じんがん(じんさいぼうがん)
腎がん(腎細胞がん)
腎臓の実質にできるがん。手術や分子標的薬により治療する。
10人の医師がチェック 197回の改訂 最終更新: 2018.07.20

腎がん(腎細胞がん)とは?腎臓がんの診断から治療の流れ

腎がんは、腎臓自体の部分(実質)から発生するがんです。腎盂(じんう)という部分から発生する腎盂がんとは性質が異なります。ここでは腎がんの症状・原因・検査・治療について説明します。

1. 腎臓とは?どこにありどんな働きをしているのか?

腎臓のイラスト

腎臓は体の背中側にあり、通常は左右に1個ずつ、合計2個あります。
大きさと重さの平均的な数値は次のようになります。

  • 大きさ:上下16cm×左右6cm×前後3cmほど
  • 重さ:130-150g

腎臓の大きさは、手拳大(しゅけんだい)と表現されます。凹凸があり、ソラマメのような形です。腎臓は脂肪(腎周囲脂肪組織)によって覆われており。さらにその外側はゲロタ筋膜(Gerota筋膜)という膜で覆われています。ゲロタ筋膜はしっかりとした膜なので、腎がんが発生してもいったんゲロタ筋膜で食い止められて、簡単には周囲へ広がらないようになっています。

腎臓の位置・周りの臓器

腎臓の上(頭側)は第11肋骨(ろっこつ)、下(尾側)は第3腰椎(ようつい)に隣り合っています。背中から肋骨の形が見えることがありますが、一番下の肋骨が背骨にくっついている場所(肋骨脊柱角)の左右に腎臓があります。

腎臓の周りの臓器は左右で異なります。

  • 左の腎臓の周りの臓器
    • 下行結腸(かこうけっちょう)
    • 膵臓(すいぞう)の体部・尾部
    • 副腎
  • 右の腎の周りの臓器
    • 上行結腸(じょうこうけっちょう)
    • 肝臓
    • 膵臓の膵頭部(すいとうぶ)
    • 十二指腸
    • 副腎

腎臓がある位置は上腹部と呼ばれます。上腹部にはたくさんの臓器が詰まっているので、腎臓は多くの臓器に囲まれています。上行結腸・下行結腸は大腸の一部です。副腎はいくつかのホルモンを分泌している臓器です。

腎臓の役目は?

腎臓の役割は多岐に渡りますが、主な役割は「尿を作ること」と「ホルモンを分泌すること」です。

  • 尿を作る
    • 老廃物を体の外に出す
    • 体の中の電解質を調節する
  • ホルモンを分泌する
    • 血圧を調整するホルモン
      • レニン
      • プロスタグランジン
    • 赤血球を作る指令を出す
      • エリスロポエチン

腎臓の主な働きは尿を作ることです。
尿は血液から老廃物を濾過して作られ、老廃物と共に水分を体の外に出す役割を果たしています。腎臓によって体の水分の量が一定の範囲内に調整されています。体の中の水分が減ると尿が減り、水分が多く摂取された場合には尿が多く作られます。また同時に、電解質と呼ばれるナトリウム、カリウム、カルシウムやリンなどの物質を一定の量に保つ働きを持っています。

腎臓はいくつかのホルモンを出し、体の活動を維持する働きもあります。
「血圧を調整するホルモン」や「赤血球を作る司令を出すホルモン」が腎臓から分泌されます。

2. 腎がん(腎細胞がん)とは?

腎がんとは文字通り腎臓にできるがんです。腎がんの基本的なことについて説明します。
 

腎がんができやすい年齢・性別・患者数は?

