ずがいいんとうしゅ
頭蓋咽頭腫
頭の奥深くにある下垂体の近くにできる脳腫瘍の一種。小児と40歳〜60歳に多い。
9人の医師がチェック 144回の改訂 最終更新: 2017.12.06

Beta 頭蓋咽頭腫のQ&A

    頭蓋咽頭腫の原因、メカニズムについて教えて下さい。

    頭蓋咽頭腫は、胎児のときにある頭蓋咽頭管と呼ばれる組織の一部が、通常は出生前に自然になくなるのですが、出生後も残っており、それが何らかの刺激により成長してできると考えられています。

    頭蓋咽頭腫は、どんな症状で発症するのですか?

    頭蓋咽頭腫は下垂体柄から起こるため、大きくなると視神経・視交差を下側から圧迫するようになり、視力の低下や視野が狭くなるといった症状を起こして見つかることがあります。

    また、視床下部から下垂体への命令を妨げることで、上述のように尿崩症を起こし、多量に尿が出る、頻尿で眠れない、のどが渇いて仕方がないので、ずっとペットボトルが手放せない、という症状で受診される方もいます。

    頭蓋咽頭腫は、どのように診断するのですか?

    頭部MRIにより診断します。頭蓋咽頭腫にはしばしば石灰化と呼ばれる、カルシウム沈着が見られますが、石灰化部分についてはCTの方がよく分かります。

    頭蓋咽頭腫の治療法について教えて下さい。

    原則は手術による全摘出です。

    手術で切除しきれなかった部分に対しては、ガンマナイフ/サイバーナイフなどの放射線治療を行うことがありますが、視神経に近いと困難な場合も多いです。

    頭蓋咽頭腫はしばしば、のう胞と呼ばれる袋を内部に伴っており、小児の場合など、こののう胞に管を入れて取りあえず体積を縮小させるという治療を行うことがあります。またこの管から抗癌剤を注入するという治療を行う場合もありますが、効果に関して明確なエビデンスはありません。

    頭蓋咽頭腫は、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?

    原発性脳腫瘍の3%と言われています。そして頭蓋咽頭腫の20%は15歳未満の小児に発生します。

    原発性脳腫瘍が10万人あたり1.2-10人の頻度ですので、かなり稀な病気です。

    頭蓋咽頭腫の、その他の症状について教えて下さい。

    腫瘍が大きく第三脳室を塞いでしまうと、髄液の流れが妨げられて水頭症を起こし、意識障害が生じます。

    頭蓋咽頭腫の、その他の検査について教えて下さい。

    頭蓋咽頭腫では、ホルモンの異常の有無を、血液検査を行って調べます。

    手術治療が前提となりますが、血管の位置を調べておくために脳血管撮影(カテーテル検査)を行う場合もあります。

    頭蓋咽頭腫の治療法の使い分けについて教えて下さい。

    頭蓋咽頭腫は組織としては良性に分類されますが、しばしば再発を起こし、周囲の血管などと癒着して大変な状態になることがあります。そのため、手術で全摘出できれば最善ですが、次善の策として、極力小さくした後で、放射線治療を行う手を取ることも多いです。

    頭蓋咽頭腫と下垂体腫瘍の違いについて教えて下さい。

    下垂体腫瘍は文字通り下垂体から発生するため、少なくとも一部は、下垂体がもともとある場所であるトルコ鞍という頭蓋骨のくぼみから続いています。一方、頭蓋咽頭腫は下垂体と大脳を連結している下垂体柄付近から発生するため、下垂体の組織と離れていることがしばしばあります。

    下垂体腫瘍の一つである下垂体腺腫の一部は、ホルモンを分泌することで、乳汁を出したり(プロラクチン)、顔貌の変化を起こしたり(成長ホルモン、コルチゾル)することによって見つかることがあります。頭蓋咽頭腫では、下垂体から抗利尿ホルモンが分泌されるのを妨げることにより、尿が大量に出て、のどがとても渇く(尿崩症)により発症することがあります。

    頭蓋咽頭腫が重症化すると、どのような症状が起こりますか?

    意識障害を起こして、自分で水分摂取の調整ができないと、身体の塩分バランスの異常を来たし、生命に関わります。

    頭蓋咽頭腫と診断が紛らわしい病気はありますか?

    下垂体から発生する下垂体腺腫と区別する必要がありますが、正常下垂体の位置、下垂体とのつながり方などから区別できる場合が多いです。

    頻度は少ないですが、下垂体に癌の転移が起こることがあり、その場合は尿崩症を起こすことが多いため、こちらも区別する必要があります。

    頭蓋咽頭腫では、薬による治療法はありますか?

    頭蓋咽頭腫に対しての、薬剤による治療で有効なものはまだ知られていません。

    頭蓋咽頭腫が発症しやすくなる、または頭蓋咽頭腫の人が他に注意すべき病気はありますか?

    頭蓋咽頭腫は尿崩症を起こすことがあります。尿崩症が起こると、身体の水分が奪われてしまうため、非常に喉が渇きますが、水分を十分摂らないと、身体の塩分バランスが崩れてしまい、血中のナトリウムが高くなって意識障害を起こすことがあります。

    頭蓋咽頭腫では入院が必要ですか?通院はどの程度必要ですか?

    頭蓋咽頭腫では、入院の上、全身麻酔の手術が必要です。

    手術後は通常ホルモンの補充が必要になるため、2週間から1ヶ月程度の入院が必要になります。また腫瘍は視床下部と呼ばれる、生命を維持するために非常に重要な部分に近いところにできるため、場合によってはリハビリテーションが必要になります。

    通院は、ホルモンの補充のためと、定期的な画像検査のため、と言うことになりますが、

    10年単位で通院する必要があります。ホルモンに関しては安定していれば、近くの内科医(内分泌科が望ましい)に処方してもらうことも可能です。

    頭蓋咽頭腫は、遺伝する病気ですか?

    今のところ頭蓋咽頭腫に遺伝性は知られていません。

    頭蓋咽頭腫に関して、日常生活で気をつけるべき点について教えて下さい。

    術後はホルモンの補充が必要なことがほとんどですが、薬を飲み忘れないようにすることが重要です。

    また風邪を引いたりしても、ホルモンバランスが崩れて意識障害など重症化することがあり、術後早期は注意が必要です。

    頭蓋咽頭腫は、完治する病気ですか?あるいは、治っても後遺症の残る病気ですか?

    頭蓋咽頭腫が手術で完全に取り切れれば、完治すると言えます。腫瘍が視神経内部に向かって大きくなっているような場合には、視野・視力の障害が後遺症として残ることがあります。

    また満腹中枢の働きが落ちて太りやすくなったり、視床下部の症状が見られることもあります。

    頭蓋咽頭腫で抗利尿ホルモンの補充のために、鼻からスプレーをしていますが、飲み薬はありませんか?

    内服薬もありますが、内服薬を開始する時は入院の上で、適切な量を見極める必要があります。

    頭蓋咽頭腫の手術後に、ホルモンの薬はいつまで飲むのでしょうか?

    下垂体柄の機能が全くなくなってしまっている場合には、自力でホルモンが産生できないため、基本的には一生飲み続ける必要があります。