じんがん(じんさいぼうがん)
腎がん(腎細胞がん)
腎臓の実質にできるがん。手術や分子標的薬により治療する。
10人の医師がチェック 195回の改訂 最終更新: 2018.02.09

腎がん(腎細胞がん)の基礎知識

POINT 腎がん(腎細胞がん)とは

腎がんは腎臓の実質(みの部分)にできる悪性腫瘍で、50歳代の男性に多い傾向にあります。原因は遺伝子の異常や喫煙、肥満、透析などが考えられています。腎がんが大きくなると血尿や痛み、腹部の膨らみなどの症状が現れることがありますが、他の目的で行った腹部の超音波検査やCT検査で偶然みつかることもあります。腎がんは造影CT検査で診断が確定し、治療は手術や抗がん剤治療(分子標的薬)、サイトカイン療法などで行われます。超音波検査などで腎がんの疑いがあると言われたらすみやかに泌尿器科を受診して詳しい検査を受けてください。

腎がん(腎細胞がん)について

  • 腎臓の実質(実の部分)から発生するがん
  • 腎がんの約80%は淡明細胞型腎がんという種類
  • 腎がんの発病する危険性が高い条件
  • がん全体の2%を占める
  • 腎盂がんというがんあるが、腎細胞がんとは性質も治療法も異なるため注意
  • 腎盂がん膀胱がんと同じ尿路上皮がんという種類に分類される
  • 腎がんは基本的には画像診断で診断される
    • 小さな腎がんは、良性腫瘍との区別が難しい時がある
    • 腎がんの診断で手術を行い、最終的な診断が良性腫瘍のこともある
詳細な情報を見る

腎がん(腎細胞がん)の症状

  • 初期では症状がほとんどないので、検診や他の病気の検査で偶然みつかることもある
  • 進行腎がんの特徴的症状(すべてを認めることはほとんどない)
      ・血尿
      ・腹部のしこり(腫瘤)
      ・脇腹から腰にかけての痛み
  • 腎がんの中には発熱などを起こすものがある
症状の詳細

腎がん(腎細胞がん)の検査・診断

  • 腹部超音波検査:腎臓の病変を捉えることに有効
    • 健康診断で行われ発見されることも少なくない
    • 腹部超音波検査で腎がんの確定診断を行うことは稀
  • 血液検査
    • 全身状態を評価するために行う。腎がん腫瘍マーカーはない
    • 腎がん予後を予測する検査項目としてヘモグロビンLDH、カルシウム、CRPがある
  • CT検査
    • 腎がんの診断で最も重要
    • 特にダイナミック造影CT検査という撮影方法が行われる
    • ダイナミック造影CT検査で淡明細胞型腎がんは特徴的な所見を呈する
    • 腎がんが疑わしい場合は胸部のCT検査を行う
      腎がんは肺転移が多いため
  • MRI検査
    • 腎臓の機能が低下して造影CT検査が行えない場合に行われることがある
    • 小さな腎がん良性腫瘍と区別が難しいときの区別 
  • 生検
    • 下記の理由から腎がんに対しては生検は限られた場合を除いて行われない
      がんが周りに広がってしまう可能性(播種)
      腎がんは血流が豊富なので出血の危険性がある
    • 生検を考慮する場合
      ・他のがんが腎臓に転移をしていることが疑われるとき
      ・良性腫瘍と区別がつかないとき
  • 骨シンチグラフィ
    • 進行している場合や骨転移が疑わしいときに行われる
    • 必ず行う検査ではない
  • PET-CT検査
    • 転移や再発の有無を診断するのに有効とする意見がある
    • 必ず行う検査ではない
  • ステージの決定
    • 腎がんのステージは1-4に分類される
    • ステージの決定には3つを用いる
      ・腎臓でのがんの状況
      リンパ節転移の有無、状態
      ・離れた場所への転移の有無
  • 腎がんの転移先
    • 腎がんの転移先として多いのは肺、骨、肝臓など
検査・診断の詳細

