[医師監修・作成]口内炎を早く治す治療法はあるのか:ステロイド、ビタミン剤、トラネキサム酸 | MEDLEY(メドレー)
こうないえん
口内炎
ほほの内側や歯ぐきなど、口の中やその周辺の粘膜に起こるできものの総称。
10人の医師がチェック 169回の改訂 最終更新: 2022.06.27

口内炎を早く治す治療法はあるのか:ステロイド、ビタミン剤、トラネキサム酸

口内炎の大部分を占めるアフタ性口内炎は治療をしなくても自然に治るのですが、早く治したいときには薬物治療やレーザー治療などが役立ちます。ここでは、主にアフタ性口内炎の治療について説明をします。

1. アフタ性口内炎に効果が期待できる処方薬

口内炎の原因として、疲労、ストレス、ビタミン不足などが考えられています。身体の不調によって炎症や痛みを引き起こす化学物質が増えて、口の粘膜がただれて口内炎ができやすくなると考えられています。

口内炎の治療薬として、炎症を抑えるステロイド外用薬(塗り薬など)、不足しがちなビタミンを補うビタミン剤が使われます。

ここでは受診したときに出される口内炎の主な処方薬(医療用医薬品)を紹介します。

ステロイドの塗り薬(商品名:ケナログ®、デキサルチン®、デスパなど)

口内炎にはステロイドを含む塗り薬が有効です。ステロイド薬だけを主成分とするケナログ®やデキサルチン®などがあります。これらは口の中だけではなく、口の周りにも使えます。ステロイドの抗炎症作用、抗アレルギー作用などにより、患部の炎症を抑えます。

デスパコーワ口腔用クリーム

ステロイド成分(ヒドロコルチゾン酢酸エステル)に加え、抗ヒスタミン薬のジフェンヒドラミン、殺菌・消毒作用が期待できるクロルヘキシジン塩酸塩とベンザルコニウム塩化物が配合されています。体内物質のヒスタミンは口内炎を引き起こす炎症物質でもあるので、抗ヒスタミン薬が配合されていることで、口内炎の改善効果がより期待できます。

ケナログ®デキサルチン®

ステロイドを含む塗り薬です。1日1回から数回患部に塗ります。ケナログ®は市販薬としても販売されています(例:ケナログA®口腔用軟膏)。セルフメディケーション(自分自身で健康の維持・増進、病気の予防・治療にあたること)にはこうした市販薬が貢献しています。

ステロイドの貼り薬(商品名:アフタシール®、アフタッチ®など)

アフタシール®はアフタッチ®は、名前に「アフタ」と入っているとおり、主に「アフタ性口内炎」に使われる薬です。ステロイド成分を含んでいます。たいていの口内炎はアフタ性口内炎なので、この薬が使えます。

シール状の貼り薬で、患部に直接貼り付けることで粘膜に密着して有効成分を放出し、抗炎症作用などをあらわします。塗り薬の場合は塗った後に口をゆすいだり、飲食することで薬が流れてしまう可能性がありますが、貼り薬は患部に貼り付いている間はある程度効果が続きます。

注意したいのは、剥がれてしまった貼り薬を飲み込まないことです。口の中からきちんと取り除きましょう。

口内炎用のステロイド塗り薬と同様、副作用は少ないとはされていますが、患部が感染しやすくなるなどには注意が必要です。

ステロイドの噴霧剤(商品名:サルコート®)

噴霧(ふんむ)というのはスプレーすることです。ステロイド成分(ベクロメタゾンプロピオン酸エステル)を含む粉末状の薬がカプセルに封入されています。カプセルを専用の小型噴霧器(パブライザー®)にセットして、患部に薬剤粉末をふりかけます。製薬会社がサルコート®の使い方を説明していますので、参考にしてください。

カプセル剤ですが、飲み薬ではないので、カプセルをそのまま飲み込まないようにしてください。

ケナログ®などの塗り薬で使われているステロイド成分と比べて、抗炎症作用が高い成分が使われています。通常、ひどい口内炎で粘膜がただれる症状(びらん)やえぐれる症状(潰瘍)があり、なかなか治らないときに使われます。

