まんせいじんぞうびょう
慢性腎臓病
何らかの原因により腎臓の濾過機能が低下、または尿にタンパク質が出る状態が3か月以上持続した状態
11人の医師がチェック 161回の改訂 最終更新: 2018.11.02

慢性腎臓病の基礎知識

POINT 慢性腎臓病とは

腎臓は両側の腰らへんに1つずつある臓器で、握りこぶしほどの大きさです。腎臓は血液を絶え間なくろ過して、老廃物を尿として体外に排出する役割があります。その他、体内の水分量や血圧の調整、ミネラルバランスの維持、血液を作るホルモンの分泌、骨を健康に保つなど重要な働きが多くあります。腎臓の機能に異常が3か月以上続いている状態を慢性腎臓病(CKD)と呼びます。高齢者、生活習慣病を持っている方、家族に腎臓病の人がいる方、喫煙者などはCKDになりやすいとされています。CKDの初期には症状はほとんど出ません。CKDが進行すると貧血症状、疲れやすい、体がむくむなどの症状が出てきます。診断は採血検査や尿検査によって行います。必要に応じて超音波(エコー)検査、CT検査、MRI検査などの画像検査で腎臓の様子を確認します。特殊な腎臓の病気が考えられる場合には、腎生検を行う場合もあります。慢性腎臓病が心配な方や治療したい方は内科を受診してください。内科の中では腎臓内科が特に専門としている病気です。

慢性腎臓病について

慢性腎臓病の症状

  • 悪化するまで自覚症状が少ない
  • 主な症状(これらの全てが揃うわけではない)
    • たんぱく尿(尿の泡立ち)
    • 血尿
    • 尿の量が増える・減る
    • 高血圧
    • 身体のむくみ
    • だるさ
    • 食欲低下
    • 吐き気
  • その他の症状
    • 尿毒症:本来は尿と一緒に排泄される毒素や老廃物が血液中に溜まってしまった状態で、だるさ、吐き気、頭痛、呼吸困難など多様な症状がでる
    • 病状が進むと、貧血が起こる
      エリスロポエチン(EPO)という赤血球を作る命令を出すホルモンが腎臓から出ているが、そのホルモンが十分に分泌できなくなるため

慢性腎臓病の検査・診断

  • 血液検査:体の中の老廃物が、どの程度排泄されずに残っているかを調べる
    • Cre(クレアチニン)やeGFRという値が主な指標になる
  • 尿検査:尿成分を調べる
    • タンパク尿血尿などが主な指標になる
  • 場合によっては必要な検査:その他の様々な臓器に異常が及ぶことが多いので、総合的な検査を行うことがある。また、腎臓そのものに対して画像検査を行うことがある
    • 心電図検査:心臓の動きを支配している電気信号の状態を調べる
    • 胸部レントゲンX線)検査:心臓が大きくなっていないかなどを調べる
    • 心臓超音波エコー)検査:心臓の動きを調べる
    • 腹部超音波(エコー)検査:腎臓の形態などを調べる
    • 腹部CT検査:腎臓やその他の腹部臓器の形態を調べる
    • 腹部MRI検査:腎臓やその他の腹部臓器の形態を調べる
  • 腎生検
    • 特殊な腎臓の病気が疑われる場合に行われる検査
    • 背中から針を刺して腎臓を一部採取して、顕微鏡で観察する
    • 入院で行われることが多い

慢性腎臓病の治療法

  • 基本的な治療方針
    • 病状を進行させないために、普段からの生活習慣に気をつけることが必要
    • その他、原因となっている病気に対する治療も行われる
  • 主な治療
    • 禁煙、減量など生活習慣の改善
    • 食事制限(塩分とタンパク質)
    • 血糖値の管理
    • 血圧の管理
    • 貧血の管理
      エリスロポエチンが不足している場合には薬で補充する
    • カルシウムやリンなどミネラルの管理
    • カリウム、アシドーシス(血液の酸性度が高くなりすぎる状態)の管理
      ・血液中のカリウムが高い場合、経口陽イオン交換樹脂でカリウムの吸収を抑える
    • 経口吸着剤などによる尿毒素対策
    • 蛋白尿を減らす治療薬
  • 悪化した場合
    • 腎代替療法を検討する
      血液透析
      ・腹膜透析
      ・腎移植
  • 長期的な経過
    • 失われた腎機能が回復することはほとんどなく、悪化すると血液透析などの腎代替療法が必要になる
    • 自分の腎不全がどこまで進行しているかを理解しておくことが必要

慢性腎臓病に関連する治療薬

活性型ビタミンD3製剤

  • 小腸からのカルシウム吸収を促進させ、骨量の減少を抑え骨粗しょう症による骨折などの危険性を低下させる薬
    • 骨粗しょう症では骨を壊す細胞と作る細胞のバランスが崩れ骨がもろくなってしまう
    • ビタミンDは活性型ビタミンD3となると、小腸からのカルシウムの吸収を促進させ骨量の減少を抑える
    • 本剤は体内で活性型ビタミンD3とほぼ同様の作用をあらわす製剤である
  • 続発性(二次性)副甲状腺機能亢進症や副甲状腺機能低下症などに使用する薬剤もある
活性型ビタミンD3製剤についてもっと詳しく

