2015.08.07 | ニュース

進行し転移があり、手術不可能なメラノーマを治療、ニボルマブの効果は

945人の第3相ランダム化試験

from The New England journal of medicine

進行し転移があり、手術不可能なメラノーマを治療、ニボルマブの効果はの写真

皮膚がんの一種である悪性黒色腫に対して、最近登場した治療薬のニボルマブは、ほかの薬で効果が不十分だった場合だけでなく、新たに最初から使った場合においても、がんの進行なく生存した期間が長くなったことが報告されました。

◆手術が不可能なとき、イピリムマブと比較

研究班は次の対象者に治療を行いました。

ステージIIIまたはIVの切除不能な悪性黒色腫があり、以前に治療を受けていない945人の患者を1:1:1の比でニボルマブ単独群、ニボルマブ・イピリムマブ併用群、イピリムマブ併用群に割り付けた。

進行して手術で取り除くことができない状態の悪性黒色腫(メラノーマ)があり、以前に治療を受けていない人が対象となりました。対象者はランダムに次の3グループに分けられ、ニボルマブ、既存の抗がん剤のイピリムマブ、またはその両方による治療を受けました。

  • ニボルマブだけを使うグループ
  • ニボルマブとイピリムマブを併用するグループ
  • イピリムマブだけを使うグループ

 

◆進行なく生存する期間が長く

次の結果が得られました。

ニボルマブ・イピリムマブ併用群では無増悪生存期間の中央値は11.5か月(95%信頼区間8.9-16.7)であり、イピリムマブ単独群では2.9か月(95%信頼区間2.8-3.4、死亡または疾患進行のハザード比は0.42、99.5%信頼区間0.31-0.57、P<0.001)、ニボルマブ単独群では6.9か月(95%信頼区間4.3-9.5、イピリムマブ単独群と比べてハザード比0.57、99.5%信頼区間0.43-0.76、P<0.001)だった。

グレード3または4の治療関連有害事象は、ニボルマブ単独群の患者の16.3%、ニボルマブ・イピリムマブ併用群の55.0%に、イピリムマブ単独群の27.3%に起こった。

がんが進行することなく生存した期間が、イピリムマブ単独のグループでは2.9か月でしたが、ニボルマブ単独のグループでは6.9か月、併用したグループでは11.5か月と、いずれも長くなっていました

 

ニボルマブはこれまでの抗がん剤にないしくみで働くとされ、ほかの種類のがんを治療する研究も行われています。悪性黒色腫をはじめ、がんに苦しむ人の助けになれるかどうか、実際の治療の結果が注目されています。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Combined Nivolumab and Ipilimumab or Monotherapy in Untreated Melanoma.

N Engl J Med. 2015 Jul 2

 

[PMID: 26027431]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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