2015.12.15 | ニュース

日本人で卵巣がんへの免疫を有効にする、ニボルマブの安全性と有効性

世界初、京大大学院の研究チームが確認

from Journal of clinical oncology : official journal of the American Society of Clinical Oncology

日本人で卵巣がんへの免疫を有効にする、ニボルマブの安全性と有効性の写真

がんの治療に免疫の働きを利用した「抗PD-1抗体」という薬が最近注目されています。ほかの抗がん剤(プラチナ製剤)が効きにくい20人の卵巣がん患者への抗PD-1抗体の有効性と安全性が評価されました。

◆抗PD-1抗体とは?

免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患細胞はがん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがある細胞を攻撃する働きがありますが、がん細胞はこの免疫細胞から自分を守ろうと抵抗します。これは「がん免疫逃避機構」と言われています。

「がん免疫逃避機構」の1つであるPD-1/PD-L1経路を遮断するのが抗PD-1抗体白血球が作り出す、免疫の一部を担う物質。体内の病原体に付着して、他の免疫細胞の働きを助けたりするのニボルマブです。この薬は皮膚がんの一部に対して日本でも承認されているほか、肺がんの一部、卵巣がんに対する新しい治療戦略としても期待されています。

 

◆プラチナ製剤抵抗性卵巣がん患者20人を対象に検証

20人のプラチナ製剤抵抗性卵巣がん患者が、2週毎にニボルマブ静脈点滴で1mg/kgか3mg/kg(それぞれ10例ずつ)による治療を受けました。20人のニボルマブ治療患者は研究の最終日2014年12月7日時点でまでの経過を調査されました。

 

◆卵巣がん患者に新しい治療戦略

治療の結果、20人中2人で腫瘍細胞が増殖してできるこぶのようなもの。あまり悪さをしない良性腫瘍と、体に強い害を与えることの多い悪性腫瘍に分類されるが完全に見つからなくなり、副作用の可能性がある重い作用が2人に顕れました。詳しくは次の通りです。

グレード3-4の治療関連有害作用の発現は20人中8例(40%)であった。2人に重篤な有害作用が顕れた。反応の評価が可能であった20人の患者において、最良総合効果 は15%で、恒久的な完全寛解に達した2例(3mg/kg群)を含んでいた。研究終了時点での無増悪生存中央値は3.5ヶ月(95%信頼区間,1.7~3.9ヶ月)で、全生存中央値は20.0ヶ月(95%信頼区間,7.0ヶ月~)であった。

 

今回の研究は卵巣がんに対してニボルマブの安全性と有効性を示した世界で初めての報告です。

もし今後検証が進み通常の治療として使えるようになれば、今までの治療法があまり効かなかった卵巣がん患者の中には、この薬に希望が持てる人もいるのではないでしょうか。

執筆者

永沢佳和


参考文献

Safety and Antitumor Activity of Anti-PD-1 Antibody, Nivolumab, in Patients With Platinum-Resistant Ovarian Cancer.

J Clin Oncol. 2015 Dec 1

[PMID: 26351349]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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