転移性脳腫瘍の基礎知識
POINT 転移性脳腫瘍とは
脳以外にできた悪性腫瘍が脳に転移をすることです。転移性腫瘍の原因のうち最も多いのが肺がんで、ついで乳がんが多いです。頭痛や吐き気、手足の動かしにくさ、てんかん発作(けいれん)、めまいなどの症状が現れます。CT検査やMRI検査検査などを用いて診断が行なわれます。転移性脳腫瘍に対しては転移を起こしたがんの状態や身体の状態などを鑑みて治療法が選ばれ、原因となったがんの治療と併行して手術や放射線治療などが行なわれます。 がんの治療中に頭痛や吐き気、意識状態の変化などがある場合には脳転移が起きた可能性があるので、治療中の医療機関を受診して相談してみてください。
転移性脳腫瘍について
転移性脳腫瘍の症状
- 転移性脳腫瘍による症状が現れる前に、
がん に対する全身の検査をきっかけに見つかることも多い - 症状は
頭蓋内圧 亢進症状と局所症状に分けられる- 頭蓋内圧亢進症状
- 頭痛
- 吐き気、嘔吐
- 精神症状
- 転移性脳腫瘍の存在する部位の局所症状
- 手足の
麻痺 失語 症- けいれん(てんかん)
- めまい
- ふらつき
- 手足の
- 頭蓋内圧亢進症状
転移性脳腫瘍の検査・診断
- 画像検査:
腫瘍 の位置や形、大きさを調べる頭部CT検査 頭部MRI 検査:細かい転移性脳腫瘍まで見つけられるPET検査 :全身の他の場所にがん がないか調べる
転移性脳腫瘍の治療法
- 手術:開頭による
腫瘍 摘出術- 手術による
予後 改善が見込まれる場合には、手術+放射線療法 が推奨される - 開頭手術を行う場合は、元の
がん の余命が半年以上期待できるということが一つの目安になる
- 手術による
- 放射線療法
- 全脳照射
- 定位放射線照射
- ガンマナイフ療法
- サイバーナイフ療法
- 腫瘍の大きさが大きいまたは数が多い場合には全脳照射を行うことが多いが、治療可能と判断されれば定位放射線照射を行うこともある
化学療法 (抗がん剤 )- 他の薬物療法
- 原発巣の治療がうまくいってない場合、脳転移を治療しても上手くいかないため、原発巣の治療が優先される
転移性脳腫瘍の経過と病院探しのポイント
転移性脳腫瘍が心配な方
転移性脳腫瘍の症状は、場所によって異なります。頭痛や吐き気、ぼーっとする、性格や行動の異常、けいれん、手足の動きにくさ、言葉の出づらさなど様々な症状が出ます。
がんの治療中に症状が出現して、あるいはたまたま検査で脳腫瘍が見つかり、転移性脳腫瘍が疑われる場合がほとんどです。がんの治療中、上記のような症状が出現した場合、まずはがんの治療をしている主治医に相談しましょう。同じ病院でCT、MRIを撮影して、脳神経外科を受診出来ると連携がスムーズですし、脳神経外科がない病院でしたら主治医が脳神経外科がある病院に紹介してくれるはずです。
転移性脳腫瘍はがんの治療中であること、CTやMRIの画像所見、脳の中での部位からある程度種類を予測できますが、最終的には手術か生検で腫瘍の組織を採取して、病理検査を行うことで診断が確定します。
転移性脳腫瘍でお困りの方
転移性脳腫瘍の治療には、もともとのがんの状況が大切になってきます。あまり明るい話ではありませんが、がんが既に進行している場合には症状に対する治療のみを行います。例えばステロイドを使って脳の腫れを抑えたり、けいれんに対して抗てんかん薬を使います。もともとのがんを良くコントロールできていて、転移性脳腫瘍を積極的に治療していく場合、主な治療法は手術か放射線療法です。
転移性脳腫瘍の治療において、手術と放射線療法の使い分け、組み合わせは、腫瘍の大きさや場所、数によって変わってきます。
また病変が小さければ放射線療法の中でも、ガンマナイフやサイバーナイフという定位放射線治療が可能な場合もあります。
もともとのがんの種類によっては、化学療法が効くこともあります。
もともとのがんの治療をしている病院の脳神経外科に診てもらえれば、一番スムーズです。病院に脳神経外科がなかったり、放射線療法ができない時、場合によっては他の病院の脳神経外科を受診して治療を受けると良いでしょう。