きゅうそくしんこうせいしきゅうたいじんえん
急速進行性糸球体腎炎
腎臓の中の糸球体に炎症が起き、数週間の経過で重篤な腎不全になる病気
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最終更新: 2022.02.11
急速進行性糸球体腎炎の基礎知識
POINT 急速進行性糸球体腎炎とは
腎臓に存在する糸球体という部位に激しい炎症が起こった状態です。病気の進行が早いことがあり、数週間で腎臓の機能が失われることがあります。顕微鏡的多発血管炎やウェゲナー肉芽腫症、全身性エリテマトーデスなど急速糸球体腎炎を起こす病気はいくつか存在します。 腎臓は血液を濾過して尿を作り出しています。そして、腎臓の一部をなす糸球体(細い血管によって構成される器官)が濾過で重要な役割を果たしています。そのため、糸球体が壊れると、水分や老廃物を適切に体外に出せなくなり、尿量の減少や身体のむくみ、吐き気、倦怠感などさまざまな症状が現れます。前述の通り、急速進行性糸球体腎炎を起こす病気はいくつかあります。原因を調べるために、診察や検査が行われます。特に、腎臓に針を指して取り出して状態を顕微鏡で確認する腎生検の結果が重要です。原因となった病気によって、適した治療(ステロイド薬や免疫抑制薬など)が行なわれます。急速進行性糸球体腎炎は進行が速いのですみやかに治療を開始しなければなりません。疑いがあると言われた場合には速やかに腎臓内科を受診してください。
急速進行性糸球体腎炎について
- 急性あるいは潜在性に
発症 する血尿 、蛋白尿 、貧血と急速に腎不全が進行する症候群(WHO) - 腎炎を示す尿
所見 と伴い数週から数ヶ月の経過で急速に腎不全が進行する症候群(厚生労働省) - 平たくいうと、腎臓の中の
糸球体 に炎症 が起き、数週間の経過で重篤な腎不全にいたる状態 - 原因は腎臓のみを障害するタイプ(
一次性 )と全身性疾患(全身に影響を及ぼす病気)や感染症 などにともなって腎臓を傷害するタイプ(二次性 )の2つに大別される - 一次性急速糸球体腎炎:腎臓のみを障害するタイプ
二次性急速糸球体腎炎:全身性疾患や感染症などにともなって腎臓を傷害するタイプ
- 全身性疾患
- 顕微鏡的多発血管炎
- 多発血管炎性
肉芽腫 (ウェゲナー肉芽腫) - 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(チャーグ・ストラウス症候群)
- IgA血管炎
- クリオグロブリン決勝
- その他の
壊死 性血管炎 - 悪性高血圧
血栓 性微小血管症- 関節リウマチ
悪性腫瘍 - 溶血性尿毒症症候群
- コレステロール塞栓症
- 感染症
- 溶連菌感染後糸球体腎炎
- MRSA感染関連糸球体腎炎
- 感染性心内膜炎、
シャント 腎炎 C型肝炎ウイルス 感染 など薬剤性
急速進行性糸球体腎炎は難病指定疾患であるので、状況に応じて医療費補助の申請が可能である
急速進行性糸球体腎炎の症状
急速進行性糸球体腎炎の検査・診断
問診 - 身体診察
- 尿検査:特に尿中に含まれるタンパク質と血液の量が重要
- 血液検査:
腎機能 の状態を調べ、原因検索に役立てる - 画像検査:腎臓の形や
炎症 の有無を調べる 超音波検査 CT 検査腎生検 :腎臓に針を刺して腎臓の一部を取り出す組織診 :取り出した腎臓の組織を顕微鏡で調べる
急速進行性糸球体腎炎の治療法
- 薬物療法:薬で
炎症 を抑えるステロイド薬 - 大量に
ステロイド を投与する方法(ステロイドパルス 療法)を行うことがある
- 大量に
免疫 抑制薬:シクロフォスファミド、アザチオプリン、リツキシマブなど- ステロイド薬と免疫抑制薬は組み合わせて投与されることがある
血漿交換 療法(アフェレーシス):機械を使って、血漿という血液成分を入れ替える- ステロイド薬や免疫抑制薬と併用されることがある
- 食事療法
- 塩分とタンパク質を制限する
腎機能 障害が重度となった場合、何らかの形で老廃物を身体の外に出さなくてはならないので、腎代替療法(血液透析 、腹膜透析 、腎移植)が必要になる- 透析治療について詳しくは「慢性腎臓病」を参考
- 病気の見通しは良くないことがあり、1年以内に慢性腎不全になることがある
急速進行性糸球体腎炎のタグ
急速進行性糸球体腎炎に関わるからだの部位

