ていなとりうむけっしょう

低ナトリウム血症

血液中のナトリウム濃度が低下した状態。だるさや意識障害、痙攣を起こす。原因は心不全・腎不全・肝硬変・水中毒・高血糖・薬剤・SIADHなど

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5人の医師がチェック 160回の改訂 最終更新: 2016.11.11

低ナトリウム血症の基礎知識

低ナトリウム血症について

  • 血液中のナトリウム濃度が低下した状態
    • 通常は135mEq/lから145mEq/l程度
  • 倦怠感だるさのこと意識障害意識に異常が生じた状態の総称で、もうろうとした状態や、不適切な反応をする状態、一切の反応がない状態など多段階の症状が含まれるに引き続いて、痙攣などを引き起こす
  • 様々な疾患、病態病気の状態や、その病気の原因・発生機序などを指して用いられる言葉が低ナトリウム血症を引き起こす
  • 治療のためにも原因を調べることが大切である
  • 主として以下の原因が考えられる
  • 水分の過剰が原因の場合
  • 水分の血液への移動が原因の場合
    • 高血糖血糖値が高い状態。いくつ以上が高血糖という基準はないが、糖尿病にかかっている人は血糖値が高くなりがちである
    • 浸透圧利尿薬(マンニトール、グリセロールなど)
    • カリウム欠乏による細胞内浸透圧の低下
  • ナトリウムの腎臓からの喪失が原因の場合
    • 手術後
    • 前立腺男性の尿道の奥の部分を取り囲むようにある臓器。前立腺液と呼ばれる液体を分泌したり、尿の排泄をコントロールしたりしている・膀胱腫瘍細胞が増殖してできるこぶのようなもの。あまり悪さをしない良性腫瘍と、体に強い害を与えることの多い悪性腫瘍に分類されるの経尿道的切除後
    • 薬剤性薬が原因となって病気が引き起こされたり症状が現れたりすること:サイアザイド系利尿薬など
    • アルコール中毒
    • SIADH
    • 加齢によるホルモン体内で作られて、血流にのって体の特定の部位を刺激する物質。内分泌物質とも呼ばれるバランスの崩れ(MRHE)
    • 妊娠
    • 甲状腺機能低下症
    • 副腎不全様々なホルモンを分泌している副腎の機能が低下して、体内のミネラルバランスや神経系のコントロールが取れなくなった危険な状態アジソン病など
    • 糖質コルチコイド欠乏
    • アルドステロン副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンの一種。腎臓に働きかけて、ナトリウムと水分を体内に蓄える作用がある
    • 下垂体脳の底(鼻の奥)にある脳の一部。様々なホルモンを分泌する働きをもつ機能低下:下垂体腫瘍、頭蓋咽頭腫サルコイドーシスリンパ球血液中にある白血球の一種で、免疫の役割を担っている。B細胞、T細胞、NK細胞に分かれ、それぞれ働き方が異なる下垂体炎、シーハン症候群など
  • 腎臓以外の原因によるナトリウムの喪失
    • 飢餓、偏食による食物からのナトリウム摂取不足
    • 嘔吐、下痢、熱傷やけど)によるナトリウム喪失
  • ナトリウムは食塩の成分であり、通常の食事をしていれば不足する心配はない
  • 実際はナトリウムの血中濃度が正常でも、高脂質症、高タンパク血症、高血糖があることで検査上低ナトリウム血症となること(偽性低ナトリウム血症)がある
    • 多発性骨髄腫、マクログロブリン血症による免疫グロブリン白血球が作り出す、免疫の一部を担う物質。体内の病原体に付着して、他の免疫細胞の働きを助けたりする過剰(パラプロテイン血症)などが原因になる

低ナトリウム血症の症状

  • 低ナトリウム血症の進行の速さと血中のナトリウムの値によって重症度が決まる
  • 一般的に急性の経過であれば重い症状が出やすく、慢性の経過であれば症状が出にくい
  • 初期から見られやすい症状
    • 倦怠感だるさのこと
    • 頭痛
    • 吐き気、嘔吐 など
  • 原因となった病気による症状
    • 浮腫体の部位がむくんだ状態のこと。血液から水分が周囲に漏れ出ることで、全体が腫れてむくみが生じるむくみ体の部位がむくんだ状態のこと。血液から水分が周囲に漏れ出ることで、全体が腫れてむくみが生じる
    • 脱水によるふらつき、頻脈脈が早い状態(100回/分以上とされることが多い)。運動や緊張が原因の、病的でないものも含まれる、皮膚や口の中の乾燥、喉の渇き
  • 重症化すると出現する症状
    • 脱力
    • 傾眠病気の影響で眠りがちになって、意識がはっきりしている時間が少ないこと
    • 意識障害意識に異常が生じた状態の総称で、もうろうとした状態や、不適切な反応をする状態、一切の反応がない状態など多段階の症状が含まれる
    • けいれん

