じんがん(じんさいぼうがん)
腎がん(腎細胞がん)
腎臓の実質にできるがん。手術や分子標的薬により治療する。
10人の医師がチェック 197回の改訂 最終更新: 2018.07.20

腎がん(腎細胞がん)の検査:超音波検査、CT検査、ステージの分類方法

腎がんは超音波検査CT検査などによってステージが決まります。ステージはIからIVの4つに大別され治療を行う際に参考にされます。ここでは腎がんを調べる際に用いられる検査について説明します。

1. 腎がんの検査はどんなものがあるのか

腎がんの検査は画像検査を中心として、次のような検査が行われます。

  • 血液検査
  • 画像検査
    • 超音波検査
    • CT検査
    • MRI検査
    • PET-CT
    • 骨シンチグラフィ
  • 生検

それぞれの検査には特徴があるので、違った見かたで調べることができます。腎がんを診断したり手術の前に体の状態を調べたりする目的で検査が行われます。次にそれぞれの検査について説明します。
 

2. 血液検査

現在のところ血液検査だけで腎がんを見つけることは困難です。血液検査の目的は主に腎臓や肝臓などの機能を調べることです。手術や薬物治療を行う際には腎臓や肝臓の機能などが重要になります。

下の表のように、一部の検査は腎がんの人で陽性になりやすい項目がありますが、確実なものはありません。
腎がんは免疫との関わり合いが深いと考えられています。腎がんがあると体に炎症を起こしたり、電解質の異常を起こすことが血液検査に表れます。

症候 頻度(%)
赤沈の亢進 55.6
貧血 36.3
肝機能異常 14.4
高カルシウム血症 4.9
赤血球増多 3.5

最初に述べたようにこれらの検査結果は腎がんに特徴的なものではありません。
一番頻度が高い赤沈の亢進であっても他の疾患を原因とすることが多いです。この症候に当てはまるからといって腎がんを疑うべき根拠としては弱いです。ただし、検査値の異常には腎がん以外の何らかの疾患が隠れている可能性もあるので、健康診断などで異常値を指摘されたときは、原因について医療機関で調べることを強くお勧めします。

参考:
日本臨床 腎・泌尿器

3. 画像検査 

腎がんが疑われる場合は、主に超音波検査とCT検査が用いられます。特殊な腎がんや良性腫瘍と見分けがつかない場合には、MRI検査やPET検査が用いられることもあります。
腎がんが疑われる際に用いられる画像検査について説明します。

腹部超音波検査(エコー検査)

エコー検査は超音波を利用して体の中を調べることができます。
超音波を体の外から送り込んで、超音波と体の中の反射を画像化します。超音波は空気や硬いものがあると、上手く画像にすることができません。具体的には、空気を含んだ肺や硬い骨があると詳しく調べられないことがあります。腹部は空気や硬いものがないので超音波検査には向いています。
腎臓はよく見えるので、腎がんが疑われるほとんどの場合、超音波検査で病気の部分をとらえることができます。超音波検査は腎がんを調べる際には有用な検査なので、手術中にも用いられることがあります。

CT検査

CT検査は腎がんの診断にもっとも重要な検査です。
CT検査は放射線を用いて体の中を撮影します。放射線被曝があるため、必要ないときにまでCT検査を使うのは避けるべきですが、腎がんの疑いがあるときはCT検査で診断を進める利益が被曝のリスクを大幅に上回ると考えられます。
腎がんの診断ではCTの中でも特にダイナミックCTという方法が重要です。ダイナミックCTは、造影剤という薬を注射して、タイミングを変えて複数回CTを撮影する方法です。
造影剤を使用する場合には、腎臓の機能が低下していないことが条件になります。腎機能が低下している場合は、腎臓の機能を保護するために点滴を行ったうえで撮影したり、造影剤の使用を見合わせたりすることもあります。造影剤が使用できない場合は、次に説明するMRI検査などが行われます。

MRI検査

MRI検査は磁気を用いて体の中を画像化する検査です。放射線を用いないので被曝することはありません。
腎がんの診断ではCT検査の方が行われることが多いのですが、MRI検査も用いられることがあります。MRI検査が有用なのは次の場合です。

  • 病気が疑われる部分が小さな場合
  • 腎臓の機能が低下していて、造影CT検査ができない場合

腎がんは大きくなるとCT検査で得られる画像の特徴がはっきりしてきますが、小さな段階ではCT検査で良性の病気と見分けるのが難しい場合があります。この場合はMRI検査で得られる画像所見が参考になります。また、腎がんの診断には造影CT検査が有用なのですが、腎臓の機能が低下している場合には行えません。その際には、MRI検査から得られる情報によって診断が確実になることがあります。
 

