2017.09.12 | ニュース

妊娠したら太らないようにするべき?食事と生活習慣の効果を検証

文献の調査から

妊娠したら太らないようにするべき?食事と生活習慣の効果を検証の写真

妊娠中の体重増加はどれくらいが適度か気になるところですが、コントロールするのもなかなか難しいものです。過去の研究データをまとめた結果、全体として食事などの指示には効果が確かめられなかったことが報告されました。

妊娠中の食事と運動の効果

国際妊娠体重管理共同グループ(i-WIP)の研究班が、妊娠中の食事や運動などを妊婦に指示することにより、妊婦または産まれてくる子供に良い結果が期待できるかについて調査を行い、『Health Technology Assessment』に報告しました。

この研究は、妊娠中の食事や生活への介入による効果を母親のBMI体格指数。「体重[kg]÷身長[m]÷身長[m]」で算出される。18.5から25が普通体重とされているが、筋肉量や脂肪率を反映しないため体格の唯一の基準とはできないや年齢などのグループごとに推定し、費用対効果を計算することを目的としています。

BMIは体重[kg]÷身長[m]÷身長[m]で計算されます。妊娠中以外は一般にBMI25未満が標準的な体重とされます。

研究班は、文献データベースなどを検索して、過去に報告されている研究結果を集めました。

 

帝王切開は減るが全体として効果なし

食事の研究が4件、運動の研究が16件、食事と運動を組み合わせた研究が16件、あわせて36件の研究が見つかりました。

結果を統合したところ次の結果が得られました。

食事と生活習慣の介入は妊娠時体重増加を平均0.70kg(95%信頼区間-0.92から-0.48kg、33件の研究、9,320人)減らした。母親の複合アウトカムに対する効果(要約オッズ比0.90、95%信頼区間0.79-1.03、24件の研究、8,852人)および胎児/新生児の複合アウトカムに対する効果(要約オッズ比0.94、95%信頼区間0.83-1.08、18件の研究、7,981人)は有意データを分析して導かれた結果が、偶然として説明できる確率は低いとみなされることでなかった。

生活習慣の介入は帝王切開を減らす(オッズ比0.91、95%信頼区間0.83-0.99)が、ほかの個別の母親のアウトカムは[...]減らさない。胎児のアウトカムに有意な効果はなかった。

妊娠時体重増加は[...]合併症ある病気や治療によって引き起こされる、別の病気や病態のことの減少と関連しなかった。

食事や運動の指示により、母親の体重増加は少なくなっていました。しかし、結果として母親に何らかの悪いこと(妊娠糖尿病、妊娠高血圧腎症、妊娠高血圧症候群早産正期産以前、つまり妊娠37週0日よりも前に赤ちゃんが生まれること。ただし妊娠22週未満の出産は含まないなど)が起こったかどうかで比較すると、食事や運動の指示による改善は確かめられませんでした。子供に起こったこと(子宮内胎児発育遅延、妊娠週数に対して小さい、妊娠週数に対して大きいなど)で比較しても改善は確かめられませんでした。

帝王切開だけに絞って比較すると、食事や運動の指示があったほうがわずかに帝王切開が少なくなっていました。しかし、ほかの点については個別に見ても差はありませんでした。

妊娠時の体重増加と、悪い結果が起こった件数の間に、統計的な関連は確かめられませんでした

 

妊娠中は太ってもいい?

妊婦に食事や運動の指示をしても良い結果にはつながらなかったという報告を紹介しました。

妊娠中の体重は気になるものですが、「太りすぎると悪いことがあるのでは」と考えて必死にダイエットをするほどの必要はないかもしれません。

妊娠中はいろいろな面で体に気を遣います。気持ちの負担を軽くすることも大切です。「気を付けなくても大きな問題のないこと」を知るためにこそ実際に試したデータが役に立ちます。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Effects of antenatal diet and physical activity on maternal and fetal outcomes: individual patient data meta-analysis and health economic evaluation.

Health Technol Assess. 2017 Aug.

[PMID: 28795682]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。 [執筆者一覧]