2017.03.21 | ニュース

食事指導はだいたい無効?妊娠糖尿病の食事指導の方法を比較

文献の調査から

from The Cochrane database of systematic reviews

食事指導はだいたい無効?妊娠糖尿病の食事指導の方法を比較の写真

もともと糖尿病がない女性でも、妊娠によって妊娠糖尿病の状態になることがあります。食事のアドバイスをされることも多いですが、どんな効果があるのでしょうか。これまでの研究で示された結果の調査が行われました。

文献を調査する方法で、妊娠糖尿病に対する食事指導の効果としてこれまでの研究で示されていることを調べた研究を紹介します。

この研究では、食事指導の内容ごとに分けて、それぞれ母親または子どもに対する効果を検討しました。

主な効果の指標として以下の報告を集めました。

  • 妊娠中の高血圧に関わる異常
  • 帝王切開
  • 2型糖尿病
  • 妊娠週数に対して大きい
  • 周産期死亡
  • 新生児死亡または疾患がある状態
  • 神経感覚障害

調査対象として、対象患者をランダムに分けて食事指導による違いを比較した研究を選びました。

 

低GI食をGIが中ぐらいの食事と比べた研究が4件ありました。

GI(グリセミック指数)とは、食品を食べてすぐに血糖血液中のブドウ糖のこと。人が活動するためのエネルギー源。血液中の濃度を血糖値といい、糖尿病の診断に用いられる値が上がる程度を表します。

低GI食と中GI食を比較すると、妊娠週数に対して胎児が大きい・母体の重度の高血圧または子癇前症(妊娠高血圧腎症)・子癇発作比較的急激に、症状が一定時間あらわれること。その後の時間経過や適切な治療によって、症状が無くなりやすいものを指すことが多い・帝王切開のどれに対しても、統計的に違いが見られませんでした

 

カロリー(エネルギー)を制限する食事とカロリー制限なしの食事を比べた研究が3件ありました。

妊娠週数に対して胎児が大きい・子どもの周産期死亡・子癇前症・帝王切開のどれに対しても、統計的に違いが見られませんでした

 

DASH食とは、高血圧の食事療法として工夫された、野菜や果物を多くするなど食品の種類ごとに目安を決める食事です。

DASH食を比較対照とした食事と比べた研究が3件ありました。子癇前症に違いが見られませんでしたが、DASH食を食べたグループのほうが帝王切開が少なくなっていました

 

低炭水化物食と高炭水化物食を比べた研究が2件ありました。妊娠週数に対して胎児が大きい・子どもの周産期死亡・母親の高血圧・帝王切開のどれに対しても、統計的に違いが見られませんでした

 

脂肪は体内で分解されて脂肪酸とグリセリンになります。脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類できます。飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸では体内での働きに違いがあります。

不飽和脂肪酸が少ない食事と不飽和脂肪酸が多い食事を比べた研究が2件ありました。妊娠週数に対して胎児が大きい・子癇前症・妊娠中の高血圧・帝王切開・産後1週間から2週間での糖尿病・産後4か月から13か月での糖尿病のどれに対しても、統計的に違いが見られませんでした

 

低GI食と、食物繊維が多くGIが中ぐらいの食事を比べた研究が1件ありました。妊娠週数に対して胎児が大きい・帝王切開・産後3か月での2型糖尿病のどれに対しても、統計的に違いが見られませんでした

 

食事指導に加えて食事に関係する行動のアドバイスをしたときと、食事指導だけのときを比べた研究が1件ありました。妊娠週数に対して胎児が大きい・帝王切開のどちらに対しても、統計的に違いが見られませんでした

 

大豆タンパク質を強化した食事と、大豆タンパク質を加えない食事を比べた研究が1件ありました。子癇前症・帝王切開のどちらに対しても、統計的に違いが見られませんでした

 

食物繊維が多い食事を、食物繊維が普通の量の食事と比べた研究が1件ありました。以上に示した指標については報告されていませんでした。ほかの指標についても統計的に違いが見られませんでした。

 

妊娠糖尿病に対する食事指導について、これまでの研究結果の調査を紹介しました。

見つかった研究結果のうち、食事指導によって主な指標に効果があると見られたものは、DASH食で帝王切開が減ったと見られる点だけでした。ほかの食事指導を積極的に勧める理由はここでは見つかりませんでした。

この調査では、食事指導をすることによる違いを評価しています。患者がそのとおり食事したかによる比較ではありません。つまり、ただでさえ食事をコントロールしにくくなる妊娠中の女性が指導を守れたかどうかという点が結果に影響していた可能性もあります。守れないような食事指導では効果が薄くなるかもしれません。

厚生労働省による「日本人の食事摂取基準」(2015年版)では、妊娠前と比べて妊娠初期で50kcal、中期で250kcal、後期で450kcal多く食べるなど、妊娠中に適切と考えられる摂取量の基準も決めています。必要量を大幅に超えて食べ過ぎているような人では、もちろんできる範囲で節制したほうがよいと考えられます。

とはいえ、妊娠中はもともとの体型や食習慣とは別の理由で妊娠糖尿病になるリスクがあります。妊娠糖尿病は必ずしも体調管理が間違っていたせいではありません。妊娠糖尿病と診断されても、体力を維持するためには適量の栄養を摂り続けることがとても大切です。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Different types of dietary advice for women with gestational diabetes mellitus.

Cochrane Database Syst Rev. 2017 Feb 25.

[PMID: 28236296]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。 [執筆者一覧]