はいえん
肺炎
細菌やウイルスの感染、薬剤、アレルギーなどが原因となって、肺の炎症により息切れなどを起こす病気
17人の医師がチェック 201回の改訂 最終更新: 2023.05.24

大人の肺炎には特徴はあるの?肺炎球菌性肺炎など

 

大人の肺炎にはどういった特徴があるでしょうか?考えていきましょう。

 

1. 大人の肺炎に多い微生物

 

大人の肺炎では肺炎球菌性肺炎が多いです。それ以外にも、インフルエンザ桿菌マイコプラズマによる肺炎も多くなります。

原因となることの多い細菌を並べると以下になります。

 

  1. 肺炎球菌
  2. インフルエンザ桿菌
  3. モラクセラ・カタラーリス
  4. マイコプラズマ
  5. クラミドフィラ
  6. レジオネラ

 

この原因微生物も年齢によって割合が変わってきますので、年齢別に詳しく見ていきましょう。

 

15−44歳

  1. マイコプラズマ
  2. 肺炎球菌
  3. インフルエンザウイルス

45−64歳

  1. 肺炎球菌
  2. マイコプラズマ
  3. 複数微生物の関与(例:インフルエンザウイルス感染後に肺炎球菌性肺炎)

65歳以上

  1. 肺炎球菌
  2. インフルエンザウイルス
  3. 複数微生物の関与(例:インフルエンザウイルス感染後に肺炎球菌性肺炎)

 

また、75歳以上では原因微生物が多岐にわたるようになっていますので、高齢者の肺炎は原因微生物を簡単には判断できないことになります。

 

これらは各々で治療法も変わってきますので、どういった症状であれば細菌性肺炎が疑わしいといったようなものを知っておくとよいかもしれません。

細菌性肺炎は自然になることの少ない肺炎ですので、今ある症状は我慢して良い症状なのかダメな症状なのかを考えるときの参考になります。

 

2. 大人の肺炎に多い症状

 

上に挙げた大人に多い肺炎の原因微生物は大きく分けると、細菌性肺炎と非定型肺炎になります。

細菌性肺炎は肺炎球菌・インフルエンザ桿菌・モラクセラ・カタラーリスになり、非定型肺炎はマイコプラズマ・クラミドフィラ・レジオネラになります。

 

細菌性肺炎と非定型肺炎では症状が変わってきます。どういった違いがあるのか述べていきます。

 

細菌性肺炎

細菌性肺炎は、肺炎球菌、インフルエンザ桿菌、モラクセラ・カタラーリス、クレブシエラ・ニューモニエなどの細菌が起こした肺炎のことを指します。

症状が強く出ることが多く、発熱、だるさ、息苦しさ、せき、たんといった症状が出てきます。

 

非定型肺炎

非定型肺炎は、マイコプラズマ、クラミドフィラ、レジオネラによる肺炎のことを指します。

非定型肺炎は、せきが非常に強い半面あまり体調が悪くならないことが特徴的です。しかし、マイコプラズマ肺炎やレジオネラ肺炎ではときに重症になることがありますので、特に息苦しさが出てきた場合は必ず医療機関にかかって下さい。「子供に多いマイコプラズマ肺炎とは?治療期間は抗生剤で1~2週間」でも詳しく説明しています。

 

この2つの肺炎は症状だけで判断できない場合も多いですが、案外症状だけで見分けることもできます。

以下に症状の違いを表に並べます。

 

表 細菌性肺炎と非定型肺炎の症状の違い

 

細菌性肺炎

非定型肺炎

年齢

60歳以上に多い

60歳未満に多い

せき

出る

非常に強い

たん

色のついたものが出る

あまり出ない

肺の持病

肺に持病のある人に多い

肺に持病のない人に多い

身体のしんどさ

非常に強い

あまり強くない

息苦しさ

目立つ

喘息肺気腫がある場合は
息苦しさが出る

 

この表の細菌性肺炎の症状が出ている場合は、医療機関にかかるようにして下さい。

 

3. 大人の肺炎で気をつけるべき背景

大人の肺炎では背景が複雑な場合があります。

複雑な背景とは、肺や心臓に持病のある人が特にこれにあたります。

 


特にこのような病気が肺にある場合は、肺炎が重症になったり長引いたりします。「風邪なのかな?」「ひょっとして肺炎なのかな?」と迷った際は医療機関にかかるようにして下さい。