腎がん(腎細胞がん)の治療法

  • 手術による治療効果が高い
  • 腎がんの手術
    • 根治的腎摘除術
      ・腎臓を全て切除
      ・開腹手術・腹腔鏡手術
    • 腎部分切除
      ・小さながんでのみ行うことができる
      ・がんの部分のみを取る
      ・開腹手術・腹腔鏡手術・ロボット手術
    • 遠隔転移している場合の手術
      ・遠隔転移があっても腎臓を取り除くことで余命の延長効果が期待できる
       ・他のがんは基本的には遠隔転移がある場合は手術をしない
    • 転移している部分に対する手術
      ・肺転移などを中心に行われる
      ・少ないケースだが転移している場所を切除することで根治することがある 
  • 抗がん剤では分子標的薬という薬も効果がある
  • 転移している腎がんに対しては分子標的薬やサイトカイン療法を用いてい治療を行う
    • 分子標的薬
      ・ソラフェニブ(ネクサバール®)
      ・スニチニブ(スーテント®)
      ・アキシチニブ(インライタ®)
      ・パゾパニブ(ヴォトリエント®)
      ・テムシロリムス(トーリセル®)
      ・エベロリムス(アフィニトール®)
      ・ニボルマブ(オプジーボ®)
    • サイトカイン療法:インターフェロンα、インターロインキン-2
  • 放射線治療は効果が低い
  • 骨転移などで痛みを認める場合は、症状緩和のため放射線治療が行われる
  • 長期的な経過
    • 再発は2年以内が多いが、かなり時間がたっての再発もある
    • 治療後も再発していないか確認するために定期的に検査を行うことが重要
    • 再発の有無の確認にはCT検査で行うことが多い
    • 再発時には分子標的薬もしくはサイトカインによる治療を行う
    • 再発の状況では手術による転移巣の切除もおこなわれる
治療法の詳細

腎がん(腎細胞がん)に関連する治療薬

分子標的薬(キナーゼ阻害薬)

  • がん細胞が増殖する際のシグナル伝達に必要なキナーゼ(酵素)を阻害し抗腫瘍作用をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • がん細胞が増殖するために必要なシグナルの伝達にはキナーゼ(酵素)の活性化が必要となる
    • 本剤はがん細胞の増殖で重要な因子となるキナーゼを阻害し抗腫瘍効果をあらわす

  • 本剤はがん細胞の増殖などに関わる特定の分子の情報伝達を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる
分子標的薬(キナーゼ阻害薬)についてもっと詳しく

分子標的薬(mTOR阻害薬)

  • がん細胞の増殖や血管の新生などに必要な物質の働きを阻害することで抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 細胞の増殖や血管の新生に関わるmTORという物質があり、がん細胞においてこの物質が活性化するとがん細胞の増殖などがおこる
    • 本剤はmTORの活性化を阻害し、がん細胞の増殖などを抑えることにより抗腫瘍作用をあらわす

  • 本剤はがん細胞の増殖・転移などに関わる特定の分子の情報伝達を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる
分子標的薬(mTOR阻害薬)についてもっと詳しく

分子標的薬(ニボルマブ〔ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体〕)

  • がん細胞を攻撃するリンパ球T細胞を回復・活性化させ、がん細胞に対する免疫反応を亢進させることで抗腫瘍効果をあらわす薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 通常であれば、がん細胞は体内で異物とされリンパ球のT細胞によって攻撃を受けるが、がん細胞が作るPD-1リガンドという物質はリンパ球の活性化を阻害する
    • 本剤はPD-1リガンドによるリンパ球の活性化阻害作用を阻害することで、T細胞のがん細胞へ攻撃する作用を高める

  • 本剤はがん細胞の増殖などに関わる特定分子の情報伝達を阻害することで抗腫瘍効果をあらわす分子標的薬となる
分子標的薬(ニボルマブ〔ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体〕)についてもっと詳しく

腎がん(腎細胞がん)の経過と病院探しのポイント

腎がん(腎細胞がん)が心配な方

腎がんは進行すると血尿や腹部の膨らみ、痛みなどの症状が現れます。しかし小さな腎がんは症状がないために自分で気づくことは難しく、腎がんを早期に発見する検査の方法は確立されていないので今の所、早い段階で見つけるのは難しいです。
ただ近年は超音波検査やCT検査が多くの医療機関で導入されているためか他の病気の目的で調べた検査をきっかけに腎がんが見つかるケースが増えています。
腎がんに特徴的な症状が現れた場合や検査で異常を指摘された場合は、泌尿器科を受診して調べてもらってください。腎がんの疑いがあって詳しく調べる場合、万が一腎がんであったときをみこして手術ができる病院を選ぶ方がよいでしょう。

腎がん(腎細胞がん)に関連する診療科の病院・クリニックを探す


腎がん(腎細胞がん)のタグ


腎がん(腎細胞がん)に関わるからだの部位

MEDLEYニュース新着記事