きゅうそくしんこうせいしきゅうたいじんえん
急速進行性糸球体腎炎
腎臓の中の糸球体に炎症が起き、数週間の経過で重篤な腎不全になる病気
5人の医師がチェック 122回の改訂 最終更新: 2022.02.11

急速進行性糸球体腎炎の基礎知識

POINT 急速進行性糸球体腎炎とは

腎臓に存在する糸球体という部位に激しい炎症が起こった状態です。病気の進行が早いことがあり、数週間で腎臓の機能が失われることがあります。顕微鏡的多発血管炎やウェゲナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデスなど急速糸球体腎炎を起こす病気はいくつか存在します。 腎臓は血液を濾過して尿を作り出しています。そして、腎臓の一部をなす糸球体(細い血管によって構成される器官)が濾過で重要な役割を果たしています。そのため、糸球体が壊れると、水分や老廃物を適切に体外に出せなくなり、尿量の減少や身体のむくみ、吐き気、倦怠感などさまざまな症状が現れます。前述の通り、急速進行性糸球体腎炎を起こす病気はいくつかあります。原因を調べるために、診察や検査が行われます。特に、腎臓に針を指して取り出して状態を顕微鏡で確認する腎生検の結果が重要です。原因となった病気によって、適した治療(ステロイド薬や免疫抑制薬など)が行なわれます。急速進行性糸球体腎炎は進行が速いのですみやかに治療を開始しなければなりません。疑いがあると言われた場合には速やかに腎臓内科を受診してください。

急速進行性糸球体腎炎について

急速進行性糸球体腎炎の症状

  • 原因によって様々な症状が現れる
  • 主な症状
  • 初期に現れやすい症状
    • 全身のだるさ
    • 体重減少
    • 発熱
    • 食欲不振
    • 尿量減少
    • むくみ
  • 進行すると現れることがある症状
    • 吐き気
    • 息苦しさ
    • 血痰
    • 血便
    • 皮膚の出血
    • 意識の低下
  • 数週間で急速に腎不全になる
  • これらの症状をもとに病院へ行き、すでに腎機能が悪くなり始めている段階で発見されることが多い
  • 早期発見が難しいことが多い

急速進行性糸球体腎炎の検査・診断

  • 問診
  • 身体診察
  • 尿検査:特に尿中に含まれるタンパク質と血液の量が重要
  • 血液検査:腎機能の状態を調べ、原因検索に役立てる
  • 画像検査:腎臓の形や炎症の有無を調べる
  • 超音波検査
  • CT検査
  • 腎生検:腎臓に針を刺して腎臓の一部を取り出す
  • 組織診:取り出した腎臓の組織を顕微鏡で調べる

急速進行性糸球体腎炎の治療法

  • 薬物療法:薬で炎症を抑える
    • ステロイド薬
      • 大量にステロイドを投与する方法(ステロイドパルス療法)を行うことがある
    • 免疫抑制薬:シクロフォスファミド、アザチオプリン、リツキシマブなど
    • ステロイド薬と免疫抑制薬は組み合わせて投与されることがある
  • 血漿交換療法(アフェレーシス):機械を使って、血漿という血液成分を入れ替える
    • ステロイド薬や免疫抑制薬と併用されることがある
  • 食事療法
    • 塩分とタンパク質を制限する
  • 腎機能障害が重度となった場合、何らかの形で老廃物を身体の外に出さなくてはならないので、腎代替療法(血液透析、腹膜透析、腎移植)が必要になる
  • 透析治療について詳しくは「慢性腎臓病」を参考
  • 病気の見通しは良くないことがあり、1年以内に慢性腎不全になることがある

急速進行性糸球体腎炎のタグ

急速進行性糸球体腎炎に関わるからだの部位