低ナトリウム血症の検査・診断

  • 血液検査
    • ナトリウムの血中濃度を調べることで診断できる
    • 原因の鑑別似た別の病気と区別すること。また、その病気以外に可能性のある病気そのもののことのため、血糖血液中のブドウ糖のこと。人が活動するためのエネルギー源。血液中の濃度を血糖値といい、糖尿病の診断に用いられる値、コレステロールヒトの全ての細胞の膜を作るのに必要な脂質。LDLコレステロールとHDLコレステロールがあり、前者は動脈硬化などの原因となる、蛋白、甲状腺のどぼとけのすぐ下にある、人体で最大の内分泌腺(ホルモンを出す臓器)。甲状腺ホルモンを分泌する機能、副腎機能腎臓の機能。腎臓がどれだけ血液をろ過してきれいにできるかを示す。血液検査でクレアチニンの値を元に判断されるなどを調べる
  • 尿検査
    • ナトリウム、カリウムなどの排泄量を見る
  • 胸部レントゲン X線(放射線)によって撮影する画像検査の一種で、心臓や肺、骨などの状態を調べるために行われる心エコー空気の細かな振動である超音波を使って、心臓の状態を調べる検査
    • 心不全が疑われるとき、血液検査とあわせて評価する
  • 低ナトリウム血症の原因となる疾患、病態病気の状態や、その病気の原因・発生機序などを指して用いられる言葉を鑑別するため、下記のような検査を行っていく
    • 病歴から利尿薬ほかの薬剤の使用、高血糖血糖値が高い状態。いくつ以上が高血糖という基準はないが、糖尿病にかかっている人は血糖値が高くなりがちであるなどをチェックする
    • 妊娠の可能性を検討する
    • 尿浸透圧低下(<100mOsm/kg)があれば水中毒を疑う
    • 血漿浸透圧が等張性なら偽性低ナトリウム血症を疑う
    • 尿中Na濃度からナトリウム排泄分画(FENa)を計算する
    • 脱水がありFENa>0.1%なら腎臓からの喪失(慢性腎臓病、利尿薬など)を疑う
    • FENa<0.1%なら腎臓以外からの喪失(下痢・嘔吐など)を疑う
    • 浮腫体の部位がむくんだ状態のこと。血液から水分が周囲に漏れ出ることで、全体が腫れてむくみが生じるがあれば水分の過剰(心不全腎不全肝硬変など)を疑う
    • 血液量が正常で甲状腺機能や副腎機能にも異常がなければSIADH、MRHEを疑う

低ナトリウム血症の治療法

  • 意識障害意識に異常が生じた状態の総称で、もうろうとした状態や、不適切な反応をする状態、一切の反応がない状態など多段階の症状が含まれる発症症状や病気が発生する、または発生し始めることしているなど重症の場合、不足しているナトリウムを点滴で補い、ナトリウム濃度を補正する
    • 補充の速度が早すぎると脳にダメージを与える(橋中心脱髄電気信号を伝える神経線維を包むカバーのような役割をもった髄鞘が、様々な病気や病態の影響で壊れてしまうこと症候群)ので、ゆっくり補充する
    • 1時間あたり1mEq/l程度、1日あたり8-12mEq/lの補正とする
  • 中等度の場合、治療として食塩そのものを摂取することもある
  • 軽度で無症状であれば経過観察病気の状態や健康の状態を見守ること。その時点で治療する必要がないと医師が判断した場合や、診断のためにその後の経過を見なければならない場合に行われるすることが多い
  • 以下のように、原因に応じた治療を行っていく
    • 心不全腎不全が原因の場合、過剰な体内水分貯留が原因なので、水分摂取制限を行ったり、利尿薬を使って水分を排出する(この場合、ナトリウムの補充は症状を悪化させてしまう)
    • 水中毒(心因性多飲)の場合、水分摂取量を制限する
    • 甲状腺機能低下症副腎不全様々なホルモンを分泌している副腎の機能が低下して、体内のミネラルバランスや神経系のコントロールが取れなくなった危険な状態の場合はホルモン体内で作られて、血流にのって体の特定の部位を刺激する物質。内分泌物質とも呼ばれる補充を行なう
    • 薬剤性薬が原因となって病気が引き起こされたり症状が現れたりすること(利尿薬や抗うつ薬など)の場合は、原因薬剤を中止する

低ナトリウム血症の経過と病院探しのポイント

低ナトリウム血症かなと感じている方

低ナトリウム血症では、だるさや吐き気といった症状が出現します。しかし、症状だけから自己診断するのは難しい病気です。低ナトリウム血症の診断そのものは、内科全般で行えます。血液検査が行える医療機関であればどこでも対応が可能です。

低ナトリウム血症は、血液検査の結果で診断します。ナトリウムの濃度は通常135-145mEq/l程度ですが、135mEq/lや130mEq/lを下回って、だるさや吐き気などの症状がある場合に低ナトリウム血症と診断します。高齢者では、これらより低い値であっても特に症状がないことも多く、そのような場合は低ナトリウム血症とは呼びません。

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低ナトリウム血症でお困りの方

低ナトリウム血症の治療では、塩分の摂取によって体内にナトリウムを補うことになります。症状が軽く自宅で過ごせる程度の低ナトリウム血症であれば、食事中の塩分を増やすだけでも十分治療になります。強い症状があって入院が必要な時には、点滴でナトリウムの摂取を行います。

それと同時に、低ナトリウム血症の原因となった何らかの病気(心不全腎不全SIADH甲状腺機能低下症など)が隠れていることも多いですので、そちらの病気の治療も同時に行う必要があります。

低ナトリウム血症は誤解されやすい病気なのですが、症状がある低ナトリウム血症か、症状がない低ナトリウム血症かによって大きな違いがあります。通常の血液検査では、ナトリウムの正常値は135-145mEq/lとされています。したがって、134mEq/l以下の場合にはその方は低ナトリウム血症だということになります。

しかしながら、症状がない低ナトリウム血症の方の場合には、その方にとってはその値がちょうど良いという場合も少なからずあります。全体の平均をとると135から145の間に収まる人が大半だというだけであって、ナトリウムの値が130でも、ずっと元気に暮らしているのであれば、それはその方にとっては正常範囲だということです。したがって、その場合には治療も必要はありません。

入院が可能な総合病院内科、外科、小児科、産婦人科など主要な科が揃っている病院のこと。現在、明確な定義はないであれば、ほとんどの病院で対応が可能です。また、基本的には大学病院などの高度医療機関である必要はなく、どこで治療を受けてもあまり治療方針に差がつきにくい病気の一つです。

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