高リン血症治療薬

  • リンを吸着し排泄させることで高リン血症を改善し、動脈硬化や骨折などを予防する薬
    • 慢性腎不全では腎臓の機能が低下することで尿の生成などが低下し体内にリンが蓄積し高リン血症がおこる
    • 高リン血症では血管や関節などの石灰化により動脈硬化や関節痛などがおこりやすくなる
    • 高リン血症では副甲状腺ホルモンの過剰分泌がおこり、これにより骨がもろくなる
    • 本剤は消化管内でリンと結合しそれが排泄されることで体内のリン量を減らす
高リン血症治療薬についてもっと詳しく

陽イオン交換樹脂製剤(血清カリウム抑制剤)

  • 腸管内で薬剤のもつ陽イオンをカリウムイオンと交換しカリウムイオンを排泄させて血液中のカリウム値を下げる薬
    • 慢性腎不全では腎機能低下により血液中のカリウム値が高くなりやすくなる
    • 血液中のカリウム値が高いままだと高カリウム血症がおこりやすくなる
    • 本剤は腸管内でカリウムイオンを本剤のもつ陽イオンと交換し、体外へ排泄させる樹脂製剤
陽イオン交換樹脂製剤(血清カリウム抑制剤)についてもっと詳しく

慢性腎臓病の経過と病院探しのポイント

慢性腎臓病が心配な方

慢性腎臓病は初期には無症状ですが、進行すると全身のだるさや、頭がぼーっとするなどの意識障害の原因となります。健康診断などで慢性腎臓病が見つかった場合には、検査結果をもって一度内科を受診されることをお勧めします。一般内科で構いませんが、あえて専門を絞るのであれば腎臓内科が専門の診療科になります。特に健康診断などを受けておらず、ご自身が慢性腎臓病でないかどうかを確かめたいといった場合には、血液検査と尿検査が受けられる内科のクリニックであればどこでも問題ありません。

診断がついたらそのまま治療に移れるというわけではなく、様々な合併症(慢性腎臓病が原因で引き起こされる病気や病状)がないかを確認する必要があるため、一度は総合病院で全身の検査(心電図、心エコー、頸動脈エコー、より詳しい血液検査や尿検査など)を受ける必要があります。その際には腎臓専門医のいる病院が望ましいでしょう。

慢性腎臓病に関連する診療科の病院・クリニックを探す

慢性腎臓病でお困りの方

慢性腎臓病の治療は、食事療法、運動療法とともに慢性腎臓病の原因となっている病気の治療が基本となります。高血圧、糖尿病、腎炎、膠原病といった病気が慢性腎臓病を引き起こします。

それらを行っても慢性腎臓病が進行してしまい、腎臓の機能が極めて低下してしまった場合には、透析(血液透析、腹膜透析)と呼ばれる治療が必要となります。腎臓移植も選択肢の一つではありますが、他の方から腎臓の提供を受けなければならないため、現在の日本では多くの方が受けられる治療ではありません。

血液透析のためには、血管の手術を受ける必要があります。手術を行っている科は病院ごとに異なりますが、血管外科、泌尿器科、腎臓内科などが手術を行なっています。総合病院で、外科と腎臓内科が両方あるようなところでは、血管の手術を行えるところが多いでしょう。一部のクリニックでも日帰り手術で行っているところがあります。その上で、血液透析が行えるクリニックや病院に週3回(月水金、あるいは火木土)通院するというのが標準的な方法です。慢性腎臓病で低下した腎臓の機能は残念ながら回復が見込めないため、週3回、1回3-5時間ほどの通院を生涯続けることになります。したがって、通院先選びは極めて重要です。医療機関のスタッフ(医師や医師以外も)が信頼できることに加え、通いやすい立地にあるということも無視できません。午前午後の2枠で透析を行っているところや、朝昼晩の3枠で行っているところ、近所から送迎バスが出ているところなど様々な条件があります。ご自身の中で大切にしたい条件を考えた上で、いくつかの箇所を見学に行って決められるのが良いのではないかと思います。

腹膜透析の場合、手術を受けた上で、退院後はご自身で自宅で透析を行うことになります。正しい手順で行えないと体内に菌が入ったり、手術で挿入したカテーテル(体の内側と外側をつなぐ管)の交換が必要になってしまったりなどのリスクがあるため、身体的にも精神的にも、生活が自立している人でないと行うことができません。腎臓内科のある医療機関に入院の上で、手術を受けつつ、自宅での透析処理の方法や注意点をしっかりと習得した上で退院となります。腎臓専門医のいる病院を選択されるのが良いでしょう。中には腹膜透析に積極的に取り組んでいる病院もあります。

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