[医師監修・作成]狭心症とはどういった病気なのか? | MEDLEY(メドレー)
きょうしんしょう
狭心症
心臓の血管が狭くなり十分な酸素が届かないことで胸痛などが起こる、心筋梗塞の手前の状態。原因は動脈硬化や冠攣縮などになる
18人の医師がチェック 209回の改訂 最終更新: 2021.12.14

狭心症とはどういった病気なのか?

狭心症は心臓が原因で胸痛を起こす病気です。心臓に栄養や酸素を送る冠動脈が細くなることで病気が起こります。このページでは狭心症の症状や検査、治療などについて説明します。

1. 狭心症ではどんなことが起こっている?

心臓は全身や肺に血液を送る大事な働きをしています。そんな心臓も自分が動くために栄養が必要ですので、全身に送る血液の一部を心臓に戻しています。

栄養や酸素を含んだ血液を心臓に送る血管を冠動脈と言います。冠動脈は右に1本(右冠動脈)と左に2本(左前下行枝、左回旋枝)存在し、心臓の全体に血液が届けられるようになっています。

図:3本の冠動脈が心臓を取り巻いている。

何らかの原因で冠動脈の血流が不足し、心臓に十分な栄養や酸素が届かなくなることで胸の痛みなどの症状が現れている状態が狭心症です。

狭心症にはいくつかのタイプがあります。

  • 労作性狭心症
  • 不安定狭心症
  • 冠攣縮性(かんれんしゅくせい)狭心症

労作性狭心症も不安定狭心症もニトロ製剤(硝酸薬)がよく効きます。ニトロ製剤を使うと冠動脈が広がることで心臓への血流が増えるため、狭心症の症状がなくなります。(詳しくは「心不全に用いられる治療薬」を参考にして下さい。)しかし、安静にしていても症状が出る場合には、ニトロ製剤を使用して改善したことで安心せずに、必ず医療機関にかかるようにして下さい。

冠攣縮性狭心症は安静時に狭心症の症状が出る病気です。別名で異型狭心症とも言います。これは動脈硬化で冠動脈が狭くなるわけではなく、冠動脈が痙攣(攣縮)することで一時的に狭くなる病気です。この病気も冠動脈を広げるニトロ製剤がよく効きます。また、カルシウムチャネル拮抗薬を使用することで冠攣縮性狭心症に予防効果が得られることが分かっています。

狭心症と心筋梗塞はどう違うのか?

急性心筋梗塞は心臓への血流が途絶えることで、心筋が壊死(えし)する病気です。長時間虚血(血流が不足すること)に陥った部分の機能が失われます。

心筋梗塞になるとカテーテル治療(PCI)あるいは冠動脈バイパス術を行って、途絶えた冠動脈の血流を再開させる必要があります。心筋は一度壊死してしまうと二度と戻りませんが、虚血状態にある場所の一部に冬眠心筋あるいは気絶心筋(stunned myocardium)と呼ばれる状態があると考えられます。冬眠心筋は虚血によって一時的に動きが停止していますが、完全な壊死の手前の状態にあり、虚血状態が解除されると動きが復活します。この冬眠心筋をできるだけ早く復活させることが大切ですので、心筋梗塞が疑われた場合には、可及的速やかに治療を開始します。

簡単に言うと、狭心症は冠動脈が狭くなって心臓が必要な量の栄養や酸素をもらえなくなった状態のことです。一方で、心筋梗塞冠動脈が閉塞して血流が途絶えることで心臓の一部に栄養や酸素が全く届かなくなる状態です。心筋梗塞では心筋の細胞が死んでしまった状態(壊死)になります。この状態になると二度と心筋の働きは戻りません。

