◆16件のデータから計算
デンマークの研究班が、大腸がんの脳転移の頻度について、これまでにどんな研究が行われているかを調べました。
見つかった59件の研究の内容を詳しく調べたところ、どんな調査範囲のうちで脳転移が集計されたかが明示されているなど、採用に適していると判断される研究16件が残りました。
16件からデータを統合し、脳転移の頻度が計算されました。
◆大腸がん患者のうち0.6%から3.2%
次の結果が得られました。
直腸結腸がん患者における脳転移の発生率は0.6%から3.2%の範囲であることを示す。
大腸がん患者のうち、0.6%から3.2%に脳転移が発生すると見られました。
大腸がんをはじめて診断されてから脳転移が発生するまでの期間は、統合に適した11件のデータによれば、21か月から34.3か月と見られました。
脳転移は男女どちらにも起こり、大きな偏りは見られませんでした。1件の研究が、脳転移は50歳代で起こる頻度が40歳代・60歳代よりも多かったことを報告していました。
脳転移のうち47%程度が、ステージIII(リンパ節転移があるがほかの臓器に転移はしていない段階)で発生していると見られました。
研究班は「これらの特徴を持った患者にとっては、脳が冒されることについて意識を高めることが必要である」と述べています。
執筆者
Systematic review: brain metastases from colorectal cancer-Incidence and patient characteristics.
BMC Cancer. 2016 Apr 1.
[PMID: 27037031]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。