発熱したあとに根強いせきが出てきた
目次
発熱してせきやたんといった症状が出てきた時に、多くの人は風邪を引いたのかなと考えるでしょう。肺炎は風邪と同じような症状が出ることもあり、特にかかりはじめの肺炎と風邪を見分けることは簡単ではありません。それでは小学校に通う10歳の男の子の例を見ながら、肺炎について考えていきましょう。
1. いつも元気にサッカーをする活発な男の子が熱を出した
小学校4年生の陸くんは、週に3回(火木土)のサッカー教室で練習することを楽しみにしています。
月曜日の今日は、明日からまたサッカーができるといつものようにワクワクして来ました。そんな矢先、給食の時間に食べたときに「あれ変だな。」と陸くんは思いました。喉がちょっとだけ痛いのを感じたのです。
その夜、テレビを見ながらボーッとしてしまうので、「なんだか疲れているのかな〜。」と感じたので、陸くんはいつもより早く寝ました。ところが、その夜に身体がだるくて寝苦しくなったため起きてしまいした。
「お母さん、しんどいよ。」とお母さんを起こすと、お母さんは「熱をはかってみましょう。」と言いました。
体温計がピピっと鳴ると、なんと38.3度を示しています。
お母さんは、「陸、今日はゆっくり休みなさい。風邪引いたのかしらね。」と言いました。大好きなサッカーに行けなくなるのは嫌なので、陸くんはすぐに布団に入って目を閉じました。
翌日になると、昨日感じた喉の違和感は明らかな痛みに変わっていました。体温をはかってみると38.1度でした。
「今日は学校休むかい?」といわれた陸くんは、学校というよりはサッカー教室を休みたくなかったので「大丈夫。そんなにしんどくないし行ってくるよ。」と言いました。
午後になって、陸くんはフラフラになってしまいました。
先生に「今日は帰りなさい。」と言われて早退した陸くんは、お母さんに連れられて近所のお医者さんのところに行きました。
ポイント1:喉の違和感や痛み+発熱という症状には多くの原因が考えられる
喉に違和感を感じてしばらくしてから熱が出てきたという経験に思い当たる人も多いでしょう。多くの場合は風邪が原因ですが、まれに風邪ではないことがあります。
風邪以外にどんな病気がありえるのでしょうか?
この他にも様々な病気が考えられるため挙げればきりがないのですが、のどの痛みと発熱以外に症状がない場合は風邪とは言い切れないことになります。
ではどんな症状がさらに出てくれば風邪が疑わしくなるのでしょうか?
ポイント2:のどの痛みや発熱に鼻水や目やにが加われば風邪が強く疑われる
鼻水や目やにはウイルスによる感染の時に出やすい症状です。これらがのどの痛みや発熱に加えて出現すれば、風邪を筆頭としたウイルスの感染を強く疑います。
上のリストで考えるとヘルパンギーナやプール熱も疑わしいですが、それぞれに特徴的な症状があるので、症状と照らしあわせて判断できます。(ヘルパンギーナやプール熱の特徴を手足口病の詳細情報の項に書いていますので参考にして下さい。)
2. 近くのお医者さんに診てもらったが...
