[医師監修・作成]狭心症の際に出現しやすい症状 | MEDLEY(メドレー)
きょうしんしょう
狭心症
心臓の血管が狭くなり十分な酸素が届かないことで胸痛などが起こる、心筋梗塞の手前の状態。原因は動脈硬化や冠攣縮などになる
18人の医師がチェック 209回の改訂 最終更新: 2021.12.14

狭心症の際に出現しやすい症状

狭心症の代表的な症状は胸の締め付けられる感じや胸の痛みですが、それ以外にも症状が出ることがあります。このページでは狭心症の人が経験しやすい症状について説明します。

1. 狭心症に前兆はあるのか?

狭心症には必ず前兆があるわけではありません。特に何の前触れもなく突如として胸痛が襲ってくることも少なくありません。一方で、狭心痛(胸の痛みや締め付けられる感じ)を自覚する前に、前兆として何らかの不調を感じることがあります。狭心症の前触れとして感じられることの多いものを以下に示します。

  • 肩に違和感を覚えたり肩が痛んだりする
  • 腕に違和感を覚えたり腕が痛んだりする
  • 胃がむかつく
  • 吐き気がする
  • 冷や汗が出る

これらの前兆は運動したときに出現しやすいです。また、狭心症になりやすい背景がある人に起こりやすいので、次に該当する場合には注意が必要です。

狭心症は胸痛が出現するから、変な違和感はあるけれど胸痛がなければ大丈夫と思ってしまいがちです。違和感の場所などが狭心症の前兆に似ている場合や狭心症を起こしやすい背景がある場合には、一度医療機関で検査してもらうことも大切です。

2. 胸が痛い・胸が締め付けられる

狭心症では胸痛が起こることが多いです。胸痛の性状は、強く締め付けられるような痛みであったり、ぎゅっと圧迫されるような痛みであったりと、感じ方はさまざまです。狭心症ではキリキリとした痛みは少なく、圧迫や締め付けられる感じの痛みが多いと言われています。しかし、痛みの性状だけで狭心症かどうかを判断することは難しいです。

一方で、胸が痛くなる病気は狭心症の他にもたくさんあります。その一例を次に示します。

これらは痛みの出方が異なることが多いですが、症状が出始めたころに原因となっている病気を特定することは難しいです。そのため、問診・身体診察・検査などの情報から原因が総合的に判断されます。胸の痛みの出る病気に関してはこちらで説明していますので参考にしてください。

胸が締め付けられる感覚は胸が痛いという症状に似ています。胸がぎゅーっと締め付けられる感覚を胸が痛いと表現する人もいます。また、ときに窒息する感じや喉が詰まる感じという風に表現する人もいます。この症状が出るのは心臓に栄養や酸素が足りないことが原因です。

3. 肩や腕が痛い、だるい

狭心症に関連して肩や腕が痛くなることがあります。心臓が原因であるのに他の部分が痛むこの状態を放散痛といいます。放散痛は狭心症や心筋梗塞の他にも胆石症がんなどの多くの病気で見られることがあります。

狭心症の胸痛が肩や腕に放散した形で痛みが起こります。心臓は身体の中心よりもやや左側にありますが、左右どちらの肩や腕に放散することもあります。

心臓は左にあるから右肩や右腕の痛みは大丈夫と考えるのは早計です。原因不明の痛みが肩や腕にある場合には、一度医療機関を受診して調べてもらった方が良いかもしれません。

4. 歯が痛い

上で述べた肩や腕の痛みと同じく、歯に痛みが走ることがあります。胸痛のない狭心症や心筋梗塞はありえますので、なんだか奥歯が痛いなと思ったのに歯医者で異常がないと言われた人は要注意です。実は心筋梗塞が隠れているということもありますので、歯痛が治らなかったり繰り返されたりする場合には、歯以外に原因がないかを調べるようにして下さい。

5. 気持ち悪い

狭心症で気持ち悪くなったり吐いてしまったりすることがあります。なんだかよくわからないけれど気持ち悪いという状況は要注意です。

一方で、吐き気が出てきたら狭心症が極めて疑わしいとはなりません。急性胃腸炎逆流性食道炎などの他の病気でも吐き気や嘔吐は起こるため、下痢や腹痛などの他の症状があるかどうかや持病があるかどうかなどを確認することもポイントです。吐き気に下痢が加わっているような状態では狭心症よりも急性胃腸炎のほうが疑わしくなります。

