べーちぇっとびょう
ベーチェット病
主症状として口内炎、陰部の潰瘍、目の見えにくさ、発疹のほか、副症状として関節、腸、神経、血管、副睾丸が障害されうる病気。
13人の医師がチェック 227回の改訂 最終更新: 2018.04.07

ベーチェット病の基礎知識

POINT ベーチェット病とは

口、陰部、目、皮膚に障害が現れる原因不明の病気です。HLA-B51やA26という遺伝子との関連が知られています。代表的には主症状として再発をくり返す口内炎、陰部の潰瘍、目の見えにくさ、皮膚症状が出現します。また関節の痛み、腹痛や血便、頭痛、副睾丸(精巣上体)の炎症が出現したり、動脈瘤や静脈血栓ができることもあり、これらの症状の組み合わせによって診断されます。人により症状の組み合わせは異なります。自然に軽快と悪化を繰り返す点がこの病気の特徴です。 検査としては症状に合わせて血液検査、皮膚検査、眼底検査、内視鏡検査、CT検査、髄液検査を行います。治療としては、ステロイド、免疫抑制薬、生物学的製剤などの薬剤を使用します。気になる方はリウマチ内科、膠原病内科を受診してください。

ベーチェット病について

  • 主症状として再発を繰り返す口内炎、陰部の潰瘍、目の見えにくさ、皮膚症状の4つが知られている
  • 副症状として関節の痛み、腹痛や血便、頭痛、副睾丸(精巣上体)の炎症が出現したり、動脈瘤や静脈血栓が出来るなどの症状が知られている
  • 主症状と副症状の組み合わせにより診断されるが、人によって症状の組み合わせは異なる
  • 自然に軽快と悪化を繰り返す点が特徴だが、コントロールのためにステロイド免疫抑制剤を使用する
  • 遺伝的要因に加えて、感染症や他の環境要因が加わることによって免疫が刺激され炎症を引き起こすのではないかと考えられている
  • 近年、関連する遺伝子が報告されてきている(HLA-B51、A26)
  • 日本の患者数は19,000人を超える
    • 男女差はない
    • ただし、若い男性で重症化しやすい傾向にある(特に内蔵病変、神経病変、血管病変)
    • 日本では北海道、東北に多い(北に多い)
  • 日本をはじめ韓国、中国、中近東、地中海沿岸諸国に多く見られる
    • シルクロードに沿った国に多く見られる
  • 厚生労働省の特定疾患に指定されている
    • 一定の基準を満たせば治療費の補助を受けられる

ベーチェット病の症状

  • 皮膚の症状
    • ふくらはぎや腕に赤いしこりができる
    • ニキビに似た病変で、顔や首、胸にもできる
  • 粘膜の症状
    • 外陰部潰瘍(性感染症の除外が必要)
    • 繰り返す口内炎
      ・患者の90%以上に生じると言われている
      ・唇や頬、舌、歯ぐきにできる
  • 眼の症状
    • 虹彩毛様体炎網脈絡膜炎などが両眼に起こる
    • 霧視、視野障害などが起こり、ひどい場合は失明に至る
  • 関節の症状
    • 左右非対称に手首、足首、肘、膝などの関節炎が生じる
    • 関節が腫れることが特徴的
  • その他の症状
    • 腸管の症状(腸管ベーチェット病
      ・腸の壁に潰瘍ができる
      ・部位は右下腹部にあたる回盲部が多い
      ・腹痛、下血などが起こる
      ・潰瘍は深くなる可能性があり、消化管出血や腸管穿孔が起こることがある
    • 神経の症状(神経ベーチェット病
      ・急性型と慢性型に分かれる
      ・急性型
       ・急激に症状が悪くなるタイプ
        ・頭痛
        ・発熱
        ・意識障害
      ・慢性型
       ・徐々に症状が進行していくタイプ
        ・もの忘れが激しい(認知症
        ・性格が変わる(人格変化)
        ・立ったり歩いたりが難しくなる(小脳失調
        ・症状が進行すると寝たきりの状態になる
        ・治療への反応が悪いことも多い
    • 血管の症状(血管ベーチェット病
      ・静脈が障害されることが多い(90%程度)が、動脈も時に障害される
      深部静脈血栓
      バッド・キアリ症候群
      上大静脈症候群
      大動脈瘤肺動脈

