こうないえん
口内炎
ほほの内側や歯ぐきなど、口の中やその周辺の粘膜に起こるできものの総称。
10人の医師がチェック 114回の改訂 最終更新: 2018.07.31

口内炎の原因、治らない場合は他の病気に注意

ほとんどの口内炎は自然に治ります。一方で、がんエイズベーチェット病などが隠れていることもあります。目や皮膚の症状があるとき、発熱など全身の症状があるとき、口内炎が2週間以上治らないときは特に気を付けてください。

1. 治らない口内炎の原因は?

口内炎が治らないときは、病気の心配をする前に、口内炎ができてから2週間経つまで待ってください。普通の口内炎は10日ぐらい治らないこともあります。

口内炎には、よく見かける白くて丸い口内炎だけでなく、赤く腫れたり、潰瘍(かいよう)になってえぐれてしまったりするものもあります。原因としては、以下のような病気が考えられます。

一般的な口内炎

  • アフタ性口内炎
    • 最も多い、2週間ほどで自然に治る口内炎
    • ストレスを受けたときや体が弱ったときにできる
  • カタル性口内炎
    • 歯のかぶせ物や入れ歯、やけどなどの刺激が原因
    • 原因が取り除かれれば治る

感染症

  •  ヘルペス性口内炎(口唇ヘルペス
  • 手足口病
    • ウイルスが原因で、口の中と手足に発疹、水ぶくれができる
    • 自然に治る
  • ヘルパンギーナ
    • ウイルスが原因で、口の中に口内炎、水ぶくれができる
    • 自然に治る
  • カンジダ性口内炎
    • カビが原因の口内炎
    • 免疫が弱っている人がかかりやすい

がん、がんの手前の状態

  • 口腔(こうくう)がん/舌(ぜつ)がん
    • 口の中にできるがんが小さいときは口内炎と区別しにくい
  • 白板症(はくばんしょう)
    • がんの一歩手前の状態

全身の病気

  • ベーチェット病
    • 口、皮膚、眼、外陰部炎症が起きる
    • ステロイド内服薬などの治療で症状が現れないようにする
  • 天疱瘡(てんぽうそう)
    • 免疫の異常で皮膚や口に水ぶくれができる
    • ステロイド内服薬などの治療で症状が現れないようにする

それぞれの特徴について以下で説明します。 

2. 白くて丸いアフタ性口内炎

「口内炎」と聞いてほとんどの人が思い浮かべるのはアフタ性口内炎です。通常10日から14日ほどで治ります。

アフタ性口内炎の症状は?

唇の裏や歯茎(歯ぐき)、舌、頬の内側に白くて丸い、境界がはっきりした出来物ができます。痛みが強いのが特徴的です。大きさはたいてい5mm以下ですが、もっと大きくなることもあります。

表面がただれる「びらん」、えぐれてへこむ「潰瘍」という状態になることがあります。口内炎が大きいときも赤いときもたいていはアフタ性口内炎です。

アフタ性口内炎の原因は?

疲れているときやストレスを感じているとき、頬の内側を噛んだことなどをきっかけにできます。

アフタ性口内炎の治し方は?

治療にはステロイドの塗り薬、貼り薬、スプレーなどの薬が使われます。また、レーザー治療は保険が効かないのですが、痛みを改善する効果があります。

3. 赤く腫れるカタル性口内炎

カタル性口内炎も健康な人によくできます。通常7日から10日ほどで治ります。

カタル性口内炎の原因は?

歯の矯正器具や虫歯のかぶせ物、合っていない入れ歯、熱いものを食べたことによる火傷、口の内の衛生環境の悪さなどが原因です。

カタル性口内炎の症状は?

上あごの部分の口蓋(こうがい)や頬の内側、唇の裏や舌が赤く腫れます。赤い斑点ができたり、白くただれたりすることもあります。

カタル性口内炎の治療法は?

入れ歯が合っていないなどの原因があれば、歯科に行って作りなおしてもらうなど、原因を取り除く必要があります。

詳しくは「カタル性口内炎の原因と効果的な治療法」で説明しています。

4. ヘルペス性口内炎(口唇ヘルペス)

ヘルペス性口内炎は、単純ヘルペスウイルス1型による感染が原因で起こります。日本人の半数以上がこのウイルスに感染していると考えられています。

多くの人は子供のときに初めて感染するのですが、初めての感染のときに「ヘルペス性口内炎(ヘルペス性歯肉口内炎)」を起こすことがあります。

ヘルペス性口内炎の症状は?

口の中の粘膜や歯茎(歯ぐき)、舌に小さな水ぶくれを伴なう口内炎ができます。高い熱が出るのも特徴的です。

口唇ヘルペスとは?

