2017.02.13 | ニュース

肺がんの進行を遅らせ副作用も減少、タグリッソの効果を検証

419人の治療で比較
from The New England journal of medicine
肺がんの進行を遅らせ副作用も減少、タグリッソの効果を検証の写真
(C) Arman Zhenikeyev - Fotolia.com

肺がんの中には、抗がん剤が効きにくい遺伝子変異を持つものがあります。オシメルチニブはある種の遺伝子変異を持った肺がんに使われる薬です。既存薬と比較した研究から、がんの進行なく生存した期間が長かったという結果が報告されました。

オシメルチニブ(商品名タグリッソ®)は、EGFR-チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)と呼ばれる薬の一種です。

EGFR-TKIは肺がんの治療にも使われる抗がん剤です。がん細胞の遺伝子検査をして、EGFR遺伝子の変異がある場合に使うことができます。

EGFR-TKIで治療すると、がん細胞の中に新しい遺伝子変異が発生して、薬が効きにくくなる場合があります(耐性)。T790M変異は耐性の原因になる遺伝子変異のひとつです。オシメルチニブは、T790M変異があるがんを狙った薬です。

ほかのEGFR-TKIを使ったところT790M変異により耐性ができた場合にオシメルチニブを使うことができます。

 

オシメルチニブの効果と副作用を調べた研究を紹介します。

この研究は、以下のすべてに当てはまる肺がん患者を対象としました。

  • 肺がんの種類は非小細胞がん(腺がん、扁平上皮がんなど)
  • 先にEGFR-TKIで治療していたときにがんの進行があった
  • T790M変異がある

対象者はランダムに2グループに分けられました。

  • オシメルチニブを飲むグループ
  • プラチナ製剤(シスプラチンまたはカルボプラチン)とペメトレキセドの点滴をするグループ

プラチナ製剤とペメトレキセドは既存の抗がん剤です。肺がんに使う抗がん剤の中でも吐き気を起こしやすい組み合わせです。

グループごとに、がんが進行することなく生存した期間が比較されました。

 

次の結果が得られました。

無増悪生存期間の中央値は、オシメルチニブ群のほうがプラチナ製剤+ペメトレキセド群よりも有意に長かった(10.1か月 vs 4.4か月、ハザード比0.30、95%信頼区間0.23-0.41、P<0.001)。

グレード3以上の有害事象があった患者の割合は、プラチナ製剤+ペメトレキセド群(47%)よりもオシメルチニブ群のほうが低かった(23%)。

プラチナ製剤+ペメトレキセドのグループよりも、オシメルチニブのグループのほうが、がんの進行なく生存した期間は長くなりました

プラチナ製剤+ペメトレキセドのグループでは半数が4.4か月以上、オシメルチニブのグループでは半数が10.1か月以上でした。

副作用の可能性がある症状などのうち、入院が必要な程度のものが現れた人は、オシメルチニブのグループのほうが少なくなりました。

 

オシメルチニブを既存の薬と比較した結果を紹介しました。

オシメルチニブ(商品名タグリッソ®)は日本では2016年3月に「上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)に抵抗性のEGFR T790M 変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌(NSCLC)」を効果・効能として承認されました。現在は、使用条件のすべてに合う人なら、通常の治療として使うことができます。

ここで紹介した結果は、治療法を選ぶときの参考として使えるかもしれません。

ただし、統計としては一方の選択肢が良い成績を出していても、ひとりひとりに対しては別の薬が効果を現す場合もあります。データはあくまで参考として、実際の治療は個人の背景を考えに入れ、主治医とよく相談したうえで選んでください。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Osimertinib or Platinum-Pemetrexed in EGFR T790M-Positive Lung Cancer.

N Engl J Med. 2016 Dec 6. [Epub ahead of print]

 

[PMID: 27959700]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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