こうなとりうむけっしょう

高ナトリウム血症

血液中のナトリウム濃度が上昇した状態。喉の渇きや興奮状態、痙攣を引き起こす

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5人の医師がチェック 49回の改訂 最終更新: 2017.06.15

高ナトリウム血症の基礎知識

高ナトリウム血症について

  • 血液中のナトリウム濃度が上昇した状態
  • 喉の渇きや興奮状態、痙攣が起こる
  • 様々な病気が高ナトリウム血症を起こす
  • 血中ナトリウム濃度は135mEq/lから145mEq/l程度が正常
  • 主として以下の原因が考えられる
    • 飲水不足による脱水
    • 腎臓以外からの水分喪失による脱水
    • 腎臓での水代謝体内で行われる、物質の合成や分解などの化学反応のこと異常による水分喪失
    • 細胞内への水分の移動
    • 大量の輸液点滴に使用する薬剤で、水分、電解質、栄養補給などの目的で使用するためのもの。また、それによる治療のことやナトリウムを含む薬剤によるナトリウム過剰
    • 腎臓でのナトリウム代謝異常によるナトリウム過剰(尿崩症、鉱質コルチコイド過剰など)
  • 飲水不足の原因
    • 高齢者
    • 乳幼児
    • ほかの原因による意識障害意識に異常が生じた状態の総称で、もうろうとした状態や、不適切な反応をする状態、一切の反応がない状態など多段階の症状が含まれるで水を飲めない
    • ほかの原因により動き回れず水を飲めない
  • 腎臓以外からの水分喪失の原因
    • 大量の発汗
    • 熱傷やけど
    • 下痢
    • 腸液ドレナージ体の中に溜まった液体や血液、膿などを、細いチューブを通すなどして溜まった場所の外へ流し出す治療法
    • 嘔吐
  • 細胞内への水分の移動の原因
    • けいれん、横紋筋筋肉の一種で、身体を動かす筋肉(骨格筋)や心臓の筋肉(心筋)のこと。心臓以外の内臓の筋肉は、平滑筋と呼ばれ区別される融解による細胞崩壊
  • 腎臓での水代謝異常による高ナトリウム血症の原因
    • 血漿浸透圧が上がると水分が尿として失われる(浸透圧利尿)
      糖尿病
      ・高カロリー輸液
      ・高タンパク経腸栄養
      ・浸透圧利尿薬(マンニトール、グリセロール)
    • 利尿薬の作用で水分が尿として失われる
  • ナトリウム過剰を起こす輸液や薬剤の例
    • ナトリウム濃度が高い輸液
    • 重炭酸ナトリウム
    • 溺れて大量の海水を飲んだ
  • 腎臓でのナトリウム代謝異常によるナトリウム過剰の原因
    • 尿の量は抗利尿ホルモン体内で作られて、血流にのって体の特定の部位を刺激する物質。内分泌物質とも呼ばれる(ADH、バソプレシン)がコントロールしている
    • ADHは腎臓に作用して尿量を減らすとともに、血中のナトリウムを尿に排出させる
    • ADHの作用が不足すると尿量増加、喉の渇き、高ナトリウム血症などが起こる(尿崩症
    • 間脳の視床下部脳の一部で、間脳(かんのう)と呼ばれる部位の一部。体温、血圧、睡眠など人体にとって不可欠な働きを調整する中枢の一つ下垂体脳の底(鼻の奥)にある脳の一部。様々なホルモンを分泌する働きをもつ後葉の障害によりADH分泌量が減少する(中枢性尿崩症
      ・遺伝性
      特発性その病気や状態が引き起こされた原因が、未だ判明していないこと(原因不明)
      ・脳の手術後(特に経蝶形骨手術)
      ・頭部外傷
      脳動脈瘤
      ・脳の低酸素
      ・下垂体卒中
      頭蓋咽頭腫
      転移性脳腫瘍
      ・神経サルコイドーシス
      ・ヒスチオサイトーシスX
      髄膜炎
      ・脳炎
      神経性食思不振症拒食症
    • 腎臓の障害によりADHの作用を受けられないと尿崩症になる(腎性尿崩症
      ・遺伝性
      高カルシウム血症
      低カリウム血症
      ・薬剤(リチウム、デメクロサイクリン、リファンピシン、シスプラチンなど)
      ・妊娠
      シェーグレン症候群
      鎌状赤血球症
      ・腎アミロイドーシス
      ・間質性腎炎
      ・閉塞性腎症(尿路通過障害)
    • 副腎皮質ホルモン副腎皮質で作られるホルモンで、ステロイドホルモンとも呼ばれる。コルチゾール、アルドステロン、アンドロゲンの3種類があるの一種の鉱質コルチコイドは腎臓に作用してナトリウムの再吸収を促す
    • 鉱質コルチコイド作用過剰により高ナトリウム血症になる
      原発性アルドステロン症
      偽性アルドステロン症(甘草、グリチルリチン酸製剤による)
      ステロイド薬副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられている
      先天性副腎皮質過形成(11β-水酸化酵素体内で起こる化学反応を助け、速やかに反応が進むようにする物質欠損症)
    • 腎不全でナトリウムの排泄能力が下がる
    • 本態性高ナトリウム血症(原因不明)
  • 通常、血液中のナトリウム濃度が上昇しても喉が渇いて水分を摂取するためナトリウム濃度は正常に戻る
  • そのため、低ナトリウム血症に比べると高ナトリウム血症の頻度は低い

