妊娠検査薬は信用できる?
市販で手に入る妊娠検査薬をよく見かけますが、これって本当に信頼できるの?と思う人もいるかもしれません。妊娠検査薬とはどんなものかや使い方、種類などについて紹介してきます。
目次
1. 妊娠検査薬は使うべき?妊娠のチェックの方法は?
薬局などで購入することのできる妊娠検査薬は、病院を受診する前の1つの判断材料になります。妊娠検査薬のみで正常に妊娠しているとは言い切ることが出来ないため、検査で陽性が出た後には病院の受診が必要になります。しかし、妊娠したかどうか、病院を受診するべきかどうか迷った際には、妊娠検査薬を使用することで妊娠の可能性があるかを確かめる1つの補助的な材料にすることができます。
2. 妊娠検査薬の仕組み
受精卵が子宮内に着床した後、胚(受精卵が着床した赤ちゃんの元のことをいいいます)の栄養膜細胞(後に胎盤と変化する部位)からはヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG) という
市販で売られている妊娠検査薬のキットは、
3. 妊娠検査薬を使ってはいけないタイミングがある?
妊娠検査薬は正しいタイミングで行うことで正確な結果を得ることができます。自宅で検査できるため手軽なイメージがあるかもしれませんが、タイミングが間違うと妊娠していても陰性となる場合もありますので、正しい方法や時期を守りましょう。
妊娠検査薬はいつ使う?妊娠検査薬の種類は?
妊娠検査薬の使用のタイミングで最も大切なことは、生理予定日を把握していることです。
一般的に多く売られている妊娠検査薬(感度50mIU/mL)で判定できるhCGの量は排卵から14日が目安となります。排卵から14日とは、ちょうど生理周期が28日の方で最終月経の次に生理が来るタイミングです。しかし、排卵が遅れていたという可能性も考慮され、生理予定日から1週間経過した際に検査することが勧められています。売っている薬局は少ないですが、現在では、感度25mIU/mLの検査薬も販売されています。その場合には、生理予定日よりも前に検査を行うことが可能です。妊娠検査薬の種類にもよりますが、生理予定日前後で判定が可能になりますので、自身の生理のタイミングを予測して使用しましょう。
妊娠検査薬は尿中hCG測定の感度が50mIU/mLと25mIU/mLのものがあり、市販で売られているものの大半は感度50 mIU/mLのものです。妊娠検査薬の種類と使用のタイミングをまとめます。
- 感度50mIU/mLの妊娠検査薬
- 排卵から14日程度経過すると陽性になるのが目安。排卵の遅れなども考慮し、月経周期が28日の人で月経予定日から1週間経過した際に使用する。
- 感度25mIU/mLの妊娠検査薬
- 排卵から12日程度経過すると陽性になるのが目安。月経予定日の2〜3日前から使用できる。
また、元々の生理が不順であり生理予定日がわからない場合には、性交渉をした日から3週間後を目安に検査をするようにしてください。妊娠していた場合には、hCGが判定できる量まで上昇していることが考えられます。
妊娠しているのにもかかわらず陰性と判断されるケースのほとんどが、検査時期の間違いです。妊娠をしているかも知れないと感じると気持ちが高まり、検査を急いでしまいがちですが、適切な時期に検査薬を使用してより正確な結果が得られるようにしましょう。
4. 妊娠検査薬の判定方法は?
