2015.10.29 | ニュース

非小細胞肺がんに、ニボルマブが効果的

582人の第3相ランダム化試験

from The New England journal of medicine

非小細胞肺がんに、ニボルマブが効果的の写真

二ボルマブは免疫にはたらきかけることで、がんに効果を示す抗体医薬品として開発されました。肺がんの一部である非小細胞がんは、既存の抗がん剤による治療効果が薄いと言われていますが、二ボルマブによる治療の結果が報告されました。

◆二ボルマブはどんな薬?

二ボルマブは、日本では2014年に皮膚がんの一種(根治切除不能な悪性黒色腫)に対して認可された比較的新しい抗がん剤です。

がん細胞には、体内の免疫システムによって殺されないように、免疫システムから逃れる特徴があります。

二ボルマブは、これまでの一般的な抗がん剤とは異なり、がん細胞が免疫システムから逃れられないようにすることで、がん細胞を殺すはたらきがあります。幅広い種類のがんに効果があるのではないかと期待されています。

 

◆582人のがん患者の治療効果を比較

研究チームは、以前にほかの抗がん剤による化学療法を受けたにもかかわらず、がんの進行があった582人の非小細胞がん患者を調査の対象としました。以下のように、対象者をランダムに2つのグループに振り分けました。

  • 二ボルマブを使用するグループ(292人)
  • ドセタキセルを使用するグループ(290人)

そして、2つのグループの対象者の生存期間を比較することで、それぞれの薬の効果を確認しました。

 

◆二ボルマブは、既存薬よりも延命効果を示した

調査の結果、以下のことが示されました。

全生存期間の中央値は、二ボルマブを使用したグループ292人において12.2ヶ月(95%信頼区間:9.7-15.0)、ドセタキセルを使用したグループ290人において9.4ヶ月(95%信頼区間:8.1-10.7)だった(死亡のハザード比:0.73、96%信頼区間:0.59-0.89、P=0.002)。[...]

つまりこの研究では、二ボルマブは、既存薬であるドセタキセルよりも非小細胞がん患者に対する延命効果が高いという結果を示しました。

 

さらに、それぞれの薬の副作用について、以下のことが示されました。

グレード3または4の治療関連有害事象は、二ボルマブを服用したグループの10%、ドセタキセルを服用したグループの54%から報告された。

つまり、二ボルマブによってドセタキセルよりも深刻な副作用と見られる出来事が少なくなりました。

 

この研究では、二ボルマブはドセタキセルよりも良い延命効果が示されました。今回二ボルマブにも非小細胞がんに対する効果があることが示唆されたことで、患者によって、より適切な薬を選択することが出来るようになるかもしれません。

執筆者

鈴木あいか

参考文献

Nivolumab versus Docetaxel in Advanced Nonsquamous Non-Small-Cell Lung Cancer.

N Engl J Med. 2015 Sep 27 [Epub ahead of print]

[PMID: 26412456]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る