高ナトリウム血症の症状

  • 一般的に急性の経過であれば重い症状が出やすく、慢性の経過であれば症状が出にくい
  • 初期から見られやすい症状
    • イライラ
    • うつ
    • 傾眠病気の影響で眠りがちになって、意識がはっきりしている時間が少ないこと
    • 高熱
    • 過換気(過呼吸)
    • 喉の渇き
    • 興奮状態
    • けいれん
  • 重症化すると出現する症状(Na>160mEq/l程度)
    • 昏睡
    • 呼吸が浅く、弱くなる
  • 脳出血くも膜下出血を引き起こす場合もある

高ナトリウム血症の検査・診断

  • 血液検査
    • ナトリウムの血中濃度を調べることで診断できる
    • 尿崩症が疑われた場合、ホルモン体内で作られて、血流にのって体の特定の部位を刺激する物質。内分泌物質とも呼ばれる量の測定なども採血で行う
  • 尿検査
    • 原因を探るため、尿量、電解質水の中に溶けると電気を通す性質をもつ物質で、ミネラルとも呼ばれる。ナトリウムやカリウムが有名の排泄量、尿浸透圧を調べる
  • ホルモンの作用を確かめるための検査
    • 水制限試験、ナトリウム負荷試験:ADHの作用を見る
  • 原因を鑑別似た別の病気と区別すること。また、その病気以外に可能性のある病気そのもののことする
    • 体重増加などで水分過剰が見られれば、輸液点滴に使用する薬剤で、水分、電解質、栄養補給などの目的で使用するためのもの。また、それによる治療のことや薬剤によるナトリウム過剰を疑う
    • 体重の増減がなければ、細胞内への水の移動を疑う
    • 体重・尿量が減少し尿浸透圧が高ければ、下痢や発汗による水分喪失を疑う
    • 病歴から利尿薬・浸透圧利尿薬・糖尿病などの原因を判定する
    • 尿浸透圧が低ければ尿崩症などのナトリウム代謝体内で行われる、物質の合成や分解などの化学反応のこと異常を疑う

高ナトリウム血症の治療法

  • 軽度で無症状であれば、飲水のみで改善する
  • 重症であれば点滴で水分を補充して、ゆっくりと血液中のナトリウム濃度を下げる
    • 5%ブドウ糖体のエネルギー源となる糖分。血液中のブドウ糖を血糖と呼ぶ液とループ利尿薬(フロセミド、商品名ラシックス)を使う
    • 急にナトリウム濃度を下げると脳浮腫を引き起こす恐れがある
    • 1時間あたり1mEq/lから2mEq/l、1日で12mEq/lまでの補正にとどめる
  • 診断に基づいて、原因となっているものを治療していく
  • 中枢性尿崩症に対してはADH(デスモプレシン)を与えることが重要
    • デスモプレシン製剤は従来点鼻薬液状の薬で、鼻から入れて使用するためのもの(鼻から吸収させる)だけだったが、2013年に飲み薬のミニリンメルト(商品名)が発売された

高ナトリウム血症の経過と病院探しのポイント

高ナトリウム血症かなと感じている方

高ナトリウム血症では、意識がもうろうとしたり、吐き気が出現したりします。通常高ナトリウム血症になる前に、感染症何らかの病原体が引き起こす病気。細菌、ウイルス、真菌などが原因となることが多い。人から人へ直接うつらないものも含めた総称熱中症など原因となる何らかの別の病気がありますので、高ナトリウム血症だけが突然起きるという心配はありません。

高ナトリウム血症の診断そのものは、内科全般で行えます。血液検査が行える医療機関であればどこでも対応が可能です。

高ナトリウム血症は、血液検査の結果で診断します。ナトリウムの濃度は通常135-145mEq/l程度ですが、145mEq/lや150mEq/lを上回って、意識がもうろうとしたり、けいれんなどの症状がある場合に高ナトリウム血症と診断します。症状が伴わず数値が高いというだけでは、病気としての高ナトリウム血症とは呼びません。

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高ナトリウム血症でお困りの方

高ナトリウム血症の治療では、体内に溜まりすぎたナトリウムを薄めるために、水分を多めに摂取することになります。基本的には入院の上で、点滴で必要な量の水分をとるようにします。

それと同時に、高ナトリウム血症の原因となった何らかの病気(発熱の原因となるような肺炎尿路感染症熱中症など)が隠れていることも多いですので、そちらの病気の治療も同時に行う必要があります。

入院が可能な総合病院内科、外科、小児科、産婦人科など主要な科が揃っている病院のこと。現在、明確な定義はないであれば、ほとんどの病院で対応が可能です。また、基本的には大学病院などの高度医療機関である必要はなく、どこで入院をしてもあまり治療方針に差がつきにくい病気の一つです。

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