあるので注意が必要
- 摂取カロリーを適切な範囲内に抑える
- 激しい運動は控える
- できるだけ安静に過ごす
- けいれん予防や血圧を下げる薬を使うこともあるが、胎児に影響する可能性を考えて、慎重に使うことが必要
- 食事の塩分制限
- 胎児の発育が十分であれば早めの分娩がすすめられる
- 帝王切開が行われる場合もある
- 逆に胎児の発育が妊娠週数の割に良くない場合にも、週数が早くてもそれ以上胎児の状態が悪くなる前に帝王切開もしくは分娩誘発を行う