肺炎の原因は?診断はどうやってつけるの?
肺は酸素を体内に取り入れて二酸化炭素を体外に吐き出す大事な臓器です。口から取り入れた酸素が体内に運ばれるまでには、口→気管→
1. 肺炎ってなにが起こっているの?
肺炎とは文字通り肺に炎症のある状態です。肺には無数の小さな肺胞という組織が存在します。肺炎になると、この肺胞にある細胞に炎症が襲ってきます。
肺炎というとみなさんの多くは肺に感染が起こった状態をイメージすると思いますが、肺に炎症が起こる原因は感染だけではありません
- 感染
アレルギー - 薬の副作用
- タバコ
- 排気ガス
- 原因不明
といったように肺炎の原因は多岐にわたります。しかし、一般的に肺炎というと、感染による肺炎のことを指します。
感染を起こす微生物が空気の流れに乗って肺胞にまで届いて感染を起こします。肺炎の原因となる微生物は、
肺炎の原因となる微生物は以下の3つのグループに分けることが多いです。
- 細菌性肺炎
肺炎球菌 やインフルエンザ桿菌 、モラキセラカタラーリスなどの肺炎を起こしやすい細菌が原因になります。
- 非定型肺炎(異型肺炎)
- マイコプラズマやクラミドフィラ、レジオネラなどの一般的な細菌とは異なる菌による肺炎がこれにあたります。
- ウイルス性肺炎
インフルエンザウイルス や麻疹ウイルス、サイトメガロウイルスなどのウイルスによる肺炎がこれににあたります。
2. 肺炎にならないような身体の防御機構
体外から肺に微生物が入ってきたからといって、必ず肺炎になるわけではありません。
肺に少々菌が入ってきても、肺は菌を外に吐き出すわざを持っています。その主なものがせきやたんになります。
空気の通り道から外敵が侵入してきた際に、せきによって強制的に体外に外敵を吐き出します。また、空気の通り道から侵入した外敵を、粘液や
この予防システムがあっても微生物を排除しきれなくて感染が起こってしまうと肺炎になります。中にはどうしても排除しにくい微生物が存在します。そういう微生物が肺炎を起こしやすい微生物にあたり、肺炎球菌やマイコプラズマがその代表格になります(マイコプラズマ肺炎について詳しくは「子供に多いマイコプラズマ肺炎とは?治療期間は抗生剤で1~2週間」で説明しています)。
また、この排除する作用がうまく働いていないと、肺炎の原因となる微生物が肺に侵入してきても微生物を体外に出せなくなるので、肺炎になりやすくなります。
肺炎になりやすかったり、肺炎がなかなか治らなかったりする人は、何か原因があるかもしれません。「肺炎がなかなか治らない。肺がん、肺気腫、間質性肺炎が隠れている?」の項で詳しく説明していますので、思い当たる節のある方は参考にして下さい。
3. 肺炎が起こった時の肺の変化
肺炎が起こると肺の細胞に炎症が起こります。肺にかぎらず身体の組織で炎症が起こると、その組織は水っぽくなります。
例として、転んですり傷を作った時のことを思い出して下さい。すり傷は段々と水っぽくなって、バンソウコウが湿ったことでしょう。
それと全く同じことが肺炎でも起こります。肺炎になると肺は水っぽくなります。そして、肺胞と呼ばれる、肺の中にある小さな風船が水浸しになります。
これは肺炎を診断する上で重要な要素になります。どういったことか次の段落で説明していきます。
4. 肺炎の診断はどうするのか?
肺炎は身体の状態を総合的に見ながら診断します。
身体の状態を見るポイントは以下になります。
- 呼吸が荒い
- せきやたんが出る
- 息苦しさがある
胸部レントゲン で白い影がある胸部CT検査 で白い影がある
これらを満たす場合は肺炎という診断になります。
特に4,5の
肺のレントゲンやCT検査は放射線を使って肺の中を見ています。肺の中身のほとんどは空気です。空気はレントゲンやCT検査では黒く写ります。
肺炎になると、肺の中身の一部が空気から炎症で生じた水分へと変わることによって、今まで黒く写っていた肺が白く変化します。こうして、肺炎になると肺が白く見えるのです。
肺炎は微生物が肺に入り込むことで起こります。咳や痰が出てきて息苦しさも感じる場合は肺炎の可能性がありますので、医療機関にかかってみましょう。