腎がんが発生しやすい年齢や男女比は次の通りにです。

  • 発症が多い年齢(好発年齢):50歳代後半から70歳代
  • 男女比:2:1から3:1

また、年間約20,000人(2011年)が新たに腎がんと診断され、約8,000人(2013年)が腎がんを死因として亡くなっています。

腎がんの種類

腎がんにはいくつか種類があります。がんの組織を顕微鏡で観察することでいくつかの種類に分けることができます。顕微鏡で見た特徴による分類を病理学的分類と言います。腎がんを病理学的に分類したときの主なものは以下の通りです。

  • 淡明細胞型(たんめいさいぼうがた)腎細胞がん:約70-80%
  • 乳頭状(にゅうとうじょう)腎細胞がん:約5%
  • 嫌色素性(けんしきそせい)腎細胞がん:約5%

病理学的分類が異なるとがんの性質が異なります。
次にそれぞれの種類について説明します。

■淡明細胞型腎がん
淡明細胞型腎がんは、腎がんのうち約80%を占めます。腎臓の近位尿細管(きんいにょうさいかん)の細胞から発生すると考えられています。顕微鏡で観察するとがん細胞の色が淡く見えることが名称の由来です。
悪性度は淡明細胞型腎がんの中でもさまざまです。緩徐に(ゆっくりと)大きくなるものもある一方で、急速に進行するものもあります。淡明細胞型腎がんは血管を造る働き(血管新生)が活発なので、血流が豊富です。

■乳頭状腎がん
乳頭状腎がんは、顕微鏡で観察した時に乳頭状の(飛び出した形の)組織が見えます。病理学的特徴により、さらにtype 1とtype 2に分類されます。それぞれで異なる遺伝子変異を持つとされています。type2の方が悪性度が高いとされています。

■嫌色素性腎がん
嫌色素性腎がんは腎臓の集合管にある介在細胞から発生するとされます。オンコサイトーマという良性腫瘍と特徴が似ているので、区別する必要があります。バート・ホッグ・デュベ症候群(Birt-Hogg-Dubé症候群)の患者さんに発生することでも知られています。

参考:『標準泌尿器科 第9版』

3. 腎がんの原因

腎がんの発症には遺伝子異常や生活習慣が関わっているとされます。ここでは腎がんの原因と危険因子について解説します。

遺伝子異常

腎がんの原因となる遺伝子病が知られています。

■フォン・ヒッペル-リンドウ病(von Hippel Lindau病)
VHL遺伝子の異常によって起こる病気で、淡明細胞がんが発生しやすいことが知られています。腎臓以外にも中枢神経(脳と脊髄)や網膜腫瘍ができます。さらに詳しい情報は「フォン・ヒッペル-リンドウ病の基礎情報ページ」で説明しているので参考にしてください。

■バート・ホッグ・デュベ症候群(Birt-Hogg-Dubé症候群)
嫌色素性腎がんと腎オンコサイトーマ(良性腫瘍)が発生しやすいことが知られています。腎臓以外にも皮膚や肺に病気が現れることが特徴です。

危険因子:喫煙・肥満・透析・高血圧

腎がんに関係する危険因子が知られています。
危険因子とは、必ず病気を引き起こすとは限らないが、病気になる確率を高くする要素のことです。たとえば喫煙は肺がんの危険因子です。

以下のものは腎がんの危険因子とされています。

それぞれについて説明します。

■喫煙

喫煙は腎がんの危険因子だと考えられています。

喫煙者は、非喫煙者に比べて1.38倍(男性で1.54倍、女性で1.22倍)腎がんを発症する危険性が高かったとする報告があります。この研究では、喫煙量と危険性は相関することも報告されており、1日の喫煙量が20本を超えるヘビースモーカーでは、腎がんが男性で2.03倍、女性で1.58倍多かったとしています。また、禁煙することで腎がんを発症する危険性は低下すること、特に10年以上の禁煙で危険性が低下することも述べられています。
喫煙は腎がんだけではなく、首や喉のがん(咽頭がん喉頭がん)や肺がん心筋梗塞など多くの病気の危険因子として知られています。
禁煙が難しい場合は禁煙外来などを利用して取り組んでみてください。
このページ」でお近くの禁煙外来を行っている医療機関を探すことができるので参考にしてください。

Int J Cancer. 2005;114:101-108

肥満

肥満と腎がんは関連があるとされています。
肥満の指標にはBMI(体重[kg]÷身長[m]÷身長[m])というものが用いられます。BMIの正常値は18.5以上22未満であって、25を超えると肥満と診断されます。肥満の人に腎がんは発生しやすいので、減量すると腎がんになる危険性を下げることができます。運動療法や食事療法を取り入れて減量してみてください。