冠動脈疾患の多くは、アテローム性動脈硬化という血管の変化によって起こります。高コレステロール血症(脂質異常症)や高血圧症などによって徐々に狭くなります。冠動脈が多少狭くなっても心臓が必要とする酸素と栄養は問題なく到達します。しかし、さらに冠動脈が狭くなって血流が悪くなると、段々と心臓の必要量に足りなくなり胸痛などの症状が出現するようになります。

まとめると、次のような成り立ちで冠動脈疾患は起こります。ポイントは心臓が必要とする血液量と冠動脈が心臓に配給する血液量のバランスです。

  1. アテローム性動脈硬化の影響を受けて冠動脈が細くなっているが、運動時にも特に症状は見られない
    • 冠動脈の血液量>運動に心臓が必要とする血液量>安静時に心臓が必要とする血液量
  2. 冠動脈がさらに細くなって、安静にしていると症状はないが動くと症状が見られる(労作性狭心症)
    • 運動時に心臓が必要とする血液量>冠動脈の血液量>安静時に心臓が必要とする血液量
  3. 冠動脈が極めて細くなることで、安静時にも症状が見られるようになる(不安定狭心症)
    • 運動時に心臓が必要とする血液量>安静時に心臓が必要とする血液量>冠動脈の血液量
  4. 完全に冠動脈が閉塞することで一部の心筋が壊死する(心筋梗塞
    • 運動時に心臓が必要とする血液量>安静時に心臓が必要とする血液量>>>冠動脈の血液量

言葉では分かりにくいので簡単な概念図を下に示します。

細かく考えると、運動によって心臓に必要な栄養と酸素が増えますが、心臓が送り出す血液量が増えるので、冠動脈の血流も増えています。そのため上のイメージ図は身体の状態によって少しゆらぎがありますので、あくまで簡略化したものと考えて下さい。このように、虚血性心疾患では「心臓が必要としている血流量」と「冠動脈の血流量」のバランスを考えることが大事です。

血管がどんどん狭くなることで症状がない間もだんだんと血流が少なくなっていき、バランスが崩れたところで狭心症が起こり、完全に冠動脈の血流が途絶えたら心筋の壊死(心筋梗塞)が起こります。つまり、心筋梗塞は狭心症が更に悪くなった状態と考えられます。もちろん、どこかから血栓などが飛んできて突然冠動脈が詰まることがありますので、狭心症の状態を飛ばしていきなり心筋梗塞となることはありますが、冠動脈疾患のほとんどは段々と狭くなるパターンです。

心筋梗塞と狭心症は成り立ちは一緒ですが状態が異なります。相違点に関しては次の表を参考にして下さい。

心筋梗塞と狭心症の相違点】

 

狭心症

心筋梗塞

冠動脈の状態

狭くはなっているが閉塞はしていない

完全に閉塞している

症状の内容

胸痛を中心に、肩の痛みや吐き気など

胸痛を中心に、肩の痛みや吐き気などがあり、重症感が強い

症状の持続時間

長くても10分程度のことが多い

30分以上続くことが多い

胸痛発作時の薬(ニトロ製剤)の効果

効く

効かない

緊急度

安静時に症状が起こる場合には緊急事態なので医療機関を受診する

命にかかわる緊急事態

心臓の回復の見込み

血流量が回復すると心臓の機能は回復する

壊死してしまった心臓の細胞は回復しない(冬眠細胞と呼ばれる細胞が一部に存在する場合には、血流の再開で復活することがある)

心筋梗塞は命にかかわる緊急事態です。また、狭心症の中でも安静にしていても起こるタイプ(不安定狭心症)もいつ心筋梗塞になってもおかしくない状態です。これらが疑われるような症状(長時間続く胸痛、安静にしても起こる胸痛など)がある場合には、必ず医療機関にかかって調べてもらって下さい

なお、このページは狭心症について詳しく説明しています。心筋梗塞について詳しく知りたい方はこちらを参考にして下さい。

2. 狭心症にはどんな種類がある?