PET-CT検査

PET-CTはPETとCT検査を組み合わせたものです。
PET検査はFCG(フルオロデオキシグルコース)という物質を利用して検査を行います。FDG(グルコース)に類似した物質で、FDGが取り込まれると放射線が発生します。発生した放射線を利用して画像化することができます。がん細胞は糖分の取り込みが活発なので、PET-CT検査ではがんが疑われる部分でFDGの取り込みが活発な様子を画像としてとらえることができるので、がんの診断に利用されることもあります。
しかし、腎がんの検査においてはPET-CT検査は一般的ではありません。現在のところCT検査やMRI検査より優れているといは証明されていないこともあり、限られた場面でのみ用いられます。次のような場面ではPET-CT検査が役立つ可能性があると考えられてます。

  • 画像上、腎がんかの判断が難しい場合の補助的役割
  • 転移性腎がんに対する薬物療法の効果判定
  • 転移の有無の検索

PET-CTはまだまだ一般的な検査とは言えない部分もありますが、今後の研究などで有用性が明らかになるかもしれません。

骨シンチグラフィー

骨シンチグラフィーはがんが骨に転移しているところを見つけようとする検査です。放射線を使って全身の画像を撮影します。腎がんは骨への転移を起こしやすいがんの一つです。特に進行した腎がんの場合には、骨への転移の有無を確認することは治療計画を立てる上でも重要です。腎がんが早期の段階の場合、骨シンチグラフィーを省略して治療に進むこともあります。

4. 生検

生検は身体の組織の一部を部分を取り出して顕微鏡で見る検査です。
顕微鏡でがん細胞の有無を確認できるので、がんが認められた場合の診断は確実なものになります。他の臓器のがんでは一般的な生検ですが、腎がんが疑われる場合には行われることは一般的ではありません。
腎がんが強く疑われる病変に対する針生検の問題点として以下が指摘されています。

  • がんが他の場所に広がる(播種する)危険がある
  • 腎がんは血流が豊富なために出血の可能性がある

以前から腎がんに針をさすとがん細胞が広がってしまう危険性が指摘されてきました。このため、腎がんが疑われる場合には超音波検査やCT検査といった画像検査でなるべく診断が行われています。
また、腎がんは血流が非常に多い事も知られています。針の当たりどころによっては大量に出血してしまうことも懸念されます。このため、なるべく生検は避けた方がメリットがあるとも考えられています。
以上の理由から針生検は腎がんであることの診断が難しい時に考慮される程度で、行われる頻度は多いとは言えないのが現状ですが、どうしても生検が必要なケースもあります。

生検が考慮される例として次の場合が考えられます。

  • 良性腫瘍を強く疑う場合
  • 腫瘍が腎がん以外の可能性が大きい場合(悪性リンパ腫、転移性腫瘍)
  • 手術せずに抗がん剤(分子標的薬)を使用する場合
  • すでに腎臓から離れた場所に転移があり腎がんか腎盂がんかの区別が困難なとき

それぞれの場合について説明します。

■良性腫瘍を強く疑う場合
良性腫瘍と見て間違いなさそうな場合、腎臓の一部またはすべてを摘出してしまう手術療法は、体への負担が大きすぎると考えられます。このため良性腫瘍の疑いが強いときは生検を行い確定診断とします。

■腎腫瘍が腎がん以外の可能性が大きい場合
悪性リンパ腫や転移性腫瘍が疑われる場合も生検が行われます。悪性リンパ腫や転移性腫瘍の治療は抗がん剤が中心になります。手術による治療は原則として行われません。また抗がん剤による治療では腎臓の機能が低下していると薬剤の使用制限などが必要になります。腎臓を取り出してしまうと腎機能の低下は避けられません。そこで腎臓を温存するためにも生検が行われます。

■手術せずに抗がん剤(分子標的薬)を使用する場合
転移のある腎がんの治療は抗がん剤(分子標的薬)を使います。抗がん剤を使用する際には、がんについて多くの情報があった方が治療を進める上で有利です。特に適切な抗がん剤(分子標的薬)を使うことができます。腎がんは転移があってもがんを取り除くことで中には余命が延長する人がいますが、手術の利益を期待しにくい人もいます。手術を行わないほうがよい人に対して生検を行う場合があります。

■すでに腎臓から離れた場所に転移があり腎がんか腎盂がんかの区別が困難なとき
腎がんと区別が必要なものとして腎盂がんがあります。腎盂がんは、腎がん(腎細胞がん)とは違った種類のがんです。膀胱がんと同じ種類になるので、腎がんと腎盂がんでは抗がん剤治療で使用する薬がまったく異なります。通常は画像診断や尿検査(尿細胞診)などで判断がつきますが、腎臓の形が完全に破壊されているような状況では、判断が難しい特ことがあり生検が考慮されます。