Br J Cancer. 2001;85:984-990

■透析

透析患者さんに腎がんの発生頻度が高いことが知られています。
特に、透析歴が長いほど危険性が高く、腎臓に嚢胞(のうほう)という水の袋が多発する後天性萎縮性多発嚢胞腎(こうてんせいいしゅくせいたはつのうほうじん)の状態では危険性がさらに高まるとされています。

透析患者さんは腎がんを発症する危険性が高いので、早期発見のために定期的に腎臓の超音波検査CT検査を行い腎臓の状況が確認されます。

高血圧症

高血圧症は腎がんの危険因子として知られています。高血圧症は次の条件が持続する人のことです。
 

  • 病院や健診などで測定した血圧(診察室血圧)の場合
    • 収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上を満たす
  • 自宅で測定した血圧(家庭血圧)の場合
    • 収縮期血圧135mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上を満たす


高血圧症の影響で、血管新生因子が増加することや近位尿細管での脂質酸化が亢進することなどが、腎がんの発生を高めるメカニズムとして推測されていますが、詳しい原因についてはまだ良くわかっていません。
高血圧症の治療には食事療法や運動療法、薬物治療があります。医療機関を受診して自分の状態にあった治療を行えるよう医師に相談してください。
高血圧症の治療は「こちらのページ」で説明しているので参考にしてください。

4. 腎がんの症状:痛み・血尿・腹部腫瘤感など

腎がんには古典的3徴と呼ばれる症状があります。

  • 疼痛(とうつう;痛み)
  • 血尿
  • 腹部腫瘤感(ふくぶしゅりゅうかん;お腹に塊ができる)

これは、現在とは異なり腎がんの診断が難しく進行した状態で発見されることが多かった時代によく指摘された症状です。また、実際には腎がんがあってもこれら3つ全てが現れる人は少ないといわれています。
早期の段階では腎がんによる症状はないことが多いです。現在、腎がんの7-8割は腹部超音波検査などによって偶然発見されています。つまり、腎がんが見つかったときにはほとんどの人は無症状です。

腎がんはサイトカインという免疫に関連した物質を出すことがあります。サイトカインを介した影響によって症状や検査異常が現れることがあります。

上記のようにさまざまな症状や検査異常が出現します。
これらの症状は他の病気によって現れることも多く、腎がんを原因とすることは比較的まれです。これらの症状があるからといって腎がんを第一に心配する必要はありません。他の病気が隠れている可能性もあるので、長引く発熱や著しい体重の減少があった人は早めに医療機関を受診することをお勧めします。

参考:
『標準泌尿器科 第9版』
 

5. 腎がんの検査:超音波検査・CT検査・MRI検査など

腎がんの診断は画像検査が中心になります。
画像診断で腎がんかどうかを診断し、手術を行うことが多いです。腎がんの診断で行われる検査について画像検査を中心に紹介します。

超音波検査

超音波検査は比較的簡単に行うことができます。
また、放射線を使用することもないので、被曝の心配はありません。超音波検査では、約80%の腎がんを発見できまるとされています。超音波検査のみで手術を行うことはありませんが、がんの様子を簡単に繰り返して観察することができる点が優れています。また、腎部分切除という腎臓の一部だけを切り取る手術中には切除する範囲を決めることにも役立てられています。

CT検査

CT検査は腎がんの診断のためにもっとも重要です。
CT検査では放射線を用いることにより体の中の状態を撮影することができます。特にCT検査の中でもダイナミックCTという方法は腎がんの診断で最も重要です。
ダイナミックCTは、造影剤という薬を注射したあと、何回かCT撮影を行います。注射された造影剤は血液の流れにのって血管や臓器の形をはっきりさせる効果があります。造影剤を注射した後に、腎がんが疑われる部分のCT検査を行うとがんの部分に特徴的な画像所見を得ることができ、診断に役立てられます。
腎がんを診断するのに有効な造影剤ですが、使うための条件は腎臓の機能が低下していないことです。腎臓の機能が低下しているところに造影剤を注射すると腎臓の機能がますます悪くなることがあり、慎重になるべきだと考えられています。
このため、腎機能が低下している場合は、腎臓の機能を保護するために点滴を行ったり、造影剤の使用を見合わせたりすることもあります。造影剤が使用できない場合は、次に説明するMRI検査を追加で行い診断に役立てられます。

