にょうほうしょう
尿崩症
大量の尿が排泄される病気。主に尿量を調節するホルモン(バソプレシン)の不足や効果が乏しいことにより起こる
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最終更新: 2022.02.18
尿崩症の基礎知識
POINT 尿崩症とは
尿量を調節するホルモン(ADHやバソプレシン)がうまく働かないことによって、異常な量の尿が出てしまう病気です。尿がたくさん出るために、身体の中の水分バランスが崩れて、のどの渇きやふらつきなどの症状が現れます。 尿崩症を起こす主な原因は「中枢性(ホルモンの分泌が低下する)」と「腎性(腎臓でのホルモンの効果が小さい)」の2つです。血液検査や尿検査、頭部CT検査、頭部MRI検査などを用いて原因が調べられます。治療としては、ホルモンを補って尿が出過ぎないようにしたり、腫瘍が原因の場合は手術で取り除いたりします。本来、水を多く飲むと尿量が増加して、水を少ししか飲まないと尿量は減少します。しかし、尿崩症の人は飲水量を少なくしても尿量が減少することはほとんどありません。尿崩症が心配な人は内科や腎臓内科、内分泌内科などを受診してください。
尿崩症について
- 尿量を調節する
ホルモン (バソプレシン、ADH)がうまく働かないことによって、大量の尿が排泄される病気- バソプレシンは脳の
下垂体 という場所で作られ、腎臓に作用する - バソプレシンは尿を減らすように作用するが、バソプレシンが足りないことで尿量が増える
- バソプレシンは脳の
- 尿崩症の原因
- 中枢性尿崩症
- 下垂体に問題があり十分なバソプレシンがでない
- 腎性尿崩症
- 下垂体は十分にバソプレシンを作れるが、腎臓に異常があり、バソプレシンに反応できない
- 心因性多飲症(精神的な問題で水分をがぶ飲みしてしまう状態)との
鑑別 が重要- 水分を異常に飲むために、尿も異常に多く出る
- バソプレシンに関して問題はない
- 薬による尿崩症(
薬剤性 )- 抗
ウイルス 薬 - 抗リウマチ薬
抗菌薬 - 躁状態治療薬
- 漢方薬
- 抗
- 中枢性尿崩症
尿崩症の症状
- 尿がたくさん出てしまうために、のどが渇き、水分をたくさんとり、また尿がたくさん出るというサイクルになる
- 主な症状
- 尿量の増加(1日5~10リットルくらいの薄い尿が出る)
- のどがやたら乾き水分をたくさん飲む
- 冷たい水を好むことが多い(特に中枢性において)
尿崩症の検査・診断
- 尿崩症を起こしている原因を調べる
- 血液検査:浸透圧やナトリウムの値、バソプレシンの値を調べる
- 尿検査:尿の浸透圧(尿の濃さ)を検査
- 尿崩症や心因性多飲症では浸透圧が低下する
- 飲水制限:飲む水を制限したときに尿が減るか検査
- 尿が減る場合は心因性
- バソプレシンテスト:バソプレシン(尿を減らすように働く
ホルモン )を実際に使用- 尿が減る場合は中枢性(バソプレシンがあれば尿が減ることがわかるので)
- 尿が減らなければ腎性(バソプレシンがあっても腎臓が反応しないことがわかるので)
頭部CT 、頭部MRI 検査:下垂体 に腫瘍 などがないか調べる(必要に応じて行う)- 多飲、多尿は糖尿病など他の病気でも起こるが、尿検査によって区別できる
尿崩症の治療法
- 中枢性尿崩症に対しては抗利尿
ホルモン (バソプレシン)の効果があり、点鼻スプレーで投与される- 30分以内に効果が出ることが多く、6時間以上効果が持続する
- 抗利尿ホルモンの経口剤(ミニリンメルト®)もある
- ヒドロクロロチアジドや
NSAIDs を腎性尿崩症に使うことがある
尿崩症に関連する治療薬
デスモプレシン製剤(注射剤を除く)
- 腎集合管に作用し水分の血管内への再吸収を亢進し大量の尿が排泄されるのを改善する薬
- 尿崩症は尿量を調節するバソプレシン(抗利尿ホルモン)の不足などにより、大量の尿が排泄されてしまう
- バソプレシンは腎臓で水分を血管内へ吸収(再吸収)させる作用などをあらわす
- 本剤はバソプレシンに類似した作用をあらわし腎集合管における水分の再吸収を亢進させる
- (中枢性)尿崩症のほか、製剤によっては夜尿症へ使用する場合もある
尿崩症のタグ
尿崩症に関わるからだの部位


