ずがいいんとうしゅ
頭蓋咽頭腫
頭の奥深くにある下垂体の近くにできる脳腫瘍の一種。小児と40歳〜60歳に多い。
9人の医師がチェック 145回の改訂 最終更新: 2018.09.10

頭蓋咽頭腫の基礎知識

POINT 頭蓋咽頭腫とは

良性の脳腫瘍の代表的なものの1つです。身体が出来る過程で、本来はなくなる頭蓋咽頭管が残ったものから発生する腫瘍と考えられています。頭蓋咽頭腫ができると腫瘍によって頭痛や嘔吐などが現れ、腫瘍が視神経(ものを見るための神経)を圧迫すると視野が狭くなったり、視力が低下したりします。また、ホルモンを分泌する下垂体の近くにできて影響が及ぶと、成長が止まったり、元気がなくなったりします。頭蓋咽頭腫が疑われる場合には画像検査(頭部CT検査や頭部MRI検査など)が行なわれ、手術や放射線治療で腫瘍を取り除いたり小さくしたりします。また、ホルモンに異常がある場合は不足している物質を薬によって補ったりもします。頭蓋咽頭腫が疑われる場合は脳神経外科や内分泌内科などが協力して治療が行なわれます。

頭蓋咽頭腫について

  • 頭の奥深くにある下垂体の近くにできる良性脳腫瘍の一種
    • 胎児の時の名残からできる腫瘍と言われている
  • 子どもと40歳-60歳に多い
  • 全ての脳腫瘍の3%を占める
      ・小児脳腫瘍に限ると9%を占める
  • 近くには大事な神経・血管などがあり、頭蓋咽頭腫はしばしば周りの組織と癒着しているため治療が難しい
      ・下垂体(全身のホルモンの中枢)
      ・視床下部(体温調節や食欲のコントロールなど、生命に関わる基本的機能をつかさどる)
      ・視神経(視覚を脳に伝える神経)
      ・動眼神経(眼球を動かす神経)
      ・内頚動脈(心臓から脳に血液を送る動脈) 
    などが近くに存在する神経・血管である

頭蓋咽頭腫の症状

  • 腫瘍による症状
    • 頭痛
    • 嘔吐
    • 意識がもうろうとする
  • 視神経を圧迫した場合に起こる症状
    • 視野が狭くなる (両目の外側が見えづらい)
    • 視力低下
  • 下垂体を圧迫し、ホルモンバランスが崩れた場合
    • 小児の場合
      ・低身長
      二次性徴の欠如 
    • 成人の場合
      ・基礎代謝の低下
      ・活気がない
      ・薄い毛髪
      ・尿がたくさん出る
      ミネラルのバランスが崩れる

頭蓋咽頭腫の検査・診断

  • 血液検査:ホルモンの分泌量、ミネラルの量などを調べる
  • 画像検査:腫瘍の大きさ、位置などを調べる
    • 頭部CT検査
    • 頭部MRI検査
      MRI検査の方がCT検査より詳しく分かる
  • 画像検査では造影剤を使用した方が検査精度が高いので、必要時に造影剤を用いることもある
    • 造影剤はアレルギーを起こしたり腎機能を悪化させたりするので必要のない場合では用いないようにする

頭蓋咽頭腫の治療法

  • 基本的な治療方針
    • 症状がある場合は、基本的には手術で全て摘出することを目指す
    • 症状がなくても大きさなどによっては手術を検討する
  • 手術
    • 開頭手術
    • 経鼻的内視鏡手術(鼻から内視鏡を入れて行う手術)
      ・経鼻的内視鏡手術は特に専門性が高く、行える施設は限られている
  • 薬物療法
    • ホルモンの足りない分を薬で補う
  • 脳外科が扱う良性腫瘍の中で最も治療が難しい
  • 長期的な経過
    • 腫瘍の大きさ、部位、周りの器官との関係によっては、複数回の手術が必要な場合もある
    • 周囲の血管、神経、脳などに癒着していて全摘出が困難な例では、放射線療法を用いる
    • 術後にホルモンの症状が悪くなることもあるが、飲み薬でコントロールできる
    • 再発率が高く、術後や放射線療法後も定期的な観察が必要である

頭蓋咽頭腫の経過と病院探しのポイント

頭蓋咽頭腫が心配な方

頭蓋咽頭腫の症状は、頭痛や吐き気、ぼーっとする、視力や視野の障害、下垂体機能低下症の症状など様々な症状が出ます。

なかなかご自身で頭蓋咽頭腫を疑うことはないと思います。上記の症状のいずれかが出現して困った時に、内科、総合内科、総合診療科、神経内科や脳神経外科のクリニックや病院を最初に受診して、頭のCTやMRIを撮った時に脳腫瘍を指摘され、頭蓋咽頭腫を疑われることが実際には多いです。

頭のCTやMRIを撮って頭蓋咽頭腫を疑われた場合には、一定規模以上の病院での入院が必要となるでしょう。大学病院でしたら脳腫瘍の方は多く入院していますし、他にも脳腫瘍の多い一般病院もあります。webで探したり、最初に受診したクリニック、病院の医師にそういった病院を紹介もらうのが良いでしょう。

頭蓋咽頭腫は年齢、CTやMRIの画像所見、脳の中での部位からある程度種類を予測できますが、最終的には手術か生検で腫瘍の組織を採取して、病理検査を行うことで診断が確定します。他に症状を明らかにするために視力検査や視野検査、下垂体ホルモンの検査をした方がいいです。

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頭蓋咽頭腫でお困りの方

頭蓋咽頭腫の基本的な治療は、手術となります。開頭手術と経鼻的内視鏡手術(鼻から内視鏡を入れて行う手術)の2種類が行われます。経鼻的内視鏡手術の方が、身体への負担は少ないですが、専門性が高いため出来る脳神経外科の医師、病院は限られています。その他にも腫瘍の大きさや、周りの視神経や血管との関係によってそれぞれの手術にメリットデメリットがあります。いずれの手術を受けるにせよ難しい手術なので、熟練した脳神経外科の医師の手術を受けるべきです。

脳の奥に出来る腫瘍であり、また周りに重要な神経や血管もあるため、手術で腫瘍を取りきれなかった場合は手術後に放射線療法が行われます。

腫瘍による圧迫で下垂体機能低下症の症状がある場合、薬によるホルモンの補充が行われます。小児科や内分泌代謝内科、泌尿器科などで治療が行われます。

再発率が高いため、治療後も定期的に通院して、MRIでのフォローが必要となります。

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