さるこいどーしす
サルコイドーシス
全身の臓器に肉芽腫(免疫細胞の集まり)ができる病気。原因は不明。主に、肺、眼、皮膚、心臓などの臓器にダメージが生じる
10人の医師がチェック
215回の改訂
最終更新: 2021.06.04
サルコイドーシスの基礎知識
POINT サルコイドーシスとは
サルコイドーシスは全身の臓器に肉芽腫(免疫細胞のかたまり)ができる病気です。軽症の場合には自覚症状はないですが、肉芽腫が多く集まると臓器の機能障害が起こります。全身の中でも肺・眼・皮膚・心臓などに障害が起こることが多く、時に重症になります。 診断には採血検査、画像検査、気管支鏡検査などを行います。治療せずに回復することも多いですが、症状が出てきた場合や、心臓や神経など重大な問題を起こしかねない臓器の病変があれば治療を検討します。治療は主にステロイド薬を使います。サルコイドーシスが心配な人や治療したい人は、呼吸器内科・皮膚科・眼科を受診して下さい。
サルコイドーシスについて
- 全身の多くの臓器に
肉芽腫 (免疫 細胞が集まってできた固まり)ができて障害が起こる病気- 主に肺(約90-95%)、眼(約20-55%)、皮膚(約10-35%)に
病変 が出る - 心臓や神経にも病変が出ることがあり、そのような場合は重症化することが多い
- 他にも関節、
上気道 、唾液腺、腎臓、消化管 、肝臓、膵臓、下垂体 、生殖器など多くの臓器で病変が出現しうる
- 主に肺(約90-95%)、眼(約20-55%)、皮膚(約10-35%)に
- 主な原因
- 免疫系の異常反応によって発生する
- 遺伝的な要因が関わる場合もある
- 原因究明に関しては研究段階であり、未だに解明はされていない
- 頻度
- 日本では人口10万人あたりに10人弱
- 人種別では黒人での
発症 が多い - 東北地方や北海道などの寒冷地方の方が患者が多い
- 男性に比べ女性の方が若干多い
- 20歳代と40-50歳代で発症しやすい
- 厚生労働省の特定疾患(難病)に認定されており、治療費の補助などが受けられる場合がある
サルコイドーシスの症状
- 30-50%ほどの患者さんは無症状の時に診断される
- 主な症状
- 肺、眼、皮膚に症状が出やすい
- 全く症状が現れない、または症状が軽いことも多い
- 心臓や、神経の障害も起こるが、そういった場合は重篤な状況になりやすい
- サルコイドーシス関連の死亡のうち約60%が心
病変 、約30%が肺病変によるものという報告がある
- サルコイドーシス関連の死亡のうち約60%が心
サルコイドーシスの検査・診断
- 血液検査
- アンジオテンシン変換
酵素 (ACE)、リゾチーム、可溶性インターロイキン-2受容体(sIL-2R)などが高値になりやすく、診断基準に含まれる - カルシウム濃度が上昇することがある
ビタミンD の一種(25-OHビタミンD)が欠乏している- その他、結核や
HIV など、サルコイドーシスとの区別が問題になることがある病気の有無を調べる
- アンジオテンシン変換
- 尿検査
- 尿中のカルシウム濃度が上昇することがある
- ツベルクリン反応検査
- サルコイドーシスによって検査結果が陰性化しやすくなる
- 画像検査:肺の
リンパ節 の大きさや肺の中に影がないかなどを調べる胸部レントゲン (X線 )検査胸部CT検査 など
気管支鏡 検査気管支 や肺の内部を水でゆすいで、そこから検出される免疫 細胞の種類や比率を調べる- 気管内表面の血管が特徴的に変化していないかを見る
- 肺そのものや、肺の近くのリンパ節を採取して、サルコイドーシスに特徴的な
肉芽腫 の有無を調べる(特徴的な肉芽腫が認められれば、確定診断に大きく近づく)
- ガリウム
シンチグラフィ 、FDG-PET/CT - サルコイドーシスの活動性がある部分が目立って見える画像検査(診断基準に含まれる)
- 蛍光
眼底 造影 検査- ぶどう膜炎などが起きているかどうかを調べる
組織診 - 皮膚や肺などの組織を採取して顕微鏡で調べて(
生検 する)、サルコイドーシスに特徴的な肉芽腫があるかどうかを調べる
- 皮膚や肺などの組織を採取して顕微鏡で調べて(
- 全身の臓器に異常が起こる可能性があるので、様々な検査が必要になる場合がある
- 症状が出ている部位に合わせた特有の検査も必要に応じて行う
サルコイドーシスの治療法
- 治療の必要性が無い場合も多い
- 半数以上のケースで、様子を見ているだけで改善すると報告されている
- 主に以下のような場合では
ステロイド薬 を使う- 肺に
病変 が目立ち、呼吸機能が損なわれていく危険がある場合 - 眼病変により視力が損なわれていく危険がある場合
- 心臓にサルコイドーシス病変がある場合(サルコイドーシス関連死の半数以上が心病変によるものという報告がある)
- 脳神経病変がある場合
- 肺に
ステロイド 治療を行う場合には、再発予防も含めて月単位、年単位の長期的な使用が必要- ステロイドだけでは病勢を抑えきれない場合は、メトトレキサートなどの
免疫 抑制薬を併用することがある - 眼の
炎症 による虹彩の癒着 を防ぐため、散瞳薬を使うことがある - 症状が無くても再発することがあるので、年に数回の定期検査を受けることが必要になることが多い