2017.09.26 | ニュース

腎臓が悪い人は血圧をどれくらい下げるべき?

文献の調査から

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高血圧は長年のうちに腎臓の機能を失わせます。また、心筋梗塞や脳卒中などの命に関わる病気にもつながります。すでに慢性腎臓病がある人で血圧をより低く下げることの効果が検討されました。

慢性腎臓病患者の降圧目標

アメリカなどの研究班が、慢性腎臓病患者に対して血圧を下げる治療を強化した場合の死亡率について調べ、専門誌『JAMA Internal Medicine』に報告しました。

この研究は、文献の調査によりデータを集めて解析したものです。

慢性腎臓病は、さまざまな原因により腎臓の機能が低下している状態です。高血圧が慢性腎臓病の原因になる場合もあります。一般に、140/90mmHg以上が高血圧の基準とされますが、慢性腎臓病がある人ではさらに低く下げるべきとする意見もあります。対して血圧を下げすぎることの害も知られています。

この調査では、慢性腎臓病ステージがん等の進行の程度を示す言葉。がんの場合、大きさや広がり、リンパ節転移の有無、他の臓器への転移の有無などで決定され、治療方法に影響する3から5(eGFRが60未満)の患者を対象として、血圧の目標を変えて治療した場合の結果を比較した研究のデータを集めました。

 

132mmHgのほうが140mmHgより死亡が少ない

18件の研究から得られたデータが解析されました。参加者の人数は合計15,924人で、そのうち1,293人が研究期間に死亡していました。

研究開始時点で、対象者の収縮期血圧心臓が脈打つたびに、血管(動脈)は張ったり緩んだりを繰り返している。この張っている時の血圧。血圧が120/80であれば、120の部分に相当上の血圧心臓が脈打つたびに、血管(動脈)は張ったり緩んだりを繰り返している。この張っている時の血圧。血圧が120/80であれば、120の部分に相当)は平均148mmHgでした。

治療後の収縮期血圧は、血圧をより低く下げるグループでは132mmHg、それほど下げないグループでは140mmHgになっていました。

血圧をより低く下げるグループのほうが、全体としてわずかに死亡が少なくなっていました

研究班は結論の中で「利益を最大にして害を最小にする血圧の目標値を一定に決めるにはさらに研究が必要である」としています。

 

慢性腎臓病があったら血圧はどこまで下げればいいのか?

慢性腎臓病に対する高血圧治療についての報告を紹介しました。

この点は最近も議論があるところです。日本高血圧学会による『高血圧治療ガイドライン治療や検査の場面において、医療従事者や患者が、適切な判断や決断を下せるように支援する目的で体系的に作られた文章のこと2014』は、慢性腎臓病蛋白尿尿中にタンパク質が多く含まれること。病気による影響の場合と、正常な反応の場合があるがあるか、慢性腎臓病に加えて糖尿病がある人では130/80mmHg未満を目標に、慢性腎臓病があっても蛋白尿がない人では140/90mmHg未満を目標にすることを勧めています。

高血圧治療は多くの患者に関係します。最適な対応を目指して細かく場合分けした検証が続けられています。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Association Between More Intensive vs Less Intensive Blood Pressure Lowering and Risk of Mortality in Chronic Kidney Disease Stages 3 to 5: A Systematic Review and Meta-analysis.

JAMA Intern Med. 2017 Sep 5. [Epub ahead of print]

[PMID: 28873137]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。