2017.09.09 | ニュース

がんが脳に転移、手術後の定位放射線治療は有効?

132人の治療で比較

がんが脳に転移、手術後の定位放射線治療は有効?の写真

脳は全身のさまざまな臓器からがんの転移が来やすい場所です。転移の治療として手術で取り除く場合があります。手術後に定位放射線治療を加える効果が試されました。

少数の転移性脳腫瘍に対する術後定位放射線治療

アメリカのテキサス大学MDアンダーソンがん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがあるセンターの研究班が、転移性脳腫瘍の手術後の定位放射線治療主にがんに対して用いられる、放射線を用いた治療法の効果を調べ、専門誌『Lancet Oncology』に報告しました。

この研究は、1個から3個の転移性脳腫瘍を切除したあとの患者で、明らかな取り残しがなく、切り取った場所の大きさが4cm以内の人を対象としています。

がんの手術では見た目に取り残しがなくても手術後数年以内に再発する場合があります。検査でも見分けられない少数のがん細胞が残っていたためと考えられます。再発を減らす目的で、手術後にほかの治療を組み合わせる場合があります。

定位放射線治療は放射線治療のひとつの方法です。放射線治療の中でも、誤差2mm以内などの正確な狙いをつけて放射線を照射する方法を定位放射線治療と言います。ガンマナイフなどが定位放射線治療に分類されます。

132人の患者が対象となり、ランダムに2グループに分けられました。

  • 手術したあとの場所に1回の定位放射線治療を行うグループ
  • 手術後の定位放射線治療はしないグループ

どちらも定期的にMRI磁力(電磁波)を用いて、脳や内臓、筋肉、骨などの組織を詳しく調べる検査検査を行い、再発などがないかを確かめました。

 

局所再発が少ない

ほかの場所に新しい転移がん細胞がリンパ液や血流にのって、リンパ節や他の臓器にまで広がること。転移がある場合は進行がんに分類されることが多いが見つかった場合などを別として、手術した場所での再発(局所再発)を比較すると次の結果となりました。

局所再発が12か月なかった割合は観察群で43%(95%信頼区間31-59)、定位放射線治療群で72%(60-87、ハザード比0.46、95%信頼区間0.24-0.88、P=0.015)だった。有害事象または治療関連死はどちらの群にもなかった。

局所再発が12か月なかった人は定位放射線治療をしたグループで72%、しなかったグループで43%となり、定位放射線治療をしたほうが多くなりました。治療による害の可能性がある出来事は報告されませんでした。

 

転移性脳腫瘍の手術後に定位放射線治療は有効?

定位放射線治療の効果を試した研究を紹介しました。条件に当てはまる人では定位放射線治療をしないよりもしたほうが平均的には良い結果を得やすいかもしれません。

ただし、転移性脳腫瘍の治療としては手術ができるかどうかにも一定の条件があります。あくまで手術後を前提として、さらにこの研究の条件に当てはまる人だけが対象です。当てはまらない状況についてはほかの研究を参照する必要があるでしょう。

脳に転移があるという状況は楽観できません。また、転移の場所などによってひとりひとりの状態にはかなりの差があります。治療の目的などを考えたうえで、試した結果があるものについては参照することで、それぞれの患者さんの希望に近い治療方針を選ぶ役に立てることができます。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Post-operative stereotactic radiosurgery versus observation for completely resected brain metastases: a single-centre, randomised, controlled, phase 3 trial.

Lancet Oncol. 2017 Aug.

[PMID: 28687375]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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