じんがん(じんさいぼうがん)
腎がん(腎細胞がん)
腎臓の実質にできるがん。手術や分子標的薬により治療する。
10人の医師がチェック 197回の改訂 最終更新: 2018.07.20

腎がん(腎細胞がん)を治療する病院はどうやって探す?ガイドラインや名医の探し方

腎がんの治療は手術が主体になります。腎がんの手術は色々な種類があり、施設によっては行えない手術の方法もあります。ここでは腎がんのガイドラインと腎がんを治療する際の病院の選択について解説します。

1. 腎がんに診療ガイドラインはある?

診療ガイドラインは、治療にあたり最も効果の高い選択肢を示すことや、治療成績と安全性の向上などを目的に作成されており、腎がんにも診療ガイドラインがあります。腎がんの診療ガイドラインは日本泌尿器科学会、EAU(欧州泌尿器科学会)、NCCN(全米総合がん情報ネットワーク)、AUA(米国泌尿器科学会)など各学会が作成したものが存在します。

ガイドラインがいくつも存在するのは理由があります。1つの理由は、国ごとに病院に行くときの環境などが違うことを考慮しているためです。もう1つの理由として、医学的に唯一の正解を決めにくいような場合に対して学会ごとに意見が違うためでもあります。日本泌尿器科学会の腎がんの最新のガイドラインは2017年に発刊されています。
ガイドラインは治療の助けになりますが、ガイドライン通りに治療を行うことが全て正しい訳ではありません。その時々、患者さんの状態は一人ひとり異なることを考えて治療が行われます。また、ガイドラインの更新前に明らかになった有効な治療などの知見が役に立つ場合もあります。

2. 腎がんを治療する病院はどうやって探す?

腎がんを治療する診療科は泌尿器科です。
泌尿器科では腎がんの診断から治療まですべて行うことが可能です。
病院には腎臓内科という診療科もあります。腎臓の病気なら腎臓内科でも診てもらえるだろうと思ってしまいがちですが、腎臓内科で腎がんの治療を行うことは原則としてありません。腎がんの疑いがあると言われたら、まずは泌尿器科のある病院を受診することが重要です。

泌尿器科医は医師の中でも数は多いほうではないので全ての病院に泌尿器科があるとは限りません。病院に行く前に、その病院に泌尿器科があるかを調べておいたほうがいいでしょう。インターネットに情報を細かく載せている病院なら、腎がんの手術数などを把握することもできます。

転移のある腎がんの人には分子標的薬とよばれる抗がん剤を用いて治療を行います。
分子標的薬は病院によっては在庫がなく処方できないこともあります。中規模な病院でもまれに分子標的薬の在庫を持っていないことがあるので、病院を変わる際などには注意をしてください。分子標的薬がその病院で使えるかどうかはインターネットではわからないことが多いので、電話などで問い合せたほうが確実です。規模の大きな泌尿器科のある病院であれば分子標的薬を使う治療は可能である場合がほとんどです。

腎がんの名医はどこにいる?

がんと診断されたときに「名医を見つけよう」と思うのは当然の感情だと思います。
しかし、ここでは腎がんの名医の名前を連ねるようなことはしません。それは、患者さん一人ひとりに名医の基準があるので、全ての患者さんから見て名医である人は、まずいないからです。
とはいえ、腎がんの名医をみつけるためのヒントについて考えてみます。
あくまで例ですが、腎がんの名医に必要な条件を下のように挙げてみます。

  • 手術に長けている 
  • 腎機能の低下した人に適切な治療ができる
  • 分子標的薬に精通している
  • 人としての相性がよい

■手術に長けている
腎がんの治療は手術です。ほとんどの腎がんの人は手術を行うことになります。
このため、腎がんの名医は手術に長けている必要があります。

■腎機能が低下した人に適切な治療ができる
腎機能の低下にうまく対処できることも大切です。
腎臓を摘出したり、部分的に切除した後は、腎臓の機能の低下は避けられません。手術後も腎臓の機能をできるだけ保つような治療を行える知識のある医師が望ましいです。
また、腎臓の機能が低下かなり低下すると腎臓内科の医師との協力も大切です。腎臓内科医によって腎機能をできるだけ保つような指導や治療が行われます。腎臓内科医による治療は全ての腎がん患者に必要ではありませんが、適切なタイミングで腎臓内科医に紹介してもらえることは重要です。このため、腎がんを担当する泌尿器科医にも腎臓内科医と同じ視点があるとよいです。

■分子標的薬に精通している
転移が出てきたときには抗がん剤による治療が必要になります。腎がんには分子標的薬という抗がん剤の一種が効果があります。腎がんを治療する医師は、分子標的薬の治療に関しても精通していることが望ましいと言えます。

■人としての相性がよい
最後にこれがもっとも重要なことです。
腎がんは手術から時間が経過して再発する場合があります。再発を見つけるために長い期間の経過観察が必要になり、主治医との付き合いも長くなります。このため、担当してくれる医師とはなんでも気軽に聞けるような人間関係を築くことが理想的です。初対面で人柄を見極めることは難しいことかもしれませんが、自分と気が合いそうな雰囲気かどうかも感じ取ってみてください。

他の医師の話を聞きたいときや担当する医師を変更したいときにはセカンドオピニオンを

治療に不安を感じたり、医師といい関係が築けなさそうと思い、担当医を変更したいときにはセカンドオピニオンを求めるのも一つの手です。
セカンドオピニオンとは主治医以外に治療方針についての意見を聞くことです。一般的には主治医に紹介状診療情報提供書)を書いてもらい、他の医療機関に行って意見を聞きます。施設によっては「セカンドオピニオン外来」など専用の窓口を設けています。セカンドオピニオンはより広い視野を持って治療を選択するために有用な手段です。

セカンドオピニオンは、主治医との関係が悪くなるような気がしてなかなか切り出しにくいという話をよく聞きます。医師の立場から言いますと、セカンドオピニオンを求められたからといって関係が悪くなることは全くありません。セカンドオピニオンは当然の権利です。セカンドオピニオンにより最適な治療が選択されるならば主治医にとってもありがたい話です。他の医師の意見を聞いてみたいと思ったならば、遠慮なく主治医にセカンドオピニオンを求めることをお薦めします。

腎がんの手術数は医療機関を選ぶ参考になるのか

がんの手術は患者さんにとって一生一代の大勝負です。
できるならば、最小限の負担で最大限の効果を得たいと誰もが思います。
ではどのようにして手術する病院を選べば良いのかとなると、悩んでしまう人も多いかもしれません。
結論から言うと、手術数は重要な指標の1つです。手術数は患者さんが比較的簡単に手にできる客観的な情報で、手術の質を推測する材料の1つにすることができます。術数が多いからといって手術が上手とは言い切れない部分もありますが、手術を多くこなす施設の経験値が高いのは間違いないと考えられ、様々な状況への対応に慣れていそうという点で手術数を参考にするのは妥当な考えです。

また、受ける手術の結果で重要なことは主に2点です。

  • がんが再発しない 
  • 手術に関連した問題(合併症)が起きない

この2つを満たしている施設で手術を受けたいものですが、再発や合併症の詳しい情報を公開している施設は少なないです。また、医療機関によっては難しい状態の患者さんが集まる場合もあれば反対に、比較的手術しやすい人が集まる場合もあるので、純粋に比較はしづらいという側面もあります。

腎がんの手術をする施設で迷っている人にとって、その施設で行われる手術数は施設のレベルを推し量る上である程度、参考にはなりますが、1つの判断材料にしか過ぎません。
担当医との相性なども含めて考え、自分が納得できる医療機関で治療を受けてください。