近くの医院にかかってみると、陸くんの症状を見たお医者さんは「風邪にしては、あんまり鼻水も目やにもないねえ。周りで喉を痛がったり咳をしていたりする子はいるかい?」と聞きました。
そういえば友達の何人かがこんこんしていたことを思い出した陸くんは、「何人かいるよ。」と言いました。
すると、お医者さんは「咳はしないかい?」と聞きましたが、陸くんは咳はしていませんでした。
陸くんたちは「少し気になるとこはありますが、風邪と思います。周りにうつすのでマスクしていてくださいね。学校はしばらくお休みです。」「ひどくなったらまた来てね。」と言われて、風邪薬をもらって帰りました。
風邪薬を飲んで早く治してサッカーするんだと意気込んでいましたが、その夜に突然非常に強い咳が出てきました。一旦咳が出ると、息ができなくなるくらい苦しくなってしまいました。
なんとか薬を飲んで朝まで頑張った陸くんは、昨日行ったお医者さんにかかりました。
「夜からひどい咳が出てきて辛かった。」と言うと「胸の音はちょっとヒューヒュー言ってるね。ひどい咳が出てきたしマイコプラズマ肺炎かな。」とお医者さんは言いました。
ポイント1:発熱してからしばらくしてせきが出てくることがある
マイコプラズマ肺炎にかぎらず、肺炎では発熱・せき・たんといった症状は一度に出てこないことも多いです。非典型肺炎と呼ばれるマイコプラズマ肺炎やクラミドフィラ肺炎などでは根強い咳が特徴になりますが、熱などの症状が出だしたときにはまだ咳がないことも少なくないです。そのため、症状が変化しているのかどうかをみるようにしましょう。
以下に肺炎や風邪を疑われたときの注意すべき症状の例を書きます。
-
喉が痛くなってきた
-
たんが出るようになった
-
たんの色が変わった
-
せきが強くなった
-
胸がヒューヒューいうようになった
-
首の
リンパ節 が腫れてきた
こういった身体の変化などに注目すると状況がよくわかってきます。
また、周囲に同じ症状の人がいる場合は参考になります。その人の症状がどう変化していくのかも併せて見るようにしましょう。
ポイント2:風邪や肺炎は周囲にうつしてしまう
風邪や肺炎は周囲にうつしてしまいます。その感染力は原因となっている微生物によるので一概にはいえませんが、どんな風邪でも肺炎でも周囲からうつされることを心配する必要があります。
風邪や肺炎を周囲からもらわないポイントは以下のとおりです。
-
せきをしている人に会う前後に手洗いうがいを行う
-
せきをしている人に会う場合はマスクを着用する
-
せきをしている人にもマスクをしてもらう
単純な作業ですが、これを徹底することで周囲にうつしたりもらったりするのを防げるので非常に重要です。
マイコプラズマ肺炎は、感染してから症状が出るまでの期間(
3. 早くマイコプラズマ肺炎を治したい陸くんにお医者さんが言った言葉は?
マイコプラズマ肺炎と言われた陸くんは、病気のことはよくわからないけれど早く治したい気持ちを伝えました。
するとお医者さんは「熱はあと数日で下がってくるんじゃないかなあ。でもせきはしばらく続くよ。たぶん1ヶ月位は続くかもしれないかな。」「そうそう、ヒューヒューが続いたらまた来てね。多分大丈夫とは思うけれど喘息のチェックをしなくちゃね。それとこれからは手洗いとうがいは毎日きちんとやるようにね。」と言いました。
良くなるように薬(抗生剤)をもらった陸くんは、早くサッカーをしたい一心で薬を飲みました。
ポイント1:マイコプラズマ肺炎の症状は落ち着いてもせきだけは長く残る
マイコプラズマの症状が落ち着いても、せきは非常に長く残ります。これはきちんと治療してもどうしても残ってしまいます。
空気の通り道(気道)がマイコプラズマ肺炎によって大きなダメージを与えられてしまうことで、どうしてもせきが出やすくなってしまいます。もう体内で感染が起こってなくても、この状態が数週間から長いと数カ月続くことがあります。
また、案外多いのが、マイコプラズマ肺炎のあとに喘息が始まってしまうことです。他の症状は楽になっているのに、あまりに咳が続いたり息苦しさが続いたりする場合は、一度医療機関にかかるようにして下さい。
ポイント2:マイコプラズマ肺炎の治療として抗生物質を1-2週間飲むことが多い
マイコプラズマ肺炎の治療期間はこれといった決まった見解はありませんが、1-2週間飲むことがよいと考えられています。もちろん抗生剤以外の症状を抑える薬は、症状があるかぎり飲み続けることはできますが、
マイコプラズマ肺炎と診断された場合は、お医者さんにどのくらいの期間
4. 抗生剤を飲んでゆっくり休んだ結果元気になった
お医者さんの言うとおり2日後には熱が治まった陸くんは、きちんと2週間分の抗生剤を飲み続けました。
ちょうど抗生剤を飲みきったときには、もうほとんどせきも出なくなっておりサッカーもできるようになりました。
2週間もサッカーを休んでしまった陸くんは、今回をきっかけに手洗とうがいを習慣にすることができました。
マイコプラズマ肺炎の典型的な特徴を架空の例で説明しました。一般的な知識について詳しくは「子供に多いマイコプラズマ肺炎とは?治療期間は抗生剤で1~2週間」でも説明していますので、あわせてご覧ください。