6. だるい

狭心症が進行して心筋梗塞になると、心機能が低下して心不全になり、全身にだるさを覚えることがあります。つまり、狭心症でだるさを感じた場合には、心不全に至っている可能性があります。(心不全の症状に関してもっと詳しく知りたい人は「心不全の症状について」を参考にして下さい。)

また、腕や肩にだるさを覚えることがあります。実際に腕や肩に異常が出ているわけではありませんが、放散痛のような形でだるさを感じると考えられます。

7. 息が切れる

息切れは多くの病気で起こります。例えば、喘息COPDのように肺の病気で息切れが起こることもあれば、過換気症候群のように精神的な病気でも息切れを感じます。

狭心症でも息切れを感じることがあります。狭心症に伴う強い胸痛を覚えると、息苦しさを感じて息が乱れます。すると息が切れるような感覚になります。また、狭心症が重症になってしまい心不全になると、肺や全身に血液がうまくめぐらなくなって酸欠になることで息切れを感じます。(別ページに心不全の息切れに関する詳しい説明があるので参考にしてください。)

8. ふらつき

狭心症でふらつきを覚えるパターンは大きく分けて2つあります。胸痛によって自律神経が乱れることでふらつきを覚えるパターンと心不全が起こり血圧が低下することによってふらつきが起こるパターンです。特に後者は息切れを伴うことが多く、命に関わる状態です。息切れと一緒にふらつきを覚えた場合には必ず医療機関にかかってください。

9. 意識障害(意識もうろう)

狭心症や心筋梗塞で意識がもうろうとする場合は急を要します。心機能が低下して脳への血流が減ってしまっていることが疑われます。救急車を呼んでいい状況ですので、できるだけ早く医療機関を受診してください。

10. どういった症状のときは特に気をつけなければならないのか

狭心症は「心臓が必要としている血流量」と「冠動脈(心臓に酸素や栄養を供給する動脈)の血流量」のバランスが乱れた状態です。身体を動かすと心臓が必要としている血流量が増えるため、冠動脈の血流量が相対的に不足して症状が出やすくなります。つまり、安静時に症状が出る場合には、冠動脈がかなり細くなっていることが予想されます。言葉では分かりにくいので簡単な概念図を下に示します。

図:冠動脈の血液量と心臓が必要とする血液量の関係によって症状が変わる。

細かく考えると、運動によって心臓に必要な栄養と酸素が増えるため、心臓が送り出す血液量が増えるので、冠動脈の血流も増えています。そのため上のイメージ図は身体の状態によって少しゆらぎがありますので、あくまで簡略化したものと考えて下さい。

図のように、狭心症では「心臓が必要としている血流量」と「冠動脈の血流量」のバランスが乱れることで症状が出現します。そこで、心筋梗塞に近付いていることを疑わせる症状には注意が必要です。以下で説明します。

安静にしていても症状が出るときは要注意

狭心症は安静にしていれば症状が出ない状態(労作性狭心症)であれば比較的軽症です。一方で、安静にしていても症状が出る状態(不安定狭心症)は危険なサインです。その状態からさらに冠動脈が細くなり途絶えると心筋梗塞になります。すると強い胸痛が長時間(30分以上が目安)持続します。

胸の痛みや締め付けられる感じが繰り返される人は要注意

冠動脈が多少細くなっても症状は出ません。冠動脈の血流量には余裕があるためこうしたことが起こるのですが、さらに細くなると段々と胸痛などの症状が出現するようになります。この状態になると、心臓に負担がかかるたびに胸痛を繰り返すようになります。

このように胸痛を繰り返す状態は冠動脈がある程度狭くなっているサインの可能性があります。

明け方に胸痛や胸が締め付けられる感じが出る人は要注意

冠動脈が痙攣(けいれん)することで、冠動脈の血流が減ってしまい、胸の痛みや締め付けられる感じが起こることがあります。これを冠攣縮性狭心症(異型狭心症)と言います。

このタイプの狭心症は明け方に起こりやすいことがわかっています。そのため明け方の胸部症状は狭心症の可能性があります。一方で、明け方の胸部症状は逆流性食道炎などの他の病気でも起こるため症状から判別するのは難しいことがあります。その場合には検査を受けてみるのが望ましいです。