狭心症は冠動脈が狭くなることで心臓の酸素や栄養が足りなくなる病気です。胸痛や胸の違和感などの症状が数分から10分程度持続して、その後何もなかったかのように消えることが特徴です。これは上で述べたように、心臓に必要な血液量と冠動脈の血流のバランスの不均衡が原因で起こることがポイントです。上で述べた概念図をもう一度見てみましょう。

図:狭心症の症状は冠動脈の血液量が心臓に必要な血液量を下回った時に現れる。

労作性狭心症も不安定狭心症も、心臓が必要としている血流量を保てなくなることで起こっています。

狭心症は病気の状態や起こる過程で大きく3つに分類されます。

  • 労作性狭心症
  • 不安定狭心症
  • 冠攣縮性狭心症(異型狭心症)

各々について次の段落で詳しく説明します。

労作性狭心症

労作性狭心症は上の概念図で左から2番目になります。この状態では安静にしているかぎり心臓が必要とする血液量を冠動脈が供給することができるため、狭心症症状が出てくることはありません。しかし、身体を動かすと心臓が必要とする血液量が増えるため、狭心症症状が出現します。

この状態であれば冠動脈の血流は比較的保たれているので、命に関わる危険性はあまり高くありません。しかし、さらに動脈硬化が進行したり、狭くなっている冠動脈に血栓が詰まったりすると、命に関わります。また、動脈硬化は徐々に進行する病気ですので、時間の進行とともに症状が悪化することに注意しなければなりません。そのため、労作性狭心症であっても治療を行う必要があります。狭心症の治療に関してはこちらを参考にして下さい。

不安定狭心症

不安定狭心症は上の概念図で左から3番目になります。この状態では身体を動かすと狭心症症状が出現しますし、身体を動かさなくても状況によっては狭心症症状が出現します。

不安定狭心症では冠動脈がかなり狭くなっており、心筋梗塞の一歩手前の状態と言えます。この状態を放置すると遅かれ早かれ心筋梗塞に至るため、可及的速やかな治療が必要です。安静時に胸痛を感じたり、安静にしても胸痛が治らない場合には一度医療機関で調べてもらって下さい。

冠攣縮性狭心症(異型狭心症)

冠攣縮性狭心症は上の2つの狭心症とは少し異なります。上の2つの狭心症は動脈硬化が原因ですが、冠攣縮性狭心症は冠動脈が痙攣(けいれん)することで起こるタイプの狭心症です。このタイプは狭心症全体の40.9%を占めているという報告もあり、狭心症の原因としてかなり多いと考えられています。

冠動脈で痙攣が起こると、冠動脈が細くなり血流が低下します。すると心臓の必要とする血液量に対して冠動脈の血流量が不足するので狭心症になります。このタイプでは血管拡張薬(特に硝酸薬)が有効です。動脈硬化によって血管が狭くなっているわけではないので、心臓カテーテル治療でステント留置をする必要はありません。

参考文献
・日本循環器学会ほか, 冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライン(2013年改訂版)

3. 狭心症になると起こりやすい症状:胸痛、肩こり、息切れなど

狭心症には必ず前兆があるわけではありません。特に何の前触れもなく突如として胸痛が襲ってくることも少なくありません。

狭心症の代表症状は狭心痛(胸の痛みや締め付けられる感じ)です。また、それ以外にもさまざまな症状が出ることも分かっています。

  • 胸に違和感を覚えたり痛んだりする
  • 胸が締め付けられる
  • 肩に違和感を覚えたり痛んだりする
  • 腕に違和感を覚えたり痛んだりする
  • 歯が痛い
  • 胃がむかつく
  • 吐き気がする
  • だるい
  • 冷や汗が出る
  • 意識がもうろうとする

これらの症状は安静にしているときよりも運動したときに出やすいです。また、狭心症になりやすい背景がある人に症状が起こりやすいので、次に該当する場合には注意が必要です。

狭心症は胸痛が出現するから、変な違和感はあるけれど胸痛がなければ大丈夫と思ってしまいがちです。違和感の特徴が狭心症の前兆に似ている場合や狭心症を起こしやすい背景がある場合には、一度医療機関で検査してもらうことも大切です。

狭心症の症状についてもっと詳しく知りたい人は「狭心症の際に出現しやすい症状」を参考にしてください。

4. 狭心症の原因にはどんなものがある?

