はいえん
肺炎
細菌やウイルスの感染、薬剤、アレルギーの影響などが原因となって、肺の炎症により息切れなどを起こす。子どもや高齢者では入院になりやすい
17人の医師がチェック 190回の改訂 最終更新: 2020.07.20

肺炎の種類はどんなものがある?マイコプラズマ、肺炎球菌を中心に解説

肺炎の原因となる微生物は無数にあります。原因によって肺炎の特徴は少しずつ違います。特に肺炎を起こしやすい微生物と、それぞれの特徴を説明します。どの場合も息苦しさが強いときは急いで病院に行ってください。

なお、このページでは病院外で一般的な生活をしている人の肺炎を取り上げます。

入院中に起こる肺炎は、病院外で起こる肺炎とはかなり違います。原因となる微生物も、重症度も違います。入院中に起こる肺炎は特殊な細菌が原因となることも多く、治療はケースバイケースになります。

1. 肺炎を起こしやすい微生物

肺炎の原因にはいろいろな微生物が関わります。大きく分けると以下のものとなります。

  • 細菌性肺炎
  • 非定型肺炎
  • ウイルス性肺炎

それぞれに特徴的な症状があり治療法も異なってきますので、原因微生物ごとに説明していきます。

肺炎を起こしやすい微生物として、以下の6種類の細菌がよく知られています。

  1. 細菌性肺炎を起こす細菌
    1. 肺炎球菌
    2. インフルエンザ桿菌
    3. モラクセラ・カタラーリス
  2. 非定型肺炎(異型肺炎)を起こす細菌
    1. マイコプラズマ
    2. クラミドフィラ
    3. レジオネラ

中でも肺炎の原因となる頻度が最も高いのが肺炎球菌です。また、マイコプラズマも子供や若い人によく肺炎を起こします。

2. 細菌性肺炎の種類と特徴

細菌性肺炎の原因としてよく見つかる細菌は、肺炎球菌インフルエンザ桿菌モラクセラ・カタラーリスです。いずれも抗菌薬抗生物質、抗生剤)が効きます。

肺炎球菌とは?

肺炎球菌は肺炎の原因になることが最も多い微生物です。肺炎になった人のおおよそ3割弱において、肺炎球菌が原因であると報告されています。

しかも、検査で見つからなかった場合も隠れていると考えられます。肺炎球菌はなかなか培養検査でわかりにくい細菌です。見つからなかった場合も含めれば、おそらくもっと多い割合で肺炎球菌が原因だと考えられます。

肺炎球菌性肺炎の症状は?

肺炎球菌による肺炎の特徴は重症になりやすいことです。主な症状は次のものです。

  • 発熱
    • 痰にさびた鉄のような色がつくことがあります。
  • 息苦しさ

肺炎球菌性肺炎では、レントゲンCTの画像にも特徴があります。肺の広範囲が炎症に冒されるため、画像検査では肺の広範囲に白い影ができます。

肺炎球菌は子供には肺以外の中耳炎や髄膜炎を起こす

子供に肺炎球菌が感染すると、中耳炎髄膜炎(ずいまくえん)を起こすことがあります。特に髄膜炎は非常に危険です。脳の周りは髄液という液体で満たされています。髄液が通る道を囲っている膜が髄膜です。髄膜に炎症が起こるのが髄膜炎です。髄膜炎は脳に影響することがあり、非常に危険な状態です。素早く治療しないと脳に後遺症が残る場合があります。

細菌性髄膜炎の特徴は以下のものです。

  • 高熱
  • ひどい頭痛がある
  • 首を動かすと痛む
  • 首が硬くなって動かせない
  • 意識もうろうとしてしまう
  • ぐったりとしてしまう
  • 症状が1日以内に急速に進む
  •  

こういった症状が出た場合は必ず医療機関にかかって下さい。大人では肺炎球菌による中耳炎髄膜炎はあまり起こりません。

肺炎球菌性肺炎の治療

抗生物質の歴史は、第2次世界大戦中に青カビからペニシリンが発見されたことから飛躍的な発展を遂げています。その後たくさんの抗生物質が開発されていきますが、肺炎球菌の感染症ではいまだにペニシリンが最も効果的な抗生物質です。