MRI検査

MRI検査は磁気を用いて、体の中を画像化する検査です。
腎がんを診断する場合には、CT検査ほど重要ではありませんが、MRI検査からも多くの情報が得られます。特にがんが小さい場合はCT検査では診断が難しい時があり、その場合にはMRI検査が行われます。一方で、CT検査で明らかに腎がんと診断できる場合は、MRI検査を行わない場合もあります。また、MRI検査にも造影剤を用いる方法があります。造影剤を使うとがんの部分をはっきりさせたりすることができて多くの情報を得ることができます。しかし、CT検査と同様に腎臓の機能が低下している場合には造影剤による身体の影響が懸念されるので造影剤を用いません。

生検

生検とは、体の組織を取り出して顕微鏡で観察する検査です。基本的には腎がんの疑いがあるときに生検は行いません。生検には次のリスクがあります。

  • がんが他の場所に広がる恐れがある(播種)
  • 腎がんは血流が豊富なために出血の可能性がある  

出血により輸血を行う頻度は生検のうち1-2%程度とされています。現在のところ画像検査で明らかに腎がんと判断された場合、生検は行わないのが普通です。

6. 腎がんのステージ

腎がんのステージはステージIからステージⅣまであります。
腎がんと診断された後にステージを調べることをステージングと言います。腎がんのステージングを行うには、腎がんの状態を3つの方法で評価します。「原発巣の状態(腎がんの腎臓での状況)」と「リンパ節転移の有無」、「遠隔転移の有無」の3つです。
この3つを基準にしてTNM分類と呼ばれる方法ででステージが決まります。
次に説明するTNM分類は専門的な内容なので、とばして呼んでも全く問題はありません。

UICC-TNM分類

  • T分類-原発腫瘍
    • T1   最大径が7cm以下で腎に限局する腫瘍
      • T1a 最大径が4cm以下
      • T1b 最大径が4cm以上を超えるが7cm以下
    • T2   最大径が7cmを超え腎に限局
      • T2a 最大径が7cmを超えるが10cm以下
      • T2b 最大径が10cm以上を超える腫瘍
    • T3 腫瘍が主要な静脈内への進展、または腎周囲脂肪組織への浸潤をきたすが同側副腎への浸潤はなく、Gerota筋膜を超えない
      • T3a 腎静脈または腎周囲脂肪組織へ浸潤するがGerota筋膜を超えない
      • T3b 横隔膜以下の下大静脈内進展
      • T3c 横隔膜を超える下大静脈内進展または下大静脈壁への浸潤
    • T4  Gerota筋膜を超える腫瘍
  • N分類-所属リンパ節(腎門、腹部大動脈、大動脈リンパ節)
    • N0  所属リンパ節転移なし
    • N1  単発の所蔵リンパ節転移あり
    • N2  複数の所属リンパ節転移あり
  • M分類-遠隔転移
    • M0  遠隔転移なし
    • M1  遠隔転移あり
ステージ分類 T分類 N分類 M分類
ステージ1 T1 N0 M0
ステージ2 T2 N0 M0
ステージ3 T3 N0 M0
T1~3 N1 M0
ステージ4 T4 any N M0
any T N2 M0
any T any N M1

表の中にあるanyというのは、どのような状態でもという意味です。
生存率はステージごとに集計され結果が示されることが多いです。ステージ毎の生存率は「腎がんの生存率は?」で説明しているので参考にしてください。

6. 腎がんの治療:手術・薬物療法・放射線治療

腎がんの治療法は3つに大きく分かれます。

  • 手術 
    • 原発巣の切除
      • 腎部分切除術 
      • 根治的腎摘除術
    • 転移巣の切除
  • 薬物療法    
    • サイトカイン療法
    • 分子標的治療
  • 放射線治療
    • 転移巣への照射(主に骨、脳)