心臓に栄養や酸素を送る血管を冠動脈と言います。狭心症はこの冠動脈が狭くなることが原因で起こります。

図:冠動脈が心臓に栄養や酸素を送っている。

冠動脈は2mm前後の太さで、絶えず安定して血液が流れています。冠動脈が詰まると心臓が機能的に動けなくなるため、冠動脈は簡単には詰まらないようにできています。それでも詰まることがあります。その原因には主に2つのことが考えられています。

  • 動脈硬化
  • 冠動脈のけいれん(冠攣縮)

これらはどういったことが起こっているのかについてもう少し詳しく説明します。

動脈硬化

動脈硬化とはその名の通り動脈が硬くなることを指します。多くの場合には粥状動脈硬化(アテローム性動脈硬化)という変化を辿ります。粥状動脈硬化は、血管の内膜にコレステロール(プラーク)が蓄積して、それが性質を変化することで動脈が硬くなっていくことです。動脈が硬くなると同時に血管の壁は厚くなるため、血管腔(血管の内側を血液が流れる部分)は狭くなっていきます。

心臓に栄養や酸素を送る血管(冠動脈)が狭くなっても最初は自覚がないことが多いです。血管は狭くなっていくと心臓に必要な血液量を送れなくなり狭心症となります。安静時のほうよりも運動時のほうが心臓に必要な血液量が多いので、最初は運動時に症状が出現することが多いです。

冠動脈の痙攣(冠攣縮)

上の章で述べた冠攣縮性狭心症(異型狭心症)では、冠動脈が痙攣(けいれん)することで冠動脈が狭くなります。けいれんした冠動脈では、心臓が必要とする血流量を供給できなるので胸部の症状(痛みや締めつけ感)が出現します。

このタイプの狭心症は日中や午後に症状を感じることが少なく、夜明けに症状が出やすいことが特徴です。アセチルコリンという物質がこの病気に関与していることが分かっているため、この物質を用いた検査で冠動脈が狭くなるかを調べます。治療では血管拡張薬(硝酸薬やカルシウム拮抗薬など)は発作を抑えるのに非常によく効きます。

狭心症を引き起こす直接的な原因は上に挙げた2つですが、これ以外に狭心症になりやすくさせる病気や生活習慣があります。

これらにあてはまるものがある人は注意しなくてはなりません。狭心症を予防するには持病のコントロールをしっかり行って、禁煙することが大切です。

5. 狭心症が疑われたら行われる検査とは?心臓カテーテル検査、心臓エコー検査、心電図検査など

狭心症の検査には目的があります。大きく分けると以下の2つです。

  • 狭心症になっているのかどうか
  • 狭心症の重症度はどの程度か

狭心症が疑われたとき、多くの場合で胸痛が出ています。一方で、胸痛は狭心症以外の病気でも起こるため、胸痛が本当に狭心症によるものなのかどうかを検査で調べる必要があります。これは胸痛以外の症状でも同じで、本当に狭心症によって症状が起こっているのかを検査で確認する必要があります。

狭心症が進行すると心筋梗塞に至り致命的になります。そのため、狭心症がどの程度重症なのかを素早く調べて、最適な治療をできるだけ迅速に行わなければなりません。そこで次のような検査がしばしば行われます。