抗生物質は、使えば使うほどそれに耐性を持った菌が出てくる傾向にあります。しかし、幸いにもペニシリンの効かない肺炎球菌はほとんど見られていません。

肺炎球菌にはペニシリン系抗菌薬が非常によく効きます。薬を使えば1-2日で熱も下がってきます。使われる薬の例を挙げます。

  • 飲み薬
    • アモキシシリン(商品名サワシリン®、アモキシシリン®など)
  • 点滴薬
    • アンピシリン・クロキサシリン合剤(商品名ビクシリン®)
    • ベンジルペニシリン(商品名ペニシリンG®)

治療する期間は7日間が目安になります。

肺炎球菌感染症の予防

肺炎球菌には予防接種(ワクチン)があります。ニューモバックス®とプレベナー®という2種類のワクチンがあります。このワクチンを打つことで肺炎球菌による感染症にかかりにくくなることがわかっています。

2014年から65歳以上の人に対して肺炎球菌ワクチンが定期接種になりました。また、もともと免疫が弱い背景のある人、肺や心臓に持病のあるような人は自主的に予防接種をしたほうが良いでしょう。

また、子どもに多い肺炎球菌による髄膜炎のような重症感染症も予防できることがわかっています。子どもに対する肺炎球菌ワクチンの予防接種は重要な役割を果たします。

肺炎球菌の予防接種について詳しくは「肺炎は予防できるの?予防接種:肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチン」の項で説明しています。

インフルエンザ桿菌とは

インフルエンザウイルスと似た名前ですが、似て非なる微生物です。昔、インフルエンザウイルスに感染した患者の身体からこの菌が発見されたときに、インフルエンザの原因と間違われたためインフルエンザ桿菌という名前がついたと言われています。

桿菌(かんきん)というのは「サオのような形の菌」という意味です。顕微鏡で見ると細長い形が見えます。

インフルエンザ桿菌は、5歳以下の子ども、肺や心臓に持病(肺気腫肺がん、喫煙、心不全など)のある人の肺炎の原因になりやすいことがわかっています。特に小さな子どものインフルエンザ桿菌の感染では、髄膜炎や菌血症といった重症の感染症になりやすいこともわかっています。

インフルエンザ桿菌による肺炎の症状

発熱・せき・たん・息苦しさがメインの症状になります。もともと肺の機能が落ちている人に感染した場合は、症状は非常に強くなり、入院治療が必要になります。

インフルエンザ桿菌による肺炎の治療

インフルエンザ桿菌はペニシリン系抗菌薬が効きにくいことが多いです。治療には次のような抗菌薬を使います。

  • 飲み薬
    • アモキシシリン・クラブラン酸合剤
      • 商品名オーグメンチン®、クラバモックス®
      • アモキシシリンはペニシリン系抗菌薬です。クラブラン酸はペニシリンを効きやすくする添加物です。
    • アジスロマイシン
      • 商品名ジスロマック®など
      • マクロライド系抗菌薬です。ペニシリンとは違うタイプの薬です。
    • ST合剤
      • 商品名バクタ®など
      • ペニシリンとは違うタイプの抗菌薬です。
  • 点滴の薬
    • 重症のときに使います。入院が必要です。
    • セフトリアキソン
      • 商品名ロセフィン®など
    • スルバクタム・アンピシリン合剤
      • 商品名スルバシリン®

治療は7日間が目安になります。

インフルエンザ桿菌感染症の予防

インフルエンザ桿菌の一種であるHib(ヒブ)の感染はヒブワクチンで予防できます。ヒブワクチンは、日本では2013年から定期接種となっています。

以前は、インフルエンザ桿菌が起こす、死亡率の高い髄膜炎や菌血症が大きな問題となっていました。年間およそ600人が、インフルエンザ桿菌による細菌性髄膜炎にかかっていました。特に小さな子どもが犠牲になっていました。

ヒブワクチンのおかげで、今はそのおおよそ99%を予防できています

モラクセラ・カタラーリスとは

モラクセラ(モラキセラ)・カタラーリスは細菌の一種です。モラクセラ・カタラーリスによる肺炎は、肺にもともと持病(喘息肺気腫肺がんなど)のある人に多いです。

モラクセラ・カタラーリス肺炎の症状

発熱・せき・たん・息苦しさがメインの症状になります。もともと肺の機能が落ちている人に感染した場合は、症状は非常に強くなり、入院治療が必要になることが多くなります。

