高齢者に限った統計では肺炎は癌などを抑え死因の第1位です。高齢者で多いのは誤嚥性肺炎という肺炎です。誤嚥とは、体力の低下などで飲みこみの機能が低下することで、食物や細菌を多く含んだ唾液などが気管や肺に入って行く現象のことです。体力低下の終末像においては誤嚥性肺炎のリスクが常にあると言えます。
そのような場合に口から食べられないが故に胃瘻(経管栄養)や中心静脈栄養(カロリーの高い特殊な点滴)により栄養摂取が選択肢となりえますが、ほぼ寝たきりで自分の意向をはっきり伝えられないような場合、それらを行うことについては倫理的な議論があります。患者本人の希望が明確でない場合、ともすれば本人の尊厳を無視した延命処置ともいえる医療行為となってしまうからです。
人間誰しもいつかは体力が低下し食べられなくなります。つまりは老衰です。こう書いている私もしかりです。そのような場合に胃瘻などの処置を行うのか、各々が少し考えておくべきことなのかもしれません。