2017.07.30 | ニュース

がんの免疫チェックポイント阻害薬併用で重い有害事象が38%

安全性の研究から
from Journal of clinical oncology : official journal of the American Society of Clinical Oncology
がんの免疫チェックポイント阻害薬併用で重い有害事象が38%の写真
(c) pix4U - Fotolia.com

ニボルマブ、イピリムマブはがん治療薬です。免疫を利用してがんを攻撃します。2剤で腎がんを治療して安全性を調べる研究で、入院が必要な程度の症状などが38.3%から61.7%の人に現れたことが報告されました。

腎がんニボルマブ(商品名オプジーボ®)イピリムマブ(商品名ヤーボイ®)の併用で治療して安全性を調べる研究の結果が、専門誌『Journal of Clinical Oncology』に報告されました。

この研究は、効果を確かめる研究よりも前に行われ、安全に使える用量などを調べることを目的とする「第1相試験」です。転移があるか進行した腎細胞がんの患者が対象とされました。

対象者は5グループに分けられ、グループごとにニボルマブとその他の薬剤(イピリムマブ、パゾパニブ、スニチニブのいずれか)の2剤を使って治療されました。イピリムマブを使った3グループでは1回の投薬あたりの用量がグループごとに変えられました。

  • ニボルマブ3mg/kg+イピリムマブ1mg/kg(N3I1群)
  • ニボルマブ1mg/kg+イピリムマブ3mg/kg(N1I3群)
  • ニボルマブ3mg/kg+イピリムマブ3mg/kg(N3I3群)

3グループとも21日ごとに4回の投薬を行ったあとはニボルマブ3mg/kgを14日ごとに使用しました。

 

N3I3群は次の結果となりました。

N3I3群のすべての患者(6人)が、用量制限を必要とする毒性やその他の理由により、解析時点までに打ち切りとなった。

N3I3群の参加者全員が、副作用が出て決まった用量を続けられなくなったなどの理由で、データを解析するよりも前に研究打ち切りとされました。

N3I1群、N1I3群は次の結果でした。

グレード3から4の治療関連有害事象はN3I1群の38.3%、N1I3群の61.7%に報告された。

2年全生存率はN3I1群で67.3%、N1I3群で69.6%だった。

治療の副作用やその他の原因で現れた症状などの望ましくない出来事を有害事象と呼びます。有害事象は個別に副作用かそうでないかを区別できない場合があります。有害事象の重さはグレードで表現します。入院が必要になるか、入院中ならば入院期間の延長が必要になる程度の有害事象はグレード3とします。グレード4はさらに重いものを指します。

グレード3または4の治療関連有害事象は、N3I1群では38.3%、N1I3群では61.7%の人に現れました。2年後まで生存していた人はN3I1群の67.3%、N1I3群の69.6%でした。

この結果から、研究班は「ニボルマブ+イピリムマブ療法は転移のある腎細胞がんの患者に対して、管理可能な安全性、特記するべき抗腫瘍活性、持続する応答を、有望な全生存率とともに示した」と結論しています。

 

腎細胞がんに対するニボルマブとイピリムマブの安全性の研究を紹介しました。N1I3群で61.7%の人に入院が必要な程度の有害事象が起こっていても、がんを治療する目的から見て許容範囲という判断でした。

この研究以後も、腎細胞がんに対してニボルマブとイピリムマブを使用する研究が行われています。

2017年7月時点の日本では、ニボルマブ(商品名オプジーボ®)には「根治切除不能腎細胞癌又は転移性腎細胞癌」の効能・効果が承認されていますが、イピリムマブ(商品名ヤーボイ®)には承認されていません。

有効性は未知ですが、安全性についてのデータは、さらに研究を進めようとする上で欠かせない貴重な情報です。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Safety and Efficacy of Nivolumab in Combination With Ipilimumab in Metastatic Renal Cell Carcinoma: The CheckMate 016 Study.

J Clin Oncol. 2017 Jul 5. [Epub ahead of print]

[PMID: 28678668]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。