単純ヘルペスウイルス1型は、1回感染すると、近くの神経に一生潜み続けます。ストレスや体調の悪化が原因で免疫力が弱った時にウイルスが再び活動して、「口唇ヘルペス」を起こします。

口唇ヘルペスは粘膜ではなく、唇やその周辺の皮膚に数mm程度の赤い水ぶくれを現します。水ぶくれはいくつか同じ場所にできて、痛みがあります。口唇ヘルペスは通常であれば10日から2週間ほどで自然に治ります。

ヘルペス性口内炎の治し方は?

単純ヘルペスウイルス1型にはヘルペスウイルスという薬が効きます。抗ヘルペスウイルス薬はウイルスの増殖を抑えることができます。しかし、体に住み着いてしまったウイルスをなくすことはできません。

ヘルペス性口内炎の治療にはやや意見の分かれる部分もあります。詳しくは「ヘルペス性口内炎の原因と効果的な治療法」で説明しています。

5. 口の中と手足に発疹、水ぶくれができる手足口病

手足口病5歳以下の子どもがよくかかる病気です。夏に流行します。よく似た病気にヘルパンギーナがあります。

手足口病の症状は?

口の中と手足に発疹、水ぶくれができます。37℃台の微熱が出ることもあります。

手足口病の原因は?

エンテロウイルスまたはコクサッキーウイルスの感染が原因です。周りの子どもにうつります。原因は非常にありふれたウイルスなので予防は困難です。

手足口病の治し方は?

手足口病の症状は軽く、自然に治ります。安静にすることが一番大切です。特別な治療は必要ありません。

6. 口の中に口内炎、水ぶくれができるヘルパンギーナ

ヘルパンギーナは、手足口病と同様に5歳以下の子どもがよくかかる病気です。夏に流行します。

ヘルパンギーナの原因は?

ヘルパンギーナはエンテロウイルスまたはコクサッキーウイルスの感染が原因です。子供から子供へうつります。原因のウイルスは非常にありふれているので予防は困難です。

ヘルパンギーナの症状は?

急に38℃を超える高い熱が出て、のどが痛くなり、口の中、特に上あごの奥の軟口蓋(なんこうがい)という部分に水ぶくれが数個できます。熱は1日から3日で治り、その後数日で水ぶくれも治ります。

ヘルパンギーナの治し方は?

ヘルパンギーナは自然に治ります。

熱が高く、食べ物や水分をとれないことで脱水になることがあるので、水分補給は大切です。口から飲めないときは点滴で水分を補う方法もあります。

特別な治療は必要ありません。

7. 免疫が弱い人がかかるカンジダ性口内炎

普段から口の中に住んでいるカンジダというカビ(真菌)が、異常に繁殖することが原因で起きます。

カンジダ性口内炎の症状は?

白いコケのようなものが舌や頬の内側など、口の中全体に広がります。

カンジダ性口内炎の原因は?

元気な人は普通、カンジダ性口内炎にはかかりません。次のような人は免疫が弱いため、かかる恐れがあります。

  • 乳幼児
  • 高齢者
  • がんの化学療法抗がん剤治療)を受けている
  • 免疫抑制薬を使用している
  • 糖尿病
  • エイズ

カンジダ性口内炎の治し方は?

治療では抗真菌薬という薬を使います。抗真菌薬はカビに効く薬です。薬の使い方として、うがいをしたり、抗真菌薬の軟膏(なんこう)を塗る方法があります。

カンジダ性口内炎ができるときは、免疫力が低下しています。カンジダ性口内炎をきっかけにエイズが見つかる場合もあります。カンジダ性口内炎の治療を始めるときは、免疫力が低下している原因を病院で調べる必要があります。

8. 進行するまでは口内炎と区別しにくい口腔がん/舌がん

口腔(口の中)にできるがんは、50歳以上になるとできやすくなります。特に、喫煙、合っていない入れ歯、歯磨きをしないこと、歯周病でさらにできやすくなるというデータがあります。50歳未満の人で口腔がんはほとんどありません。

参照文献:Oral Oncol. 1998 JulArch Otolaryngol Head Neck Surg. 2007 May

口腔がんの症状は?

見た目の特徴として、白くなったり、赤くなったりするなどの初期症状があります。口内炎とも似ています。できる場所は頬の内側や歯茎(歯ぐき)、舌などです。

舌に発生したがんを舌がんと言います。口腔がんのうち半数以上は舌がんです。舌がんができやすい場所は、舌の横側の、歯に当たる部分です。がんの表面がえぐれた潰瘍になることがあります。口腔がん潰瘍になっても痛くないという特徴があります。

口腔がんの治し方は?