1個のカプセルで8回程度スプレーできます。

ステロイド成分を含むため、塗り薬や貼り薬と同様に、ふりかけた場所の感染症などが起こる可能性があり、注意が必要です。

ステロイドの副作用とは

「ステロイド」と聞くと副作用が気になるかもしれません。確かに注意が必要な副作用もあるのですが、口内炎に使うステロイド外用薬では、敏感な口の中でも安全に使えるように、比較的作用が弱いステロイド成分が使われています。

ステロイド内服薬(飲み薬)や注射剤で有効成分を全身に行き渡らせるときに比べれば薬の量も少なく、全身性の副作用が起こることはほぼ無いと言えます。ただ局所の副作用は全くないわけではなく、口腔内のしびれ感や味覚の変化などがあらわれることも考えられ、特にステロイドが免疫を抑える作用には注意が必要です。この作用によって、薬を塗った場所とその周囲が細菌ウイルスに感染しやすくなる可能性があります。

特にウイルスが原因で引き起こされる口唇ヘルペスなどは、一見すると普通のアフタ性口内炎と似ていますが、ヘルペスウイルスと戦ってくれるはずの免疫を抑えてしまい、かえって悪化してしまうことがあります。

ヘルペス性口内炎の治療についてはこちらの「口唇ヘルペスの治療」のページを参考にしてください。

また、ステロイド外用剤の副作用については、コラム「ステロイド外用剤の"副作用"って??」でも解説しています。

しばらくステロイドの塗り薬を使っても症状が改善しない場合や逆に悪化してしまう場合には、病院やクリニックに「薬が効きません」と相談してみてください

副作用に配慮して正しく使えば、ステロイド外用薬は高い効果が期待できる、有益な薬です。

ビタミン剤

口内炎ができる要因として、ビタミンB2やビタミンB6の不足もあります。

他にもいくつかのビタミンを組み合わせた「複合ビタミン製剤」があります。これらが症状に合わせて処方されます。

トラネキサム酸(商品名:トランサミン®など)

トラネキサム酸は主にプラスミンという体内物質を阻害することで効果をあらわす薬です。

プラスミンはビタミン不足や疲労などによって発生し、炎症や痛みを引き起こします。トラネキサム酸はプラスミンの増加を抑えることで口内炎の進行を抑えます。口内炎以外にも、扁桃炎咽頭炎の症状にも使われます。また、止血剤、肝斑(かんぱん、顔にできるしみ)の治療としても使われる成分です。

その他の飲み薬

通常は胃薬として使われているラフチジン(商品名:プロテカジン®など)やポラプレジンク(商品名:プロマック®)なども口内炎の改善に効果が期待できる薬とされています。また漢方薬が効果をあらわす場合もあります。一般的な口内炎にはもちろん、がん化学療法によって生じる口内炎の改善に半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)などの効果が解明されてきていて、実際に臨床の現場でも活用されています。

その他の外用薬

炎症を抑えるうがい薬(アズノール®うがい液など)も口内炎治療に使われています。特に痛みがあり食事もままならないような口内炎治療には、病院や薬局で調合する薬として、局所麻酔薬を含むうがい薬が使われる場合もあります。局所麻酔薬によって痛みを和らげる効果があります。

たとえば、アズノールの成分(アズレンスルホン酸ナトリウム)に局所麻酔薬(リドカインなど)、さらに粘膜の保護や乾燥を防ぐグリセリンといった成分を加えたうがい薬が使われます。「痛くて我慢できない」というときは一度、医師や薬剤師に相談してみるとよいでしょう。

市販薬の中にも局所麻酔薬が入った塗り薬(デンタルクリーム)があります。

2. 口内炎の痛みが強い場合のレーザー治療

歯科医院では口内炎のレーザー治療も行っています。口内炎にレーザーを当てて焼くことで痛みが軽くなることが分かっています。個人差はありますが、1日で口内炎の痛みがとれる人もいます。

気をつけなければいけないのは、保険が適用されず自費診療になることです。そのため、レーザー治療の費用は歯科医院によって異なります。目安としては、500円から3000円ほどです。口内炎の痛みが強くてレーザー治療を受けてみたい人は、歯科医院で相談してみてください。