  • 問診
  • 身体診察
  • 心電図検査
  • 心臓エコー検査
  • 画像検査
  • 心臓カテーテル検査
  • 血液検査
  • 運動負荷試験

狭心症は冠動脈が狭くなっていることを検査で確認することで診断されます。これらの検査の中でも心臓カテーテル検査が重要です。この検査では冠動脈の狭くなった部位が可視化できる上に、そのままカテーテルを用いた治療を行うことができます。最近はできるだけ身体に負荷がかからないような工夫がされていたり、治療後に再狭窄が起こりにくいようなステントが開発されていたりと、その技術は日進月歩です。

検査について詳しく知りたい人は「狭心症が疑われたときに行われる検査」を読んで下さい。

6. 狭心症の治療について:心臓カテーテル治療、手術、薬物治療など

狭心症は早期に適切な治療をすれば完治する病気です。その治療方法はいくつかあります。

  • 心臓カテーテル治療
  • 薬物療法
  • 手術:冠動脈バイパス術
  • 心臓リハビリテーション

最もよく行われているのは心臓カテーテル治療です。カテーテル治療が受けられない場合には手術や薬物療法(保存治療)が行われます。また治療後には心臓リハビリテーションで心機能を回復させることが大切です。

各々治療について簡単に説明していきます。

心臓カテーテル治療(PTCA、PCI)

医療行為に用いられるカテーテルという細い管を用いて狭くなった冠動脈を拡げる治療を心臓カテーテル治療と言います。手首や足の付け根の血管に入れたカテーテルを心臓に到達させて治療を行います。

血管を拡げるためにほとんどの場合でステントと言われる金網の筒を血管の中に留置します。ステントは一度拡がったらそのまま広がった状態を保つという特性があるので、血管を拡張させ続けます。一方で、ステント内に血栓ができることが多いので、血を固まりにくくする目的で抗血小板薬を長期的に飲む必要が出てきます。

心臓カテーテル治療についてもっと詳しく知りたい人はこちらを参考にして下さい。

狭心症に対する薬物治療とは?

狭心症の治療では様々な薬物を使用します。次に挙げる薬がその代表例です。

  • 抗血小板薬
  • 抗凝固薬
  • 血管拡張薬
  • β遮断薬
  • 脂質代謝異常改善薬

これらの薬についてもう少し説明します。

◎抗血小板薬

抗血小板薬とは主に血液凝固に関わる血小板の凝集反応を阻害することで血栓の形成を抑える薬です。特にカテーテル治療でステントを留置した後に血栓予防薬として重要です。

具体的な薬剤としてアスピリン(主な商品名:バファリン配合錠A81、バイアスピリン®錠100mg)、クロピドグレル(主な商品名:プラビックス®)などが使われています。

◎抗凝固薬

名前にあるように血液が固まる働き(血液凝固)を抑えることで血栓(けっせん)をできにくくする薬です。臨床ではヘパリンなどの注射薬(注射剤)の他、内服薬(飲み薬)の剤形も使われています。狭心症では、特に急性期の治療として用いられることがあります。また、不整脈合併しているときにも重宝されます。

経口(飲み薬)の抗凝固薬としては長年、ワルファリンカリウム(主な商品名:ワーファリン)が治療薬の中心を担ってきましたが、近年新しく開発された経口の抗凝固薬(プラザキサ®、イグザレルト®、エリキュース®、リクシアナ®)が登場し、治療の選択肢が広がってきています。このタイプの抗凝固薬はDirect Oral Anticoagulantsを略してDOACと呼称する場合もあります。

◎血管拡張薬

狭心症は冠動脈が狭くなる病気ですので、血管を拡張する作用がある薬を治療に用いることは理にかなっています。代表例としては通称「ニトロ」と呼ばれる硝酸薬です。狭心症では発作が起こったときにすぐに使用することで症状から開放されるため、特効薬として重宝されます。硝酸薬以外にも血管を拡張させる薬はあります。

  • 硝酸薬
  • ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)
  • ARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)
  • アルドステロン
  • カルシウム拮抗薬