治療は手術が基本です。進行度によって放射線治療や化学療法も行われます。

がんが小さいうちに治療を始めることが大切なのですが、口腔がんを初期症状から口内炎と区別するのは難しいので、50歳以上の人で、口内炎が2週間以上治らない場合は耳鼻咽喉科や歯科口腔外科で診察を受けてください。
 

がんの一歩手前の状態、白板症

白板症は、舌の横側や頬の粘膜が固くなって、白くなっている状態です。口腔がんの一歩手前と考えられています。

多くの場合、見た目ではがんやほかの病気の症状と区別できません。組織を切り取って顕微鏡で調べる病理検査(びょうりけんさ)という方法で見分けます。

がんの可能性が高ければ、手術で取り除きます。

9. 口、皮膚、眼、外陰部に炎症が起きるベーチェット病

ベーチェット病は全身に炎症が起きる病気です。20代から40代の人に多いです。

ベーチェット病の症状は?

症状が現れやすい場所は次の4箇所が知られています。

  • 皮膚
  • 外陰部

ほかにも人によって腸や関節などに炎症による異常が発生します。原因は免疫の異常と考えられています。

ベーチェット病でできる口内炎の見た目はアフタ性口内炎と似ています。唇の裏や歯茎(歯ぐき)、舌、頬の内側に繰り返し口内炎ができます。

ベーチェット病の治し方は?

ベーチェット病の治療は簡単ではありません。ステロイド薬の内服や点滴、免疫抑制薬、コルヒチン、分子標的薬などがさまざまな目的で使われます。

ベーチェット病の口内炎に対する治療として、ステロイド薬の塗り薬などが使えます。

ベーチェット病は治る?

ベーチェット病は原因不明のため、「完治した」と言える状態がありません。

一般的にそれぞれの症状が何度も繰り返して起きますが、薬を使いながら後遺症なく普通の生活ができることも多いです。

10. 免疫の異常で皮膚や口に水ぶくれができる天疱瘡

天疱瘡(てんぽうそう)は、口の中、唇、全身の皮膚に水ぶくれができる病気です。主に40代から60代の人に起こります。

免疫の異常が原因で、自分自身の皮膚が攻撃されてしまいます。

天疱瘡の症状は?

皮膚がその下の組織から剥がれて浮き上がり、隙間に水がたまって水ぶくれになります。

天疱瘡の治し方は?

治療では異常な活動をしている免疫を抑える目的で、ステロイド薬の内服や点滴、免疫抑制薬などが使われます。

11. 免疫の異常とは?

ベーチェット病天疱瘡免疫が働きすぎる病気です。免疫は正常に働いていれば感染症から体を守ってくれます。しかし、免疫が働きすぎることで、自分自身の体が攻撃されてしまったり、さまざまな臓器に炎症が起こる病気の原因になります。アレルギーも免疫の異常の一種です。

免疫の異常が起こる原因は不明です。一部は遺伝的な要因も関係しています。食事や生活習慣は、ベーチェット病天疱瘡の原因にはなりません。また、食事や生活の改善によってこうした病気を予防したり治したりすることもできません。

12. 口内炎が治らないと病院に行くべき?

口内炎で病院に行く目安をまとめます。

  • 2週間以上口内炎が治らない
  • 同じ場所に何回も繰り返す
  • 体温が38℃以上ある
  • 皮膚に発疹や水ぶくれがある
  • 口の中に白いコケのようなものが広がっている
  • 口内炎の形や色がいつもと違う
  • 大きさが1cm以上

アフタ性口内炎以外の病気を見分ける上では、口の中以外の症状の有無が大切になってきます。例えば手足口病ヘルパンギーナベーチェット病天疱瘡では、発熱や皮膚の水ぶくれなど、口の中以外の症状が目立ちます。

一方で口腔がん白板症は、口の中以外に症状がなく、また一般的な口内炎と区別が難しいことが多いです。口内炎が2週間経っても治らないことが目安になります。

口内炎の病院は何科?

口内炎の診察は、歯科や口腔外科の病院・クリニックをお勧めします。

子供に口内炎があって熱や皮膚の症状もある場合は小児科がいいでしょう。

大人で皮膚に症状があるとき、皮膚の診察が得意なのは皮膚科です。

大人で発熱、腹痛、下痢など皮膚以外の症状もあれば、一般内科が全身の病気を調べてもらうのに適しています。

迷ったときはまず歯科か口腔外科に行けば、必要ならほかの診療科に紹介してもらえます。