モラクセラ・カタラーリス肺炎の治療

モラクセラ・カタラーリスにはペニシリン系抗菌薬は通用しません。以下のような薬を使います。

  • 飲み薬
    • アモキシシリン・クラブラン酸合剤
      • 商品名オーグメンチン®、クラバモックス®
      • アモキシシリンはペニシリン系抗菌薬です。クラブラン酸はペニシリンを効きやすくする添加物です。
    • アジスロマイシン
      • 商品名ジスロマック®など
      • マクロライド系抗菌薬です。ペニシリンとは違うタイプの薬です。
    • ST合剤
      • 商品名バクタ®など
      • ペニシリンとは違うタイプの抗菌薬です。
  • 点滴の薬
    • 重症のときに使います。入院が必要です。
    • セフトリアキソン
      • 商品名ロセフィン®など
    • スルバクタム・アンピシリン合剤
      • 商品名スルバシリン®

治療は7日間が目安になります。

3. 非定型肺炎の種類と特徴

非定型肺炎とは、細菌性肺炎とは違った特徴があるという意味です。通常の細菌性肺炎に対して使われる、ペニシリン系抗菌薬やセフェム系抗菌薬が効かないのが特徴です。

原因になることが多い微生物は、マイコプラズマクラミドフィラレジオネラです。いずれも細菌ですが、特殊なタイプの細菌です。

マイコプラズマ肺炎

マイコプラズマ肺炎は20歳以下の若い人に多いです。しかし、それ以外の年齢の人でも感染します。若いからマイコプラズマ肺炎だと決めることも、逆に年配だからマイコプラズマ肺炎ではないと決めることもできません。

マイコプラズマ肺炎の症状

マイコプラズマに感染して症状が出るまでの潜伏期間は2-3週間と考えられています。発熱、頭痛、身体のだるさが主な症状で、それから3-5日して咳が出現します。咳は段々と強くなり、4週間は続きます。

その他の症状としてが、胸の痛み・のどの痛み・声がれ・耳の痛み・吐き気・下痢・皮疹などが見られます。大人の場合はあまり見られませんが、小さい子供では鼻水やたんが出ることあります。

小さい子どもがマイコプラズマ肺炎になると喘息のようにひゅーひゅーいうことがあります。このひゅーひゅーが喘息のサインということがありますので、ヒューヒュー行った場合は医療機関にかかって下さい。
また、お母さんはマイコプラズマ肺炎が治った後も、ひゅーひゅーいってないか、苦しそうにしていないかをしばらく観察してあげて下さい。

マイコプラズマ肺炎の治療

マイコプラズマ肺炎はマクロライド系抗菌薬(ジスロマック®、クラリス®、エリスロシン®など)を使って治療します。

しかし、最近はマクロライド系抗菌薬の効かないマイコプラズマが多くなってきています。その場合はテトラサイクリン系抗菌薬(ミノマイシン®、ビブラマイシン®など)やニューキノロン系抗菌薬(クラビット®、シプロキサン®など)を使って治療します。

ただし、テトラサイクリン系は6歳未満の子どもが飲むと歯が黄色くなることがあると言われていますので、6歳以上になるまでは避けたほうが良い薬かもしれません。

治療期間に一定の見解はありませんが、1-2週間抗菌薬を飲むことが目安になります。

さらに詳しくは「子供に多いマイコプラズマ肺炎とは?治療期間は抗生剤で1~2週間」で説明しています。

クラミドフィラ肺炎

クラミドフィラ肺炎(クラミジア肺炎)の原因微生物は性病のクラミジアの原因微生物と近い種類の菌になります。クラミドフィラ肺炎を起こすのはクラミドフィラ・ニューモニエです。性病を起こすクラミジアはクラミジア・トラコマチスと言います。どちらもクラミジア科に分類されます。

しかし、クラミドフィラ肺炎は性病ではありません。クラミドフィラ肺炎は性行為をしなくてもうつります。

クラミドフィラは、せきやくしゃみすると周囲に飛んでいきますので、予防にはマスクを着用する咳エチケットが必要になります。

クラミドフィラ肺炎の症状

数週間から数ヶ月続く根強いせきが特徴です。たんは目立たないことが多いです。いずれも症状は軽くすむことが多いです。

クラミドフィラ肺炎の治療

マクロライド系抗菌薬(ジスロマック®、クラリス®、エリスロシン®など)やテトラサイクリン系抗菌薬(ミノマイシン®、ビブラマイシン®など)やニューキノロン系抗菌薬(クラビット®、シプロキサン®など)を使って治療します。