それぞれについて以下で説明します。

手術

手術は原発巣の切除と転移巣の切除の2つがあります。

■原発巣の切除(腎がんの切除)

原発巣とはがんが発生した部分のことで腎がんの場合は腎臓の病変のことです。
がんが小さな段階(早期)でも、転移がある場合でも手術が有効です。早期の段階で手術によってがんを取り除くことができれば根治(がんを体からなくすこと)が可能です。
手術の方法は、腎臓からがんがある部分だけを切り取る腎部分切除術と、腎臓を丸ごと取り除く根治的腎摘除術の2種類があります。腎がんの位置や大きさなどによって手術方法を選択します。手術の方法について詳しくは「腎がんの手術はどんな手術?」で説明しているので参考にしてください。
腎がんは他のがんと異なり他の臓器に転移がある場合でも原発巣(もともと発生した場所の腎がん)を摘出することで、余命が延長することがわかっています。がんで転移があると根治の難しいことに変わりはありませんが、腎がんの場合は積極的に手術を行うことでその後の薬物療法の効果を高めたり、場合によっては根治を見込めることもあります。

■転移巣の切除

転移巣はがんが転移をした場所のことです。
腎がんでは転移した後でも、転移した部位(転移巣)の切除を行う場合があります。他のがんでは転移をした部位の切除を行うことは少ないですが、腎がんの場合は治療の効果が高いことがわかっているのでしばしば行われます。
転移巣の切除に関しては、以下の条件を満たす場合に考慮されます。

  • 全身状態が良好である 
  • 転移巣を切除することで、全てのがんを取り除くことができる

腎がんは転移している部位を切除することで余命の延長が期待され、手術が行われてきました。転移巣の切除を行う条件は体の状態が良いこと、転移巣を切除することでがんがなくなることです。

転移巣がいくつもある場合に、一箇所だけ手術することは基本的にはありません。
また根治手術後に再発した場合は、再発までのスピードも手術が適当かどうかを見極める判斷材料として重要です。
転移巣の切除を考慮する場合は、病状についてしっかりと把握し選択を行う必要があります。転移巣の切除は「腎がんの手術はどんな手術?」で解説しています。

薬物療法

腎がんにはサイトカインと分子標的薬という薬の効果があります。

■サイトカイン療法
腎がんの転移が見つかった場合は、転移巣の切除を考慮する場合もありますが、多くは薬物療法を行います。腎がんに対する薬物療法は、インターフェロンに代表されるサイトカイン療法と分子標的薬です。
サイトカインとは、免疫機能を担当する細胞に指令を与えて活動させる物質の総称です。腎がんは免疫機能との関わりが強いことが知られ、長年にわたりサイトカイン療法としてインターフェロンやインターロイキンなどの物質が使用されてきました。他のがんで使用される抗がん剤の多くは腎がんに対する治療効果をあまり期待できません。

■分子標的薬
腎がんに対しては、がん細胞の表面にあるたんぱく質などをターゲットにしてがん細胞を攻撃する分子標的薬が治療に用いられます。腎がんに対して治療効果がある分子標的薬は7種類あります。2016年に腎がんへの効能・効果を承認されたニボルマブ(オプジーボ®️)もここでは分子標的薬に分類します。
サイトカイン療法、分子標的薬に関しては「腎がんのサイトカイン療法、分子標的薬とは?」で解説しています。

放射線治療

腎がんの根治的な治療(がんを残らず死滅させる目的の治療)としては、放射線治療は一般的に用いられません。腎がんは放射線による効果(感受性)が低いためです。腎がんの治療で放射線治療は、転移した先の治療として行われます。特に、骨、脳への転移に対して使われます。
腎がんは骨転移をしやすい特徴があります。骨への転移により痛みや神経への影響が懸念される場合には、症状を緩和(かんわ)する目的で放射線を照射します。過去の報告でも疼痛などの症状の緩和に有効であるとされています。
腎がん脳転移に対しても、放射線治療が行われることがあります。放射線治療を行うことで脳転移による症状の改善が認められ、がんが広がることを防ぐこと(局所制御)に有効であったという報告があります。