妊娠検査薬の細かい使用方法はメーカーによって異なることがありますので、詳しくは購入した妊娠検査薬の説明書をよく読んで使用してください。一般的な判定方法は以下のとおりです。
- 検査する時期に合った感度の妊娠検査薬を購入する
- 検査の際に使用する尿は、できるだけ早朝尿(朝起きて1番最初の尿)を使用する
- 妊娠検査薬に尿をかけるもしくはコップに取った尿に浸す
- 水平な場所において指定された時間結果がでるのを待つ
早朝尿でなければ検査が陰性になるというわけではありませんが、睡眠していた際に体の中に溜まっていた尿を使用することで尿中に含まれるhCGを正確に検査することができます。
尿をかけるもしくは浸す時間(秒数)に関しては、メーカーにより異なりますので説明書をよく読んでください。検査薬に尿をかけるのが不安な方は、紙コップなどに一度尿をとりそこに検査薬を浸すようにするとよいでしょう。
水平な場所に検査薬をおいて、説明書に指定された判定時間まで結果が出るのを待ちます。検査結果の見方についてはメーカーにより異なりますので、説明書を参考にしてください。
5. 妊娠検査薬で妊娠は判定できる?陽性だったらどうする?
妊娠検査薬で陽性が出ただけでは、正常に妊娠しているとは限りません。
妊娠の確定をするためには、病院を受診し検査を受ける必要があります。病院では、子宮内に胎嚢(赤ちゃんの入っている袋状の空間)があるかどうか、胎児心拍があるかどうかを確認します。そのため妊娠検査薬で陽性が出た場合には、産科の受診をしましょう。
6. 陽性だと正常に妊娠しているとは限らない?
hCGは胚の栄養膜細胞から分泌されるため、検査薬で陽性が判断された場合には妊娠をしている可能性は高いです。しかし、異所性妊娠や胞状奇胎、化学流産などの妊娠初期の異常がある場合も妊娠検査薬は陽性と判定します。そのため、正常な妊娠かどうかは妊娠検査薬のみでは判定することができません。
また妊娠以外にも以下の場合には陽性と判定されてしまうことがあります。
- 閉経期の場合
- hCG産生
腫瘍 の場合(絨毛上皮腫など) - 性腺刺激ホルモン剤などの投与を受けている場合
- 高度の糖尿、
蛋白尿 、血尿 などの場合(検査をした際の尿が赤い、濁っている場合には再検査をおすすめします)
上記のような可能性もあるため、妊娠検査薬のみでは正常な妊娠を診断することはできません。そのため、陽性を確認した場合には、病院を受診し検査をうけましょう。
7. 妊娠していたのに陰性になることもある?
妊娠検査薬では、妊娠しているのにもかかわらず以下のような理由で陰性になることもあります。陰性が確認された後も生理が来ない場合には、3日以上あけて妊娠検査薬の再検査を行うか、病院を受診し検査を受けましょう。
生理の周期が不規則な場合
排卵が予定よりも遅れ、予測よりも妊娠週数が浅くhCGの生産量が不十分な可能性があります。
使用者の思い違いにより生理予定日の日数計算を間違えた場合
計算を間違えて誤って早い時期に妊娠検査薬を使用した場合は、陰性となる可能性があります。
妊娠の初期で尿中hCG量が充分でない場合
妊娠検査薬の使用が早かった場合には、尿中hCG量が不足している可能性があります。
異常妊娠の場合(子宮外妊娠)
子宮外妊娠の場合いずれ妊娠検査薬は陽性になりますが、初期の段階では正常な妊娠にくらべてhCGの産生が遅れることがあり、妊娠検査薬が陰性になることがあります。妊娠検査は陰性ですがその後も生理が来ず、強い下腹部痛を自覚する場合には病院を受診しましょう。
胎児異常の場合(胎内死亡、稽留流産など)
胎児に何らかの異常があり、hCG産生量が十分になる前に妊娠が中断されてしまった場合や稽留流産の場合には妊娠検査薬が陰性になる可能性があります。
胞状奇胎などにより大量のhCGが分泌された場合
妊娠初期の異常の中には、胞状奇胎といって胎盤の元となる絨毛組織が異常に増殖し、妊娠継続が困難となってしまう病気があります。胞状奇胎の場合、正常妊娠に比べてhCGが異常に多く分泌されます。妊娠週数によっては、妊娠検査薬で陽性と表示されることもありますが、hCGの分泌量が多すぎた場合は検査薬の反応上限を超えてしまうため、逆に陰性となってしまう事があります。