治療期間に一定の見解はありませんが、1-2週間抗菌薬を飲むことが目安になります。

レジオネラ肺炎

レジオネラは、ヒトからヒトへの感染は起こしませんが、水を介してヒトへと感染します。そのため、温泉やサウナや加湿器などの水回りで集団感染を起こします。また、病院でも集団感染が起こることが問題になっています。

高齢者・透析している人・アルコール依存のある人・喫煙者・肺気腫COPD)のある人が感染しやすいことがわかっています。

レジオネラ肺炎の症状

発熱や頭痛や筋肉痛、せきが出現します。せきが長く続くと時間とともにたんが増えてくることが多いです。血痰や胸の痛みが出現することもあります。

レジオネラ肺炎の治療

治療には、ニューキノロン系抗菌薬(クラビット®、シプロキサン®など)やマクロライド系抗菌薬(ジスロマック®、クラリス®、エリスロシン®など)を用います。

通常は2週間の抗菌薬を使用しますが、重症の場合は3週間ほど抗菌薬を使うことがあります。

4. ウイルス性肺炎の種類と特徴

ウイルスによる肺炎で多いのは、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルスです。

インフルエンザウイルスによる肺炎

インフルエンザウイルスは風邪の症状を起こします。つまり普通のインフルエンザです。それがひどくなると肺炎になります。

また、インフルエンザウイルスに荒らされた空気の通り道(気管支肺胞)に別の細菌が入り込み、細菌性肺炎が遅れて起こる場合があります。これを二次感染といいます。

インフルエンザウイルス肺炎の症状

インフルエンザは通常であれば数日で解熱するのですが、4日から5日経っても解熱しない場合は肺炎を疑います。

また、インフルエンザウイルス感染が治まったあとに熱や息苦しさが出てきた場合は、二次感染が起こった可能性が高いです。この場合は治療しないで治ることは少ないので、医療機関にかかるようにして下さい。

インフルエンザウイルス肺炎の治療

インフルエンザウイルス肺炎の治療は、通常のインフルエンザと同じように行います。ただし、インフルエンザウイルスは症状が出てから48時間以内に治療を開始しないと効果が期待できません。なかなか自分自身の感覚だけで肺炎があるのかどうかを判断することは難しいですから、体調がおかしいなと思ったら早めに受診すると良いでしょう。

インフルエンザウイルス感染が治ったあとに息苦しさが出てきた場合(二次感染)は、適切な抗菌薬を使わないとあっという間に状態が悪くなることがあります。くれぐれも無理はせずに、必ず医療機関にかかるようにして下さい。

インフルエンザウイルス感染は予防できる

インフルエンザウイルスには予防接種があります。インフルエンザの予防接種は毎年打つ必要はありますが、これを打つことでインフルエンザウイルスに感染しにくくなりますので是非打つようにして下さい。

麻疹ウイルス

麻疹ウイルスは、その名の通り麻疹はしか)を起こすウイルスです。現在は麻疹ウイルスに対してワクチンを定期接種していますので、感染者の数は多くないです。

麻疹には激しい発熱皮膚の赤い発疹などの症状があります。

さらに、麻疹ウイルスは肺炎を起こすことがあります。これはウイルスが肺を冒すというよりはウイルスの増殖にともなう免疫反応・炎症反応の影響が肺に及ぶことで肺炎が起こると考えられています。

麻疹ウイルス肺炎の症状

麻疹ウイルス肺炎が起こると広範囲の肺が冒されます。そのため、息苦しさや発熱が出現します。

麻疹ウイルス肺炎の治療

麻疹ウイルスに有効な治療薬はありません。そのため、しんどい症状を緩和するような治療を行うことになります。

麻疹ウイルス感染は予防できる

麻疹ウイルスには予防接種があります。麻疹ワクチンは1回目を1歳のときに打ち、2回目を5歳か6歳のときに打つように決められています。

麻疹ワクチンは国が打つように決めている定期接種です。万が一何らかの事情で予防接種を打てなかった場合は、必ず医療機関や保健所に相談して打つようにしてください。

5. いろいろな種類の肺炎にどうやって対処する?

さて、いろいろな種類の肺炎を見てきましたが、それらの症状は様々です。診断するには診察や検査してもらわないと難しいです。

そのため、本人や家族は咳や痰が多いのか息苦しさは強いのかに注意するようにして下さい。特に息苦しさがある場合は医療機関にかかるようにして下さい。