3. 口内炎に使える市販薬には何があるか

口内炎は自然に治りますが、早く治したいときには、処方箋なしで買える市販薬(OTC医薬品)も選択肢の一つになります。

ステロイドを含んだ塗り薬や貼り薬

ステロイド薬には塗り薬や貼り薬があります。抗炎症作用があり、効果が期待できます。処方薬で使われるものと同成分の製剤として、ケナログ®(市販薬ではケナログA®口腔用軟膏などが該当)などがあり、市販薬と処方薬とが同じブランド名で発売されています。

ただし、同じブランド名を持つ薬でも市販薬と処方薬とで配合されている成分が異なる場合があるので注意が必要です。たとえば「デスパ」の名前を持つ処方薬「デスパコーワ口腔用クリーム」はステロイド成分を含む製剤ですが、市販薬の「新デスパコーワ」にはステロイド成分は含まれていません。一方で、貼り薬のアフタッチ®は市販薬でも同様のステロイド成分を含みアフタッチ®Aという名称で発売されています。

ただし、市販のステロイド薬を使い始めたあと数日経っても効果が感じられないとき、逆に悪化してしまうときは早めに病院・クリニックで相談しましょう。

ステロイド以外の成分を含む塗り薬

ステロイドではない抗炎症成分を含む薬には、「新デスパコーワ」などがあります。

ほかにもグリチルリチン酸(グリチルレチン酸)やアズレンスルホン酸ナトリウムなどの抗炎症成分を含む塗り薬が発売されています。例として「トラフル®軟膏」などがあります。

トラフル®シリーズには、ステロイド成分も含む塗り薬「トラフル®ダイレクトa」や、生活の中で不足がちになるビタミンを補うことで口内炎を治すビタミン成分を中心にした飲み薬「トラフル®BBチャージa」などもあります。

トラネキサム酸を含む薬

トラネキサム酸は口内炎を引き起こす原因となるプラスミンという体内物質を阻害することで、口内炎の症状改善が期待できます。処方薬にも含まれる成分です。

市販薬ではトラフル®シリーズのトラフル®錠ハレナース®などの成分としてトラネキサム酸が含まれています。これらにはトラネキサム酸の他、鎮痛・鎮痙作用などをあらわす生薬の甘草(カンゾウ)、口内炎の改善に効果が期待できるビタミンB2やB6などのビタミン成分が含まれています。

漢方薬や生薬成分を含む薬

口内炎には漢方薬も効果が期待できます。市販薬としても口内炎に効果がある漢方薬や生薬成分を配合した薬はあります。

半夏瀉心湯(ハンゲシャシントウ)、茵ちん蒿湯(インチンコウトウ)、黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)などの漢方薬は口内炎に対して効果が期待できます。

また生薬成分の紫根(シコン)は抗炎症作用などにより口内炎に効果が期待でき、同じく抗炎症作用が期待できるグリチルリチン酸を一緒にした製剤「口内炎パッチ大正A」なども販売されています。

漢方薬や生薬成分を含む薬は基本的に高い安全性を持ちますが、副作用が全くないというわけではありません。例えば生薬成分の甘草(カンゾウ)やその成分であるグリチルリチン酸の過剰摂取による偽アルドステロン症(偽性アルドステロン症)などには注意が必要です。特に甘草は多くの漢方製剤の成分として使われているため、薬剤師さんに成分や副作用を確かめたうえで使用するのがよいです。

ビタミン剤

口内炎に対して改善効果が期待できるビタミンB2やB6などを含むビタミン剤も市販薬として発売されています。

4. なかなか治らない口内炎は医療機関で相談を

口内炎の予防にはバランスの良い食事や睡眠時間の確保など、日常の生活改善が大事ですが、現代社会ではそうもいってはいられないこともあります。口内炎ができてしまったら、市販薬もうまく使うと日常生活への影響を小さくできます。

ただし、ほかに治療中の病気があるとき、飲み続けている薬があるときは、飲み合わせなどにも注意が必要になるため、市販薬を使う前に薬局薬剤師やかかりつけの医師に相談してください。ビタミン剤でもほかの薬の作用に影響することがあるので、都度確認するのが望ましいです。また市販薬を使ったうえで、期待した効果が感じられないとき、なかなか治らないとき、特に心配なことがあるときなどはためらわず病院・クリニックで診察を受けてください。