こうないえん
口内炎
ほほの内側や歯ぐきなど、口の中やその周辺の粘膜に起こるできものの総称。
10人の医師がチェック 170回の改訂 最終更新: 2023.02.01

口内炎の基礎知識

POINT 口内炎とは

口内炎は頬の内側や歯茎の粘膜などに起こる炎症の総称です。口内炎ができると食事中の痛みなどが現れます。ビタミンの不足や疲労、ストレス、物理的な刺激などが原因だと考えられています。 数日でよくなることが多いので、基本的には様子をみることが多いのですが、炎症を抑える塗り薬などが治療に用いられることもあります。口内炎がなかなか治らない場合には、ベーチェット病が背景にあったり、口腔がんなどの可能性があるので、医療機関を受診してください。

口内炎について

  • ほほの内側や歯ぐきなど、口の中やその周辺の粘膜に起こる炎症の総称
  • 主な原因
    • 粘膜を正常に保つためのビタミン不足
    • 疲労やストレス
    • ウイルス感染
    • 外的刺激(歯がぶつかる、など)
    • 抗がん剤治療の副作用
  • 分類
    • アフタ性口内炎:部分的に潰瘍のような粘膜の炎症が生じる
    • カタル性口内炎:潰瘍のように炎症の範囲が明確でなく、相対的に浅く広く炎症が広がる
  • ベーチェット病などの症状として口内炎ができる場合もあるので、口内炎が原因不明でなかなか治らないときや、再発を繰り返すときは注意が必要
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口内炎の症状

  • 口の粘膜や唇などにびらんがおきる
    • 進行すると潰瘍になることもある
症状の詳細

口内炎の検査・診断

  • 基本的には検査は行わず、診察だけで診断することが可能
  • 何らかの全身性の病気が原因で口内炎が生じている可能性を除外するための検査を行う場合もある
    • 血液検査:炎症の度合いを調べる
    • CT腫瘍の有無を調べる
検査・診断の詳細

口内炎の治療法

  • 主な治療
    • 薬剤治療
      • ステロイド薬(軟膏)
    • 口内炎に直接貼るタイプの炎症止め
    • 後から細菌の感染がありそうな場合は抗菌薬を使用することもある
  • 他の病気や、薬の副作用など、明らかな原因がある口内炎であれば、その原因疾患を取り除いたり、原因となっている治療をやめることが治療となる
    • 鉄、ビタミンB12、葉酸などが不足していれば補う
    • 原因の解決が困難な場合には、痛み止めなど、口内炎の対症療法を優先することもある
      • 軟膏などの一般的な治療薬
      • 適切なブラッシング指導によって口腔内を清潔に保つ
      • 痛み止め:口内炎の程度が強く、痛みが耐え難い場合には、医療用麻薬を使用して痛みを軽減させることもある
  • 予防、再発予防方法
    • バランスの取れた食生活に配慮する
    • 質の良い睡眠をとる
    • 口の中を清潔に保つ
    • ストレスを避ける生活を心がける
治療法の詳細

口内炎に関連する治療薬

ナイアシン製剤(ニコチン酸、ニコチン酸アミド)

  • 脂質の代謝や血管拡張、新陳代謝の改善などの作用によりニコチン酸欠乏によって生じる口内炎や耳鳴り、湿疹などの予防や治療に用いる薬
    • ナイアシンはニコチン酸とニコチン酸アミドの総称で水溶性(水に溶けやすい性質)ビタミン
    • 脂質の代謝や血管拡張作用、皮膚などの新陳代謝の改善など様々な作用をもつ
    • アルコール分解や活性酸素(過剰発生で細胞を傷つける物質)の除去などにも関与する
ナイアシン製剤(ニコチン酸、ニコチン酸アミド)についてもっと詳しく

ビタミンB6製剤

  • ビタミンB6を補い、口内炎や湿疹、貧血、手足のしびれなどを改善する薬
    • ビタミンB6は水溶性(水に溶けやすい性質)ビタミンでタンパク質からアミノ酸への分解などを助ける働きがある
    • ビタミンB6が不足すると皮膚、粘膜、神経の炎症や貧血などがおこりやすくなる
    • ビタミンB6が不足すると中枢神経の異常興奮により痙攣などがおきやすくなる
  • イソニアジド(主な商品名:イスコチン)の投与によるビタミンB6欠乏症に使用する場合もある
  • 薬剤によってはてんかんの治療などに使用する場合もある
ビタミンB6製剤についてもっと詳しく

グリチルリチン製剤

  • グリチルリチン酸の効果により、肝臓の働きを改善したり皮膚の炎症などを抑える薬
    • グリチルリチン酸は生薬の甘草(カンゾウ)などに含まれる成分
    • グリチルリチン酸は体内で様々な作用をあらわす
    • グリチルリチン酸には、抗炎症作用、免疫調節作用、肝細胞増殖作用などがあるとされる
グリチルリチン製剤についてもっと詳しく

口内炎の経過と病院探しのポイント

口内炎でお困りの方

一般的な口内炎の大半は、自然経過で治ります。医療機関を受診すると軟膏の処方は可能ですが、それも炎症を抑える対症療法の意味合いが強く、治りが大きく変わるというわけではありません。軽度の口内炎であれば、とりあえず数日から一週間程度様子を見てみるのも良いでしょう。
口内炎がなかなか治らない、あるいは程度がひどく悪化する一方であるなどの場合には、一度内科または口腔外科を受診して医師の診察を受けることをお勧めします。大病院ではなく近場のクリニックの受診が良いでしょう。

治療が難航する口内炎の中には、感染症(手足口病口唇ヘルペス)や、免疫に関連した病気(ベーチェット病天疱瘡など)があり、そのような場合には口の中だけでなく全身の診察、検査、治療が必要となります。クリニックを受診する上で、口内炎の裏側に他の病気が隠れていないかを確認するという点が大切です。長引く口内炎や、繰り返す口内炎で長期間お悩みの方は、一度このあたりの精査を含めて受診を検討されてみてはいかがでしょうか。件数は少ないですが、クリニック(歯科クリニックも含む)や病院の中には「口内炎外来」のように口内炎を中心に診療をしているところもあります。

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