これらは各々の特徴を鑑みて状況に適したものが使われます。

◎β遮断薬

交感神経のβ(ベータ)受容体を遮断することで狭心症、不整脈高血圧症など主に循環器に関連する疾患や症状に対して使われている薬です。心筋収縮力を抑えたり心筋の酸素消費量を軽減させることなどによって心臓への負荷を減らす作用をあらわし心筋梗塞の急性期だけでなく2次予防への効果も期待できます。

◎脂質異常改善薬

心臓の病気に大きく影響を及ぼすコレステロールなどの脂質異常を改善させる薬です。脂質異常の中でも特に悪玉コレステロールとも呼ばれているLDLコレステロールの異常は、狭心症の原因になります。コレステロールはプラークを作ることによって血管内皮を肥厚させ、粥状動脈硬化を引き起こすと考えられています。冠動脈における脂質に富む破裂しやすい不安定なプラークが破裂すると心筋梗塞や不安定狭心症などの急性冠症候群の原因となります。

コレステロールなどを改善させる脂質低下療法を行うことでプラークのコレステロール蓄積を抑えるだけでなく、プラークを安定化させ破裂しにくくすることで、冠動脈疾患の発症を抑える効果が期待できるとされています。

狭心症の治療薬に関してもっと詳しく知りたい人はこちらを参考にして下さい。

手術:冠動脈バイパス手術(CABG:Coronary Artery Bypass Grafting)

心臓に栄養を送る動脈のことを冠動脈といいます。冠動脈は右側に1本(右冠動脈)と左側に2本(左前下行枝、左回旋枝)あり、心臓を取り巻くように存在します。

図:右に1本、左に2本の冠動脈が心臓を取り巻いている。

この冠動脈が細くなると、心臓は栄養が少ない中で動かなくてはならなくなります。冠動脈が細くなる狭心症の治療で手術によって冠動脈の血流を回復させる場合があります。

狭心症の治療では一般的に心臓カテーテル治療が行われます。心臓カテーテル治療は血管に細い管を入れて、血管の内側から狭くなった冠動脈を拡げる治療です。胸を切り開かないで治療できるため、身体の負担が小さく済みます。一方で、3本とも冠動脈が狭くなっている場合や左冠動脈主幹部が狭くなっている場合には心臓カテーテル治療を行うことができません。そうした場面で冠動脈バイパス術は重宝されます。

冠動脈が狭くなるとその下流には血液が行き渡りにくくなります。冠動脈バイパス術では、血液の足りなくなっている下流に対して新しい血管(バイパス)を作って血液を補充します。このバイパスに主に用いられる血管は内胸動脈・大伏在静脈などです。

カテーテル治療に比べて身体の負担が大きく傷跡も残りますが、確実に血流を確保できることが利点になります。

狭心症の手術についてもっと詳しく知りたい人はこちらを参考にして下さい。

心臓リハビリテーション

日本心臓リハビリテーション学会によると、心臓リハビリテーションとは「自分の病気のことを知ることから始まり、患者さんごとの運動指導、安全管理、危険因子管理、心のケアなどを総合的に行うもの」としています。リハビリテーションを専門的に行う理学療法士だけでなく、医師・看護師・薬剤師・臨床心理士などが多方面から関わります。また、患者の生活環境や家族にも深く関わります。

心臓リハビリテーションを行うと運動耐容能(身体が運動の負担に耐える能力)が改善するため、再入院率の低下や長期生命予後の改善に有効であると考えられています。また、神経体液性因子(過剰に存在すると心臓を疲弊させると考えられている物質)や炎症サイトカイン(身体の中で炎症が起こると増える物質)に関与して血管内皮機能や骨格筋代謝等を改善すると考えられています。こうした運動や身体バランスのみならず、自ずから身体を動かしたり目標達成をしたりすることで、精神的な効果も期待できます。

心臓リハビリテーションについてもっと詳しく知りたい人はこちらを参考にして下さい。