2017.04.08 | ニュース

血圧を130mmHgまで下げて慢性腎臓病の進行は防げるのか?

文献の調査から
from JAMA internal medicine
血圧を130mmHgまで下げて慢性腎臓病の進行は防げるのか?の写真
(C) Andrey Popov - Fotolia.com

高血圧は慢性腎臓病につながります。慢性腎臓病は後戻りせず進行する一方ですが、高血圧を治療すると進行を遅くすることができます。さらに低く血圧を下げると効果が高まるかが、これまでの研究報告をもとに検討されました。

台湾の研究班が、糖尿病のない慢性腎臓病(CKD)患者に対して血圧を130/80mmHg未満まで下げる治療の効果について、文献の調査を行い、専門誌『JAMA Internal Medicine』に報告しました。

高血圧の診断基準は140/90mmHgです。高血圧患者の治療では多くの場合、140/90mmHgの基準値を下回ることが目標とされます。ここは130/80mmHgを目標としたときの効果を検討しています。過去に行われた研究の報告を集め、該当するデータをまとめました。

効果の指標として、慢性腎臓病の重症度に対応するGFR(糸球体濾過量)を基準と決めました。

腎臓は血液をフィルターしてきれいにする機能を持っています。GFRは腎臓が一定時間に処理できる量を表します。数値が大きいほうが健康です。慢性腎臓病では、GFRがしだいに減ってきます。つまり、腎臓のフィルター機能が少ししか働かなくなります。GFRが極端に減った状態を末期腎不全と呼びます。末期腎不全は定期的な透析などによって腎機能を補わなければ命に関わります。

高血圧を治療することは一般に慢性腎臓病の進行防止のために有効とされます。この調査では、さらに強力な降圧治療によって腎臓を守る効果が増すかどうかを調べています。

 

調査の結果、基準に当てはまる9件の研究が見つかりました。対象者の半数が3.3年以上追跡治療されていました。140/90mmHgを目標としたときと、130/80mmHgを目標としたときを比べると、次の結果が得られました。

  • GFRの年間変化量には差がない
  • 末期腎不全に至る割合には差がない
  • 全体としての死亡率には差がない

これらの結果から、研究班は「糖尿病のない慢性腎臓病患者を3.3年間追跡治療した期間において、血圧の目標を現在の標準よりも低くしても、標準的な治療に比べて腎臓関連の結果に利益が加わることはなかった」と結論しています。

 

過去の文献の調査により、糖尿病のない慢性腎臓病患者が130/80mmHgを目標に血圧を下げても効果の増強は見られなかったとする報告を紹介しました。

ただし、違う意見として、対象者をさらに細かく分類すれば有効な人もいるとする立場があります。たとえば日本腎臓学会による『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン』(2013年版)は「糖尿病合併 CKD の降圧目標は,[...] A2,A3 区分では,より低値の 130/80 mmHg 未満を目指すことを推奨する.」としています。

上に紹介した研究は「A2,A3 区分」に当てはまる人も当てはまらない人も一緒に扱っています。当てはまらない人に対しては改めて130/80mmHgの目標を支持しないという結果が得られたと言えるでしょう。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Association of Intensive Blood Pressure Control and Kidney Disease Progression in Nondiabetic Patients With Chronic Kidney Disease: A Systematic Review and Meta-analysis.

JAMA Intern Med. 2017 Mar 13. [Epub ahead of print]

[PMID: 28288249]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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