しきゅうたいじんえん
糸球体腎炎
腎臓の中でも血液のろ過を行っている糸球体に炎症がおきる病気
7人の医師がチェック 107回の改訂 最終更新: 2022.02.18

糸球体腎炎の基礎知識

POINT 糸球体腎炎とは

腎臓の中にある糸球体(血液をろ過する場所)に炎症が起こる病気の総称です。IgA腎症や急性糸球体腎炎、膜性増殖性糸球体腎炎、急速進行性糸球体腎炎などが含まれます。糸球体腎炎が起こると、身体のむくみやだるさ、血尿などが現れますが、症状の種類や程度はそれぞれの病気によって異なります。糸球体腎炎が疑われる場合には、尿検査や血液検査、画像検査(腹部超音検査、腹部CT検査)、腎生検などを行いタイプが調べられます。必要に応じて食事療法や薬物療法を行います。病気が見つかった後の経過は病気のタイプによって異なるので、一概にはいえません。最も経過がよいものはその後の生活にほとんど影響を及ぼさないこともある一方で、短期間で腎臓の機能が失われて透析治療が必要になることもあります。糸球体腎炎は身体のむくみや倦怠感などの原因の候補の1つです。内科や腎臓内科を受診して調べてもらってください。

糸球体腎炎について

  • 腎臓の中でも血液のろ過を行っている糸球体炎症が起きる病気の総称
  • 原因は急性と慢性と急速進行性に分類される
    • 急性
      • 感染性;主にA群溶連菌の感染した後に出現する
      • 薬剤性:薬の副作用として出現することがある
    • 慢性:1年以上蛋白尿血尿が続く状態
    • 急速進行性:原因不明の場合が多いが、免疫の異常が関与していると考えられている
      • 自己免疫性疾患

糸球体腎炎の症状

  • 見られやすい症状
    • 血尿
    • 蛋白尿
    • むくみ
    • だるさ
    • 高血圧
    • 微熱

糸球体腎炎の検査・診断

  • 尿検査:蛋白尿血尿の有無を調べる
  • 血液検査:炎症の程度を調べる
  • 画像検査:腎臓の大きさや形を調べる
    • 腹部超音波検査
    • 腹部CT検査
  • 組織診:炎症を起こしている原因を調べる
    • 腎臓の組織を取り出して顕微鏡で観察する

糸球体腎炎の治療法

  • 生活改善により悪化・再発を防ぐ
    • タンパク質、塩分を制限した食事(ただし小児では成長の面から厳しい制限は行わないことが多い)
    • 過労を避ける
    • 風邪の予防に努める
  • 薬物療法
    • 感染が原因の場合は、抗菌薬などで治療する
    • 降圧薬:腎臓の悪化を防ぐ
      • ACE阻害薬
      • ARB
      • カルシウムチャネル遮断薬
      • βブロッカー   など
    • 利尿薬:むくみをとる
    • ステロイド薬急速進行性糸球体腎炎に対して炎症を抑える
    • 免疫抑制薬:急速進行性糸球体腎炎に対して炎症を抑える
    • 抗血小板薬:慢性糸球体腎炎の進行に関わると考えられている
  • 末期腎不全の状態になると、透析治療が必要になる
    • 透析治療については「慢性腎不全」を参考

糸球体腎炎に関連する治療薬

ジピリダモール製剤(抗血小板薬)

  • 血小板凝集を抑え血栓を抑える作用や冠動脈を拡張させる作用をあらわし、血流を改善することにより心疾患や腎疾患などの症状を改善する薬
    • 血小板が凝集すると血液が固まりやすくなり血栓ができやすくなる
    • 体内には血小板凝集を促進する物質や血小板凝集を抑える物質がある
    • 本剤は血小板凝集を促進する物質の阻害、血小板凝集を抑える物質の合成促進作用などにより抗血小板作用をあらわす
    • 本剤には冠動脈を拡張させ心臓への血液循環を改善する作用もある
  • 尿タンパクを減少させる作用によりネフローゼ症候群などの腎疾患へ使用する場合もある
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糸球体腎炎が含まれる病気

糸球体腎炎のタグ

糸球体腎炎に関わるからだの部位