ベーチェット病の検査・診断

  • 皮膚の診察
    • 針反応:注射針を刺した後がツベルクリン反応のように赤く腫れる
    • 皮膚生検:皮膚の組織の一部を取ってきて顕微鏡で観察する
  • 血液検査:炎症が起きていないかなどを調べる
  • 遺伝子検査:HLA検査によりリスクが評価できる(ただし、保険適応外であり自費検査となること、健康な方でもベーチェット病の方と同様の結果となりうることに注意が必要;HLA-B51はベーチェット病の方の約60%で陽性だが、健康な方でも15%で陽性)
  • 視力検査/眼底検査:眼の病変の評価
  • 髄液検査腰椎穿刺により髄液を採取して、髄液中の細胞やタンパクの状態などを調べる
  • 下部消化管内視鏡(腸管病変が疑われる場合)
  • 造影CT検査(血管病変が疑われる場合)
  • 頭部MRI検査(神経病変が疑われる場合)

ベーチェット病の治療法

  • 自然に寛解と増悪を繰り返すが、治療の中断はリスクを伴うため、定期的な通院が必要
  • 口腔衛生不良と喫煙が病気の悪化のリスクとなることが知られており、歯みがきと禁煙が重要
  • 病変のある部位それぞれに対して治療が行われる
  • 眼の治療
    • 虹彩網様体などに病変が留まる場合
      ステロイド点眼剤
      ・散瞳薬
    • 網膜脈絡膜炎(視力の経過に関わる)の場合
      発作時にステロイド薬が局所または全身に投与される
    • 視力の経過に関わるため発作がなくても予防する場合
      ・インフリキシマブ(近年保険適用になり効果を上げている分子標的治療薬)
      ・コルヒチン(炎症を抑える)
      ・シクロスポリン(免疫抑制薬)
      ・アザチオプリン
  • 口や陰部の治療
    • ステロイド薬の軟膏を塗る
    • 口腔を常に清潔にする事が大事
  • 皮膚の治療
    • 内服薬で治療
      ・コルヒチン(特に結節性紅斑に有効)
      ・セファランチン(アレルギー反応を抑える)
      ・エイコサペンタエン酸(抗血小板作用)
  • 腸管の治療
    • 炎症を抑える
      ・ステロイド薬
      ・メサラジン
      ・サラゾスルファピリジン
      ・アザチオプリン(免疫抑制薬)
      ・インフリキシマブ、アダリムマブ
    • 内科的治療で奏功しない場合、手術により病変部を切除する場合もある
  • 関節炎の治療
    • コルヒチン
  • 神経症状の治療
    • 急性期症状の場合(髄膜炎脳幹脳炎など)
      ステロイドパルス療法
    • 慢性進行型の場合
      ・メトトレキサート
      ・インフリキシマブ
      ・シクロスポリンは症状を悪化させるため使用してはいけない
  • 血管病変の治療
    • 免疫を抑える
      ・ステロイド薬
      ・アザチオプリン
      ・シクロフォスファミド
      ・シクロスポリン
      ・難治例、再燃例はでインフリキシマブなどが検討される
       ※本疾患は動脈瘤の合併も知られるため、血栓症に対する抗凝固薬の使用は賛否両論ある
  • 一般的に主症状は発作を何度も繰り返す
    • 10年ほど経過すれば症状は落ち着くことが多い
  • 眼の病変がある場合は進行すると失明する可能性があるため注意が必要



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