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房室ブロック
心臓の電気刺激伝達システムに異常が起こり、心房から心室への刺激の遅れや途切れが生じる病気。不整脈の一種
5人の医師がチェック 87回の改訂 最終更新: 2023.02.16

房室ブロックの基礎知識

POINT 房室ブロックとは

房室ブロックは、心臓の電気刺激伝達システムに異常が起こり、心房から心室への刺激の遅れや途切れが生じる病気です。加齢変化や心臓の病気(心筋梗塞、心筋症など)に加えて、血液中のカリウム値の異常、脈をコントロールするための薬の副作用などで起こります。心室への電気刺激の回数が少なくなると、脈が遅くなります。すると心臓からの血流が少なくなり、息切れやめまいなどの症状が出ます。さらに脈が遅くなった時には失神することもあります。症状や身体診察に加えて、心電図検査や心臓エコー検査で診断されます。治療にはペースメーカーを埋め込んだり、薬物治療を行ったりします。房室ブロックが心配な人や治療したい人は、循環器内科を受診して下さい。

房室ブロックについて

  • 心臓の中で電気信号が伝わる経路に異常が起こるタイプの不整脈
    • 房室ブロックがあると、心房から心室への信号のが遅れたる途切れたりすることで不整脈が起こる
  • 急に起こる房室ブロックの原因
  • 慢性あるいは再発性の房室ブロック
  • 心房と心室の間の信号のブロックされ度合いにより以下のタイプがある
    • 1度:心房から心室への刺激伝達が遅れる
    • 2度(ウェンケバッハ型、モビッツ2型):刺激の一部が断絶される
    • 3度:完全に断絶される

房室ブロックの症状

  • 軽症の場合は、症状を感じないことが多い
  • 徐脈:脈拍が1分間に50回未満となる
    • 脈が遅いとそれに伴って心臓からの血流が少なくなり、心不全や一過性の脳血流低下による症状が出ることがある
  • 重症になると見られる症状
    • 息切れ
    • むくみ
    • 倦怠感(疲れやすい)
    • めまい(くらっとするような)
    • 失神
      • 失神を放置していると突然死にもつながるので注意が必要

房室ブロックの検査・診断

  • 問診
    • どういった時にどんな症状が出るかを確認する
  • 心電図検査:特徴的な不整脈の波形がないかなどを調べる
    • 一時的に房室ブロックが起こっていることが疑われる場合はホルター心電図(24時間の心電図検査)を行う
    • 失神するような場合、ホルター心電図でも分からない時には埋め込み型心電計を挿入することがある
  • 血液検査
    • 房室ブロックが起こった原因がないか調べる
  • 心臓超音波
    • 心臓の動きを見る

房室ブロックの治療法

  • 房室ブロックのタイプによって治療が異なる
  • 1度、2度(ウェンケバッハ型)
    • 重大な症状や合併症が見られない限り、基本的には様子を見ていく
  • 2度(モビッツ2型)
    • 特に症状がある場合は、ペースメーカー植え込み術を行う
  • 3度
    • ペースメーカー植え込み術を行う
  • 失神発作やめまいがある場合
    • β刺激薬やアトロピン(いずれも抗不整脈薬)の使用
    • ペースメーカーを埋め込む手術まで一時的ペースメーカーを用いることがある

房室ブロックの経過と病院探しのポイント

房室ブロックが心配な方

息切れやむくみ、失神の症状がある場合には循環器内科または一般内科の受診をお勧めします。これらの症状は房室ブロック以外の病気でも出ることがありますが、心電図検査などを行うことで他の病気も含めて十分に調べることができると思われます。循環器内科があるほとんどの病院ではペースメーカを含めた全般的な治療が可能です。

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房室ブロックでお困りの方

房室ブロックは薬で完治することができません。房室ブロックによる徐脈が原因で症状を感じる人はペースメーカーの埋め込みが最善の治療になります。ペースメーカー埋め込み自体は1-2週間程度の入院で行うことができますが、ごくまれに感染症などの合併症が起きると長期に入院を要することもあります。ペースメーカーを入れた後は強い磁場の環境や腕を激しく動かす運動などが一部制限されることがあります。手術に当たっては医師から説明を受け、合併症やペースメーカを入れた後の注意点について十分に理解されることをお勧めします。

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